
- 真璃子はどのようなキャラクターと捉えていらっしゃいますか?
- 若い頃に完治(佐々木蔵之介)と結婚して美咲(石川恋)を産んで、銀行で働く夫に甲斐甲斐しく尽くして家庭を守ってきた女性です。でも、娘が24歳になったぐらいで、それぞれがそれぞれの方向を向き始めて…そういった夫婦、家族の状況をプロデューサーは“黄昏”と表現されていましたけど(笑)。そんな“黄昏”の中で物語は進行して行きます。演じている真璃子は、受け身の役だと思っています。周りで起こることを見つめながら、自身の内面で葛藤していく感じですね。
- 中山さんご自身を真璃子と比べると?
- 役と自分をそんなに比べたことはないんですけど、まぁ、真逆かな?(笑)私自身が、“普通”という言葉が当てはまらない人間だと思うので…。ただ、世の中の奥様は真璃子のような気持ちになることがあるかもしれないな? とか、多くの方に共感していただけるキャラクターだと思います。

- 真璃子のどこに共感を得られると思いますか?
- 世代にもよるのでしょうけど、昔の日本の奥さんはわりと尽くし型のイメージがありましたが、今はもう男性も女性も仕事を持って、家事は分担するという形が多くなっているように思います。一方、瀧沢家では家事は全て真璃子がやっていて、どんなに完治の帰りが遅くてもご飯を作って待っているんです。けれど、真璃子もだんだんそうしてきたことに“何で?”と思い始める。そのような“何で?”という気持ちは共感していただけるところだと思います。
- それでも真璃子は自分の不満を抑えようとしますよね?
- これは美咲から言われるセリフにもあるんですけど、“お母さんは波風立てずに、誤魔化して生きている”って。本当にそういうタイプだと思います。周りに流されて生きているというか、怒りもしないし、喧嘩もしないで安全な場所にいる。それを続けて来たことに慣れてしまったところもあるので、意地でもそこにいたいというような思いもあるのでしょう。

- 真璃子は娘の恋人、日野春輝(藤井流星)に心を動かされます。そんな真璃子の心情は?
- その前に、何で春輝が恋人の母親、真璃子を好きになるのかな? と、思いました(笑)。不思議ですよね。娘の恋人を好きになるなんて…。でも、無くはないことなのかも…。誰であれ、人を好きになる気持ちは不思議で、どういう関係でもあり得るとは思いますね。
- 藤井さんとの芝居はいかがでしたか?
- 藤井くんはとにかく少女漫画から出てきた男性キャラクターみたいなので、芝居と言うより普通に“格好良いなぁ”と見てしまいました。藤井くんの演じる春輝は無邪気に屈託なく“真璃子さん、好きです”という感じなので、私はポカーンと見惚れている感じです(笑)。

- 撮影現場の雰囲気はいかがですか?
- 蔵之介さんはクールなイメージがあったんですけど、なかなか面白い方でした(笑)。一緒にいると笑顔にして下さる空気感をお持ちなので、お互いに笑いながら話をすることが多いです。今回のお話が心情的に重いところもあるので、3ヶ月間も続くと現場の空気も重くなってきてしまうんですよ。それが最初から分かっていたので、私も最初からテンションを上げて収録に臨みました。真璃子がドーンと落ち込んでしまう時に、私自身がそうならないようにと。その点、蔵之介さん始め、恋ちゃんも藤井くんも撮影の合間は明るく朗らかに過ごしていました。
- それにしても今夏は酷暑でした。
- いやー…もう、夏の撮影は2度としないと思ったぐらいです(笑)。しかも、このドラマの衣装は秋冬ものでしたからね。汗を止めるのが大変でした。スタッフの方たちも、半袖などの夏服ではあるんですけど、あの暑さの中での収録はみんな大変だったと思います。

- ドラマのタイトルに『〜人生折り返し、恋をした〜』とありますが、中山さんご自身が“折り返し”を感じられたことは?
- いっぱいありますよ。今の私は“人生の最終章”と思っていますが…(笑)。そうですね…もしかしたらデビューした時がある意味折り返しかもしれませんし、それからクネクネと折り返しながらここまで来てしまった感じです。ですので、今は与えられたものをひとつずつきちんとこなして行きたいと思っています。
- 最後に視聴者のみなさんにメッセージをお願い致します。
- このドラマはむしろ、男性が見るとキャラクターの誰かに感情移入しやすいかもしれません。もちろん女性の方に共感していただきたいのですが、女性って割と冷静にドラマをご覧になられているじゃないですか? ですので女性には“これはないよねぇ!”とか、“これはわかるな?”みたいに、あれこれ議論しながら楽しんでいただけたらと思います。