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村瀬健プロデューサー
インタビュー

まず、ここまで制作&放送をしてきての感想は?
「夏に放送するドラマは、皆さんが外出される機会も多く、他の季節に比べてゆっくり落ち着いて見ていただくのは難しいんじゃないかと思っていました。でも、思いのほか、皆さん“じっくり、ゆっくり”見てくださって、すごく良い手応えを感じています。僕は放送前に“暗くて重いドラマではない”とお伝えしたのですが、皆さんからは“暗くて重い”という声をいただいてしまって(笑)。ただ、時間をかけて作品の世界観を皆さんにご覧いただければ、“流れるのはあたたかい涙です”という言葉にたどり着けると思います。」
ここまでの演出でこだわった点は?
「今作は、風間太樹監督、髙野舞監督、ジョン・ウンヒ監督、山岸一行監督の4人が演出しています。4人とも僕が信頼する方たちなのですが、それぞれに特徴があります。風間監督の演出で印象的だったシーンは、1話で朱音(大竹しのぶ)が夏に『想像はしてください』と問いかけた直後に、『夏くん!』と呼ぶ水季の映像が流れ、一瞬の静寂の後に音楽がかかったところです。それが『silent』でも見せていた風間監督の真骨頂だと思います。髙野監督は3話のラスト。主題歌に乗せて、海辺で海が夏に『いなくならないで』と語るシーンです。夏も海も、これがドラマだということを忘れるくらい自然な表情をしていました。髙野監督の優しさが溢れ出たシーンだったと思います。ジョン監督は7話の津野(池松壮亮)の描き方が素晴らしかった。朱音から水季の死を知らされる電話のシーンが圧倒的でした。実は、台本は津野が『はい』と言ったところで終わっていたんです。でも、ジョン監督は池松さんにその先まで芝居をしてもらいました。その池松さんの芝居とジョン監督の演出があまりに素晴らしかったので、そのままオンエアに残しました。山岸監督は、スピンオフ『兄とのはじまり』と特別編『恋のおしまい』の演出がとても良かったので、本編10話を撮ってもらいました。役者さんたちが『山岸さん細かい!』と口を揃えて言うくらいに、細かいところまで気を配った演出をしてくれています。」
主人公の夏を演じる目黒さんは?
「あれだけのスターが、オーラを消して“普通の人”を演じている。そのこと自体がすごいですよね。『silent』で想を演じてくださった時以上に、どこにでもいる人である夏を演じ切って下さっていることに、さらなる成長を感じています。有村架純さん、古川琴音さん、池松壮亮さん、西田尚美さん、そして大竹しのぶさんという、お芝居が上手いだけでなく“心で演じる”素晴らしい俳優さんたちと対峙していくことで、目黒さん自身も話数を重ねるごとに良くなっています。海役の泉谷星奈ちゃんと向き合っていることも大きいですね。星奈ちゃんが大人には出せない自然な演技をするので、目黒さんにとっても良い刺激と経験になっているのではないでしょうか」
最終話に向け見どころをお願いします。
「12話かけて描いてきたこのドラマも、いよいよ最終話を迎えます。放送前から 掲げてきた、『人は、いつどのように“父”になり、いつどのように“母”になるのか』というテーマ。そして、ポスターにあった生方さんの書いた「選べなかったつがなりは、まだ途切れていない」という言葉。これらの言葉の意味を感じながら、夏をはじめとする登場人物たちがどのようなラストに辿り着くのか、最後まで見届けて頂けたらうれしいです。最終回、 “じっくり、ゆっくり”とお楽しみください」

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