4月3日 オンエア
初対面の相手に殺害された美女
 
photo 〜中村千秋に起こった事実〜
 今から12年前、関西に住む中村千秋(仮名)26歳は、母親と1つ年下の弟・博人(仮名)と3人で暮らしていた。 彼女は誰とでもすぐに仲良くなる事ができる明るい性格の持ち主だった。 誰にでも好かれる屈託のない性格の千秋は、電話を通じて弟の恋人と親しくなっていった。
 
photo  それから間もなく・・・弟・博人は、恋人・翔子から兄のように慕っている人物を紹介されたという。 弟が尊敬の念を持って話す“哲也”という人物に千秋は興味を持った。 数日後、哲也と話す機会があった。
以来、何度も弟の電話で話をするうちに、彼女は哲也の人柄に惹き付けられていった。
 そんなある日、千秋は弟の博人からカラオケBOXに呼び出された。 実はこの日、博人と翔子がデートをしている時に変な男に絡まれ、気分転換をしようと、千秋も呼び出し、みんなで盛り上がろうということになったのだという。
 2人はとても仲の良い姉弟だった。 家族思いの千秋はシングルマザーの母親を気遣い、家事の手伝いはもちろん、弟の面倒をずっと見てきたのだ。
 
 それから間もなく、千秋の携帯に哲也から連絡が入った。 会話をしていくうちに、「彼氏がいないなんて信じられないな」という話になった。 実は千秋は心臓に病を抱えていた。 photo 成人してから病状は落ち着いていたものの、幼少時からあまり外出することができず、恋人を作る機会に恵まれなかったのだ。 そしてその電話で、哲也からデートに誘われた。
 哲也との初デートの日、それは千秋の誕生日、七夕だった。 千秋と哲也は電話では話はしていたものの、この日が初対面。 お互いに顔を見た事がなかったため、哲也と親しい翔子が2人を引き合わせる段取りになっていた。 弟の博人も、まだ哲也に会ったことはなかったが、この日は哲也と千秋、2人だけの時間が優先された。
 
 千秋は哲也と会うのは初めてだったが、電話を通じてすっかり親しみを感じていた。 電話の時のように、気心の知れた相手として哲也に接した。 しかし、千秋は徐々に違和感を感じ始めた。 photo 電話で話している時は饒舌な哲也が、この日はなぜかあまり話さないのだ。 むしろ、気まずい沈黙を感じた。
 そのことを指摘すると、哲也は「俺、緊張しているのかも。リラックスしたいから目を閉じて」と言った。 千秋が目を閉じると、哲也はスタンガンで千秋を気絶させたのだ!! そして、哲也はどこかに電話をかけ、「もしもし俺、ユウスケだけど」と言ったのだ。 一瞬気を失ったものの、千秋は意識を取り戻した。 朦朧とする意識のなか、男の名が耳に響いた。
 
photo  千秋は弟に助けを求めようと、携帯で電話をかけた。 次の瞬間、男に首を絞められた!!
 何度も電話で話をするうちに心を奪われた哲也。 だが、千秋が哲也だと思い込んでいた男は、ユウスケと名乗った。 それは、何を意味しているのか?
 後日、中村千秋の遺体の一部が、人里離れた山の中から発見された。 彼女は、自分が誰に、そしてなぜ殺されたのか分からないまま、その短い生涯を閉じた。
 
photo  続いては、結果として千秋と加害者を結びつけることになってしまった、弟・博人の立場になって事件を見てみよう。
 
〜中村博人に起こった事実〜
 千秋の弟・中村博人は携帯電話の出会い系サイトを通じて恋人を見つけた。 メールのやり取りで親しくなり、1ヶ月後、直接会う事になった。 彼女の名は小池翔子(仮名)23歳。 とても魅力的な女性だった。  貯金が2000万円以上あるという翔子は、デート代をいつも気前よく払ってくれた。 美貌と財力を兼ね備えた女性だった。
 
photo  不満と言えば、翔子の住む家が博人の家から少し遠い事。 博人は会社勤めだったため、2人は週末にしか会う事ができなかった。
 それでも、平日はいつも電話で長時間のやり取りをして互いの距離を縮めていった。 そして、姉・千秋も、恋人・翔子と親しくなっていった。
 間もなくして、博人は翔子が兄のように慕う“哲也”を紹介された。 博人は姉にも哲也を紹介。 何度も話をするうちに、姉弟とも哲也の人柄に惹かれていった。 博人は、翔子に姉・千秋が哲也の事を気に入っていることを打ち明けていた。
 
photo  そんなある日、翔子とのデート中、突然、翔子の婚約者を名乗る男に絡まれた。 だが、翔子はこの男はストーカーでつきまとわれているだけだと言う。
 翔子によると、以前少しだけつき合った事がある男で、別れてからもしつこくされて困っているというのだ。 男を振り払い逃げた後、気分を変えようと、博人の提案で千秋も呼んでカラオケに行く事になった。 この誘いで、千秋と翔子は初めて顔を合わせた。 そしてさらに、千秋は哲也からデートに誘われ、喜んでいた。
 
photo  デート当日、電話では何度も話をしていたものの、お互いの顔を知らない千秋と哲也を翔子が引き合わせる段取りになっていた。 翔子から哲也の車を教えてもらい、千秋が一人で車に向かった。 姉と弟、こうして二組のカップルはそれぞれ七夕デートに出発した。
 そして、博人と翔子のデート中。2人に電話がかかってきた。 博人にかかってきたのは姉・千秋からの電話だった。 電話は、苦しそうな息づかいが聞こえたと思ったら、すぐに切れてしまった。 博人は何かトラブルが起きたことに気づき、千秋と哲也を探しに向かった!!
 
photo 〜斉藤祐介に起こった事実〜
 自動車整備工として働いていた斉藤祐介(仮名)31歳は、周りの信頼も厚い真面目な男だった。 しかし、いつも浮かない顔をしていた。
 祐介は好きになった女性にはとことん尽くすタイプだった。 それが原因で、何十万円もするアクセサリーを貢いだり、借金の保証人になったりすることもあった。 半年ほど前には、スナックで知り合った女性の借金を肩代わりして結婚したものの、わずか5ヶ月で逃げられ、離婚していた。
 
photo  傷ついた祐介が心の拠り所にしたのは、携帯電話の出会い系サイトだった。 悩みを相談でき、傷心を癒してくれる女性を求めた。
 間もなく祐介は、出会い系サイトを通じてある女性と付き合い始めた。 小池翔子だった。 祐介の話を親身になって聞いてくれた翔子。 失意のどん底にいた祐介は彼女こそ運命の人だと思い、尽くすようになっていった。
 その一方、彼女を好きになればなるほど、不安な気持ちがふくれあがり、翔子のことを束縛し始めた。 好きな人をまた失ってしまうことを恐れていた。 祐介は彼女との結婚を真剣に考えていた。
 
photo  そんなある日、祐介の所に電話がかかってきた。 オネエ言葉で話す奇妙な相手は、祐介も知っている暴力団の組員を名乗った。 その男は、翔子は暴力団の組長と愛人との間にできた子で、翔子と結婚したければ、向こう8ヶ月間 毎月20万円を支払えと言ってきたのだ。
 祐介は翔子との結婚のために寝る間を惜しんで働いた。 通常業務だけでなく、積極的に残業もこなし、それでも足りなければ勤務先の上司に借金を頼んだ。 消費者金融も利用し、お金を工面した。
 
photo  祐介が好きになった女性に尽くすのには理由があった。 彼は幼い頃に両親が離婚し、その後 親戚に預けられて育ったため、母親のように身近で暖かい女性の愛情に飢えていたのだ。 愛してくれる女性の気持ちをつなぎ止めたいと必死だった。
 しかし、月々20万円の支払いは簡単なことではない。 ある日、支払いが遅れている祐介に、オネエ言葉のヤクザが悠長な事をしていてよいのかと、ある場所と日時を伝えた。 祐介がその場所に向かうと、デートをしている翔子と博人がいたのだ! その時、翔子に付きまとわれて困っているだけだと言われ、祐介はショックを受けた。
 
 数時間後、翔子から電話がかかってきた。 そして、さっきの男は、組長が勝手に決めた婚約者で、組長の機嫌を損ねないように嫌々デートにつき合っていたというのだ。
photo  祐介は結婚のため、どんな手段を使ってでも、お金を工面しようと考えるようになった。 そして、消費者金融だけではなく、闇金にまで手を出し始めた。 その結果、闇金融の取り立てが会社にまで及ぶようになった祐介は、会社に居づらくなり、退社を余儀なくされた。
 また、取り立てから逃れるため、自宅アパートを出て、車で生活するようになった。 彼女と結婚するための20万円もの支払いは完全に滞ってしまった。
 
photo  そんな時、翔子から頼み事をされた。 その頼み事とは・・・“哲也”として千秋とデートすることだった!!
 こうして、奇妙なデートが始まった。 しかし、祐介はデート相手と楽しい会話をすることはなかった。 そして・・・千秋をスタンガンで眠らせ、電話をかけた。 と、その時!!千秋が目を覚まし、助けを呼ぶため電話をかけている事に気がつき、千秋の首を絞め、殺したのだ!
 
photo 〜小池翔子が計画・実行した事件の真相〜
 小池翔子は高校在学中に18歳で結婚。 ところが、夫婦仲が急速に冷めていった事から、ほかの男性に刺激と癒しを求めて携帯電話の出会い系サイトにのめり込んだ。 その結果、多額の使用料を支払うため、消費者金融への借金を重ね、やがて離婚。 しかしその後も、出会い系サイトの利用をやめることはなかった。
 
 そんな時、出会い系サイトを通じて知り合ったのが、斉藤祐介だった。 いつも彼女を気遣い、優しい祐介。 気前の良い彼の男気にも惚れていた。
photo  ところが、つき合って一月が経った頃・・・翔子は束縛し始めた祐介が鬱陶しくなってしまった。 何とか祐介と別れたい。 そこで彼女は、別れの口実を作るためにひと芝居打つことにした。
 手に包帯を巻いて祐介に会い、祐介から逃げって言った前の妻が身勝手にも嫉妬して、ひどい嫌がらせをしていると嘘をついた。 そして別れを切り出した。 だが、祐介は別れる気になるどころか、逆に翔子への思いを強くした。 そして、この嘘がきっかけとなって男女の運命の歯車が大きく狂いだしていく。
 
 数日後、祐介の元にオネエ言葉のヤクザから電話がかかってきた。 実はこの電話、翔子が掛けていたのだ! そう、ヤクザとして祐介を脅していたのは翔子だったのだ!! photo 彼女が組長の娘というのも真っ赤な嘘だった。
 翔子は高校時代にも、気に入らない同級生を自分の父親はヤクザだと言って脅したことがあったという。 さらに彼女は声色を変え、ほかの人物に成りすますという特技を持っていた。
 そこで、オネエのヤクザに扮して祐介を恐喝するという手口を思いついたのだ。 こうすることで、恐れをなした祐介が別れてくれることを望んだ。 もし、祐介が別れる気にはならなくても、彼女の懐には金が入る。 どっちにころんでも翔子に損はなかった。 その結果、祐介はますます彼女にのめり込んでいった。
 
 そんな中、翔子は出会い系サイトを通じて中村博人と出会った。 博人に夢中になった翔子は見栄を張り、国際モデルをしていたと嘘をついた。 実は両親が営む卸売業の手伝いをしており、貯金が2000万円もあるというのも嘘だった。
photo  祐介が翔子に夢中になる一方で、翔子もまた博人にのめり込んでいった。 どんな手を使っても、博人だけは失いたくなかった。 そのため、彼女は祐介から巻き上げたお金を自分の借金の返済だけでなく、博人とのデート代に惜しげもなくつぎ込んだ。
 その一方で、祐介の支払いが滞ると追い込んだ。 さらに、わざと博人とのデートの日時を祐介に伝えた。 自分が組長との娘だという作り話に信憑性を持たせ、祐介から金を巻き上げるために、本命である博人まで利用したのだ!
 
photo  そんな時、翔子が博人の姉・千秋に殺意を抱く、きっかけとなる出来事が起こる。 それは、翔子が博人の提案で初めて千秋と直接会ったカラオケでのこと。 この時 翔子は、姉弟の仲があまりにも良いことに嫉妬した。 そして、何かと弟の世話を焼く千秋の存在が邪魔になると思い込んだ。
 さらに、千秋が買い物の時、高価なブランド品を気前よく買い物することを知り、この女は大金を持っているに違いないと考えた。 疎ましい存在を消し、大金を手に入れたい。 祐介を利用してお金を工面する策略が、思いのほか上手くいっていた翔子の行動は、どんどんエスカレートしていく。
 
 翔子は、祐介に千秋と哲也に扮してデートするよう頼んだ。 そして、一人で車で待っているように指示した。 そこに大金を持った女性が乗り込んでくるから、折りをみて金を奪うという計画だった。
photo  大好きな人ととの初デートだから、千秋は大金を持ってくるはずだと翔子は思った。 なぜなら、翔子自身が本命である博人とのデートでは、まとまったお金を準備していたからだ。 さらに翔子は、「顔を見られているから必ずその女を殺すのよ」と指示していたのだ!! 翔子は千秋は心臓が悪いからスタンガンを当てればショック死すると考えたのだ。
 スタンガンを千秋に当てた祐介は翔子に電話。 その時、博人にかかってきた電話で千秋が生きていることに気づいた翔子は、祐介にトドメをさすように指示をした!!
 
 姉の身を安じた博人は、翔子と共にカップルが行きそうな夜景スポット周辺を捜索。 さらに、警察にも相談した。 photo すると翔子は、哲也の父親に電話をかけてみたら、2人はしばらく旅行に行くと言っていたと、とっさに嘘をついて警察の捜索を打ち切らせたのだ。
 一安心した翔子は、いつものように博人の車で家路に着くと・・・哲也として博人に電話をかけた。 そう、哲也という男もこの世に存在しなかった。 それは翔子が成りすましていた架空の人物だったのである。 彼女は複数の携帯電話を所有し、オネエ言葉のヤクザ、そして哲也の2人を演じていたのだ!!
 
photo  小池翔子は一人娘で両親に大切に育てられたが、親が何かと口うるさかったため、自分の気持ちを上手く伝えられない性格になってしまった。 そのため、第三者に成りすまして自分の本心を伝えるようになったのだという。
 哲也として自分の良さを博人に伝え、女心が分かるからこそ、姉・千秋の気持ちも虜にできた。 祐介に対しては、オネエ言葉のヤクザを演じて、金銭をむしり取ったのである。
 翔子は祐介に千秋を殺害させた後、さらに証拠隠滅のため、遺体を焼却させた。 これほど残忍な計画を指示しながら、千秋から得たお金は3万5千円。 彼女の期待は裏切られたが、犯行は完璧に行われた。
 
photo  翔子の身勝手で残忍極まりない千秋への犯行は、思いがけない形で白日の下にさらされた。 事件後も博人は翔子の嘘を信じ、姉たちカップルは旅行を楽しんでいると思っていた。 自分も翔子とのデートを楽しむつもりだった。 だが翔子には、計画したデートのためのお金がなかった。
 翔子は再び祐介にお金を工面させようとした。 祐介がかつて整備工場の他に働いていた自動車用品店の店長を殺害して、売上金を奪う計画だった。
 
photo  千秋殺害から6日後。 祐介は店長が帰る頃を見計らって待ち伏せし、店長を襲った。 店長はとっさに車の中に逃げ込み、鍵をかけた。 犯行に失敗した祐介はそのまま逃亡。 すぐに警察に通報し、救急車も手配してもらった店長は一命を取りとめた。
 間もなく、祐介は強盗殺人未遂の罪で逮捕された。 祐介は、犯行は自分が単独で勝手に行ったことだと主張。 逮捕されてなお、愛する翔子を守ろうとした。
 
photo  翔子も警察の事情聴取を受けた。 彼女は祐介が自分一人で罪をかぶろうとしていることなど知らなかった。 翔子は、警察の追求を受けた祐介が、まだ明るみに出ていない千秋殺しについても自供することを恐れた。 二つの事件ともに、自分の指示で行ったと自白されれば、一巻の終わりだった。
 そこで・・・先に千秋の件を明かし、祐介に全ての罪をかぶせようとしたのだ。 だが、これによって彼女は墓穴を掘ることになる。
 
photo  翔子の告白を警察から聞かされた祐介は動揺。 彼女に裏切られたと感じた。 さらに警察から、翔子の背後には暴力団など存在しないことを知らされると・・・祐介は全てを話し始めた。 こうして、事件の全貌が明るみに出た。
 電話の通話記録など、様々な証拠からもはや 言い逃れはできないと思った翔子は、間もなく全ての罪を認めた。 その後、男女の声を巧みに使い分ける翔子の特技、そして、複数の人物に成りすまして行われた犯行の手口などが報道され、事件は世間を騒然とさせた。
 全ては、インターネットから始まった恋愛。 一人の女の暴走が人を傷つけ、命をも奪ったのである!!
 
photo  2004年3月、2人の裁判が行われた。 結果、犯行の実質的首謀者である小池翔子はもちろん、結婚願望につけ込まれ、実行犯となった祐介も罪は重いとされ、共に無期懲役の判決がくだされたのである。 裁判長は2人の犯行を「自己中心的で短絡的、非人間的な所業」と断罪した。