2018.01.17 Wed. Update
- 台本をお読みになって最初に考えたことは?
- 朔というキャラクターは、とても繊細だなと思いました。なので、気持ちの置き方が難しいなと。こういう取材の時等、ドラマを伝えていく上で、言葉の選び方を大事にしていかなければいけないテーマを扱っていますが、かといって暗いドラマではなく、希望や光を感じるような作品だと思いました。
- 深田恭子さんは「コーポラティブハウスについてまったく知らなかった」
とおっしゃっていましたが、北村さんはいかがですか?
- 僕も知らなかったんです。台本を読んでもどういう環境なのか実感できない部分がありました。ただ、調べてみると、自分たちでいろいろと決められるし、お洒落だし…。今の時代って、お隣さんにも挨拶する機会が減ってきているところがあるじゃないですか。それとは対照的に、ご近所付き合いがあって、ちょっと懐かしい感じがして…人と住むにあたって、あるべき姿のような気がしました。隣近所の人たちとちゃんと交流があって、でも自分たちの家庭のストーリーもあって…みたいな。知り合いから聞いた話なんですけど、例えばあるマンションでは、お隣さんにご挨拶をするのもNG、というところもあるんだそうです。そういう話を聞くと余計に、コーポラティブハウスの温かさみたいなものを感じます。妊活やLGBTといった題材を扱っていく中で、コーポラティブハウスの存在が太陽っぽい、明るいものにも感じられました。みんなで共有スペースに集まってバーベキューしよう、とか、とても素敵な世界だなと思いました。
- ただ、上手くいけばいいですけど、
ご近所さんに恵まれないという可能性も考えられますよね。
- そこはかなり重要ですよね。やっぱり他人同士なので、価値観の違いはあると思いますし。交際したり、結婚したり、というのはどこか価値観の一致があるからだと思うんですけど、何組もの家族が揃えばトラブルも起こり得ますよね。だからこそ、こういう風にドラマで描かれるということでもあると思うんですけど…。今回僕は、眞島秀和さん演じる渉と同性愛カップルという設定なので、実際にLGBTの方にもお会いしてお話を聞いたりして下準備をしてきました。
- その朔というキャラクターですが、
とてもキュートで優しくて、魅力的な存在ですね。
- 可愛いですよね。だからこそ、目一杯やっていきたいと思っています。朔のセリフは、垢抜けているんですけど、やっぱりその言葉の裏に何か重いものも感じるんです。「きっと朔は、いろんな思いをしながら生きてきたんだろう」と感じました。朔は20歳という設定ですけど、無邪気なようで実は凄く大人な感じで、とても魅力を感じました。
- 演じるにあたって、監督から何かリクエストはありましたか?
- 最初の本読みの時点で「いいね」とおっしゃっていただけたんです。だから、あとはどのくらいのテンションでいくかや、人との距離感の詰め方について話し合いました。普段の僕は朔ほどテンションが高くないので(笑)。朔は、相手の懐に入るのも凄く上手いので、そういう部分も意識しながら役作りをしています。このドラマでは、共有スペースにいるときと、それぞれの家庭に戻ったときのギャップをつけたい、というお話もあったんです。だから、わたるん(註:朔は渉のことをこう呼ぶ)といるときの、あまりにも甘えん坊過ぎる姿と、奈々ちゃん(深田恭子)と一緒にいるときの差は上手く表現したいなと思っています。
- 奈々との関係も素敵ですよね。
奈々にとって、朔の存在が癒しになっていくような気がします。
- まだどういう展開になっていくのかは僕もわからないんですけど、朔の存在が周りを明るく照らしていけたらいいな、と思います。きっと、彼にも何かが待ち受けているんじゃないかと思うんですけど…。花壇でのシーンがあるんですけど、奈々ちゃんの後姿を見て何かを察しても、普段通りに接したりするような、そのくらい思いやりのある人間なんじゃないかと思います。その一方で、わたるんといるときだけは、ありのままの自分でいられるというか。きっと、恋愛ってそういうことなんじゃないかと思います。
- 相手の変化に敏感で、
人の気持ちがわかってしまうのも辛いでしょうけど…。
- 僕もどちらかというとそういうタイプなんですよね。朔ほど出来た人間ではないですけど、彼みたいに察することはできると思います。朔もきっと、自分が奈々ちゃん以外の人からあまりよく思われていないということもわかってしまう場面もきっとあると思います。それくらい敏感で繊細で、でも強さもある…というのは今回の僕のテーマかもしれないですね。
- それは難しい作業でもありますね。
- だから、わたるんの存在が大きいんだと思います。眞島さんとのシーン、凄く楽しいんです。眞島さんとも「楽しいよね!」って盛り上がりました。眞島さんが僕に気を遣ってくださっていると思うのですが、会話のテンポとかも合うんです。僕なんかと一緒にして申し訳ないんですけど、眞島さんが20歳のとき、僕のような人だったんじゃないかと思ったくらい、似てるところがあるんです(笑)。ちょっと前に眞島さんと共演させていただいた恋愛映画があったんですけど、その時の話もしたりしながら、「恋人役なんて不思議だよね」って(笑)。
- 深田恭子さんとお芝居されてみての印象は?
- 深田さんは、この現場全体を温かく包み込むような存在なんです。深田さんの持っている空気感に引き込まれますね。僕も小さいころからテレビで見ていた方なので不思議な感じもあるんですけど、僕が深田さんに引き込まれたように、朔も奈々ちゃんに引き寄せられていくような感じがしています。柔らかい雰囲気もずっと変わらないですし…。
- 松山ケンイチさん演じる大器と朔の関係も面白くなりそうです。
- 松山さんも素敵です。この間、撮影の合間に、(役作りのために)不妊治療のクリニックを訪問したときのお話を伺って…。事細かに話してくれたんですけど、そういう風に気さくに何でも話してくださることで僕も緊張や不安が解消されました。今回の現場は、そんな風に役者同士いろいろ話ができる現場でもあるので楽しいです。
- 2018年はこの『隣の家族は青く見える』で始まります。
どんな年にしたいと思っていますか?
- 北村匠海の役者としてのイメージを打破していくのが2018年の目標です。その中で出会った朔という役は、僕の中でも凄く大きなものになるんじゃないか、という予感がしています。この先、朔がどうなっていくのか、とても楽しみにしています。なので、たくさんの方に見ていただけたら嬉しいです。