イントロダクション

1974年の映画化以降、映像化のたびに日本中の話題をさらってきた松本清張不朽の名作「砂の器」。開局60周年そして松本清張生誕110年でもある2019年、現代を舞台に全く新しい解釈でドラマ化することが決定した。鋭い観察眼を持つベテラン刑事vs父との“宿命”を背負う天才作曲家の攻防、そしてその作曲家が幼い頃生き別れた父との複雑でせつない“絆”とは―。ふたつの情熱が交差したとき、真実の“宿命”が明らかになる!

舞台は2018年ハロウィーン当日の渋谷。撲殺死体が発見され、捜査一課の今西刑事(東山紀之)が独自捜査に乗り出す。手がかりは被害者の東北訛(なま)りと、“カメダ”という言葉。それらを追跡していくと新たな謎が浮上する。天才作曲家の和賀英良(中島健人)は、周到かつ完璧な殺害後、協奏曲「宿命」の作曲に没頭していた。華やかな世界、約束された未来。しかし、運命の歯車は確実に狂い出し、秘められた過去の秘密すなわち父・千代吉(柄本明)との関係が暴かれそうになり…。

謎に次ぐ謎…予測不可能のミステリーが大展開!

本作の大きな魅力は、矢継ぎ早に浮上する「謎」の数々。被害者が口にした“カメダ”とは?
“列車の窓から紙吹雪をまく謎の女とは?なぜ人から恨まれるはずのない善良な人物が殺害されなければならなかったのか?そして最終的に犯人・和賀が背負う“宿命”=犯行動機とは一体何か?という最大の謎解きに着地する。そのストーリー展開は終始見る者の心を捉えて離さない!

松本清張の代表作が“平成最後の現代版”として全く新しい形に!

今作は超がつくほどの有名原作を、「今」の東京・渋谷を舞台に大胆にもアレンジしている。
長い間多くの人に愛されてきた作品だからこそ、犯人の犯行動機等、今の時代ならではの映像化で、どのように「改変」するか注目いただきたい。今作の最大の特色は、犯人を推理していくのではなく、殺害したのは天才作曲家・和賀であることを序盤に明かしてから、刑事・今西の捜査と、彼から見た和賀の日常を並行して描くスタイルとなっており、今まで映像化されてきた作品とは全く違う見せ方に挑戦する!

ベテラン刑事・今西vs天才作曲家の殺人犯・和賀 息詰まる心理戦!

東山紀之演じる刑事・今西と、中島健人演じる殺人犯で天才作曲家・和賀…相まみえぬ息詰まる心理戦はドラマの大きな軸となる。2018年ハロウィーンに事件を起こした和賀を、今西が徐々に追い詰める様は、その熱き駆け引きとともに逮捕までのスリルをよりドラマチックに魅せることになる。
今西の執念、そして和賀が抱える闇…ふたりが対峙(たいじ)する時、物語は最高の緊張感に包まれることに―!

ラストに明かされる…生き別れた父との感動の絆!

本作のラストで明かされるのは、和賀と生き別れた父・千代吉(柄本明)との感動の絆である。
和賀が殺人を犯してまで守りたかったものとは―?最愛の父とふたり…不遇ながらも幸せだった歩み、そして苦悩、葛藤を、壮大な回想として丁寧に描ききることで、物語は感動のクライマックスを迎える。ひとりひとりが家族への愛、人生そのものを考えさせられ…涙なしには見られないエンディングへと突入する!

インタビュー

東山紀之

Q.今回のオファーを受けて率直な感想は?

「松本清張先生の作品にはいくつか出させていただいていますが、「砂の器」は名作中の名作ですから、自分もこういう役がめぐってくる年になったのだなと感慨深いです。今回は、現代に置きかえて描くということですが、人間の芯をえぐり出すという清張先生の作品ですので、大変やりがいを感じています」

Q.今西という刑事役にどう取り組んでいこうと考えていますか?

「(過去映像化された作品では)丹波哲郎さん、渡辺謙さんなど大変な先輩たちが演じてこられた役ですが、今作の今西はちょっとアプローチが違うと思っています。今西と犯人である和賀の育ってきた環境、培ってきたものがなんとなく似ている、同化している…という気がしていて、それを皆さんがどう感じていただけるのか、人生を考えさせられる清張先生ならではの“人間”を表現したいと思っています」

Q.中島健人さんとは初共演となりますが、いかがですか?

「今の彼にしか出せない輝きや苦悩があると思うので、どう表現するのか僕も楽しみです。歌ったり踊ったりコメディーをやるのとはちょっと違いますから、あぶり出される人間臭さを彼がどう出してくれるのか、期待しています。僕自身もそうですが、彼が俳優として目指すべき道が見えてくる作品になると思います。巡ってくる役で人生が変わる…いい意味で彼にとっての“光”が見えてくると思いますね」

Q.視聴者にメッセージを

「時代は変われど、人は変われど、その人たちの本質は変わらない。いつの時代も若者は同じ悩みを持ち、年を取るにつれ感じ方は違ってくるのですが、そのときは同じようなことを思っていたりします。多くの人が共感できる作品になること、そして60周年という機会で作るわけですから是非大作にしたいと思っています」

中島健人

Q.今回のオファーを受けて率直な感想は?

「感動しました。原作の大ファンだったので、過去に映像化されてきた作品も何度も見てきました。“平成最後の奇跡”だな、と。それくらいこの作品を好きだったので、命をかけてこの役を生きようと思っています。歴代、名優の方々、大先輩たちが演じられてきた和賀の役をいただいたのは、奇跡以上の“宿命”かもしれません」

Q.和賀という役をどうとらえて、取り組んでいこうと?

「歴代の和賀英良を見てきましたが、時代背景がそれぞれ違います。今作では“平成最後”という舞台で和賀を演じさせていただく上で、現代感を大切にしつつ、今までの作品の素晴らしさを引き継ぎたいです。うまく自分と「砂の器」の歴史を折衷させて、新しい和賀英良を作っていきたいと思っています」

Q.東山紀之さんとは初共演となりますがいかがですか?

「東山さんと共演するのも“宿命”だと思っています。僕が一番憧れている…いや崇拝している先輩なので一緒にひとつの作品を作り上げるというのが僕の夢でした。しかも「砂の器」で、というのが信じられなくて。香盤表を見ると、東山紀之と書いてある。一枚一枚捨てられないです。
東山さんからは“勝負しようぜ”と言われましたので、そこは僕も全力で挑ませていただきたいと思います。現場では東山さんを敵だと思ってしっかり対決するのが大事ですので」

Q.柄本明さんも初共演となりますが、いかがですか?

「多くの作品の中で、柄本さんを見る機会がとても多く、「砂の器」でご一緒させていただけるなんてご縁だと思っています。千代吉という役は心の根底に存在する愛を表現される役で、それが柄本さんという重厚感のある俳優の大先輩であるという…緊張していますが、がんばりたいと思います」

Q.ピアノへの向き合いは

「久しぶりに曲を練習するということになるので、改めてピアノと向き合っていかなければと思いますし、それが和賀英良を作り上げる上で大切な部分になります。1日10分だったピアノの時間を3時間くらいにしたいです。歴代和賀を演じてきた先輩に負けたくないという気持ちもあるので、自分にしかできない和賀英良は何なのか?ピアノを弾きながら考えていきたいと思います」

柄本明

Q.今回のオファーを受けた率直な感想は?

「(1974年の)映画では野村芳太郎さんが監督で、橋本忍さんと山田洋次さんが脚本の大名作でしたね。千代吉は加藤嘉さんがやっていらした役ですね、映画を見たときに感動したのを覚えています。その役をいただいたことに非常にうれしく感じております」

Q.千代吉という役にどう取り組んでいきますか?

「今回は現代という時代に置き換えていますから、さまざまな動機も変わっているので、自分なりに感じ取ってやれればいいのではないかな、と思っています。話の骨子はそれほど変えなくても、現代に置き換えている部分で、制作側にはご苦労もあったかと思いますが演じるこちらも頑張ってやりたいと思っています」

Q.楽しみなシーンは?

「それぞれのシーンは大変だと思いますが、特にお遍路のところは色々な土地を行くのでどういう風になるのだろう、と楽しみですね」

Q.視聴者にメッセージを

「砂の器は、若いときに映画館で見ております。大名作です。今回は現代に置き換えたテレビ版としてどのような作品に仕上がるのか、楽しみに見て頂ければ幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします」