2018.02.09 Fri. Update Interview #4 小宮山深雪役 真飛  聖さん

今回の深雪というキャラクターを演じるにあたって意識されたことは?
台本をいただいたときに、塩梅と言いますか、どの程度まで表現すればいいのか考えました。みなさんはしっかりと現実と向き合って過ごしている中で、深雪は現実を見ず、傍から見れば厄介者というか、出過ぎた真似をしている感じがあるので、その塩梅が難しいなと思いました。監督とも、やり過ぎてコメディー要素が高くなり過ぎてもダメだし、シリアスな感じにし過ぎてもダメだというお話になりました。深雪は、一生懸命子育てをして、家族を守っていこうという思いがあるので、「ただの嫌な人」というのとも違うと思うんです。ただ皆さんよりは結果、ちょっと独特な存在になっています(笑)……深雪が怒るときは効果音もありますしね(笑)。最初は「どんな感じに見えるのかな?」という怖さもあったんですけど、同情はされなくても「でもいるよね、ああいう人」みたいに感じてくれている方もいるので、ちょっとホッとしています。
ドラマですからデフォルメされている部分はあると思いますが、
実は深雪さんのような方もいるのではないかと思っていました。
SNSの広がりとともに、自分の評価を気にする方は増えたんじゃないかと思います。例えば、働いていたときはみんなでランチしたりして華やかだったのに、結婚して専業主婦になったら付き合いも減ってしまって、どこか孤独を感じてしまうようなこともあると思うんです。孤独、寂しさ、そこから生まれる見栄や「こうでありたい」という願望……そこが広がってしまって、深雪もああいう感じになってしまったのかな、と。「いいね」が欲しいから、じゃないけど、SNSの中に違う世界を持ってしまっている人も多いのかな、とも思うので、今の時代の「あるある」なのかもしれないとも思います。そういう意味では、新鮮な気持ちで取り組めていると思います。私は子どもがいるわけでもありませんし。一概に、「厄介な人」「面倒くさい人」というだけではなく、深雪が何故そうなってしまったのか、という部分もこれから描かれていくと思いますので、そういう部分も楽しんでいただけたらな、と思っています。
深雪は、真面目で一生懸命な主婦だったんですよね。でも……。
これからお受験もあるのに夫の真一郎(野間口徹)が勝手に会社を辞めてしまったりして。今の強烈なキャラの裏側には、別の顔があると思うんです。強烈な分、もしかしたら一番繊細で、脆いのかもしれないですし。そういう部分は大切にしていきたいと思っています。
いまは余裕もないでしょうね。
ないですね。だから、決して悪い人だとは思わないんですけど、でも暴走しちゃうというか(笑)。
コーポラティブハウスのような住居スタイルに関して、
真飛さんはどう思われましたか?
私も自分で調べたりしたりしましたけど、割とテレビでも特集されていたりするんですよね。以前はあまり関心がなかったので、もしかしたらもっと前から取り上げられていたのかもしれないですけど……。気になるのはやっぱりプライバシーの問題ですね。セリフにもありましたけど、仲良くなったらいいけどそこに嫌な人がいると厄介、と。まあ、その厄介な人が深雪なんですけど(笑)。ただ、子どもがいるご家庭は、何かあったときに見てもらえるという安心感もあると思います。なかなか外に出られない主婦の方の目線で言えば、ここで他の方と交流できるというのも良いことだと思いますし。信頼関係が築けたらとても良い空間なんじゃないかなと思います。
奈々役を演じる深田恭子さんとお芝居をされてみての印象は?
深田さんはずっとテレビで拝見していて、「なんて可愛い方なんだろう」と思っていたんです。「多分、ほわーんとした、時間がゆっくり流れるような方なんだろうな」と思っていたらそのままの方でした(笑)。その感じにとても癒されています。私はチャキチャキした人間なので、余計にそう感じますね。本当はチャキチャキしたところもあるのかもしれないですけど、深田さんは普段からしゃべり方もとても丁寧ですし、彼女がいるだけで周りが柔らかい雰囲気になりますから、お会いしてますます好きになりました。ナチュラルですしね。「可愛いなぁ」と思いながらいつもお芝居しています。ご本人には伝えたことがないですけど(笑)。
深田さんの持っている雰囲気が奈々からも感じられますが。
そうですね。不妊治療されている方は、本当に大変だと思いますし、毎月毎月が勝負だと思うんです。私たちは、そういう方たちが少しでも前向きになれたらいいな、という思いで取り組んでいるわけですが、健気で真っ直ぐに現実と向き合っている奈々という役は、深田さんだからこそ、というのは感じますね。
旦那さんの真一郎役を演じている野間口徹さんの印象もお願いします。
野間口さんのこともずっとテレビで拝見していたんですけど、とても個性豊かな方で……。野間口さんが旦那さん役だと聞いた時、「絶対にこうなるだろうな」と思った通りになっているんです。パパの表情ひとつで、みなさんの同情を買うという(笑)。「パパ可哀想」「もうちょっと優しくしてあげて」みたいな声が結構届いているんです。狙いとしてはOKなんですけど、あれはもう、野間口パパの魅力ですね。視聴者のみなさんを味方につけて(笑)。振り返ったら凄く切ない顔していたりするんですよ。それがもう憎らしいと思って(笑)。素晴らしいですよね。そういうお芝居を一番近くで見ることができる、というのはとても勉強になりますし、素晴らしい俳優さんの妻役を演じることができて嬉しいです。パパは、多分私のことを怖がっていると思うんです、いまだに。会う度に怒っているので、私なのか深雪なのかの境目がわからなくなって、普段からあまり近づいてこないんです(笑)。「役です!」って言ってるんですけど(笑)。ただ、野間口さんはお子さんがいらっしゃるので、ウチの娘ふたり(優香役の安藤美優さん、萌香役の古川凛さん)の扱いがとても上手なんです。そういった意味では、凄く助けていただいていますし、野間口さんがいらっしゃるだけで、深田さんとはまた違ったほんわかムードになるので有難いです。
小宮山家の姉妹、
優香&萌香のふたりもドラマの大きなポイントになりそうですね。
そうなんです。ウチの子たち、可愛いでしょ!  ふたりが、物語にちゃんと関わっているのは母として嬉しいです。深雪としてはヤキモキする展開になるわけですけど……。ふたりとも、普段から本当の姉妹みたいなんですよ。いつも手をつないでいたりして。現場でも子ども影響力は大きいんだなと思います。ふたりがいないと、現場がシーンとしていますから。エネルギーが違うな、と思いました。ふたりは、お芝居でも私にぶつかってきてくれるので、子どもとして扱いではなく、いち役者としてお芝居をしている感じがして楽しいんです。
最後に、ドラマを応援してくれている視聴者のみなさんに向けて
メッセージをお願いします。
共有スペースに行くと、深雪っていつも怒っていて事件も起きるんです。でも、他の住人の方たちは、そこで絆が生まれているじゃないですか。多分、深雪はみなさんとの距離感がつかめないんだと思うんです。誰よりも寂しがり屋で、みなさんとも仲良くなりたいんですけど、上手くいかない。そんな深雪さんが、最後には「不器用だったんだね、深雪さん!」ってなれたらいいな、と思っています。どういう結末になるのかは私も知らないので、視聴者のみなさんと同じ目線でドキドキしながらやっていくと思います。それぞれのカップルに起きている問題はリアルだと思いますし、だからこそ共感していただけると思いますので、最後まで応援していただければと思います。

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