フジテレビパラスポーツ応援サイト
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フジテレビのパラスポーツ応援プロジェクト「PARA☆DO!」サポーターということで、パラスポーツの持つ力強さや、選手の魅力を、皆さまにお伝えできれば幸いです。少しだけ、私とパラスポーツの出会いをご紹介させてください。
私は現在、メンタルトレーニング上級指導士として、様々なパラリンピアンのメンタル強化に携わっています。チームでは、車椅子バスケットボール男子日本代表チームのメンタルコーチをしています。もともと私自身は、シンクロナイズドスイミングのオリンピック選手だったので、なぜ今はスポーツ心理学を指導していたり、パラリンピアンの、しかもシンクロとは全く違う競技の心理に関わっているのかということをよく聞かれます。確かに、シンクロ選手だった私が、バスケットボールの男子、しかも車椅子の選手のメンタルを指導するなんて、いったい何を教えているんだろう?と思われるからかもしれません。
私がメンタルコーチとして選手に関わる時、それぞれの競技の違いもみますが、それと同時に大事なことは、「何が違うか」ではなく「何が共通か」です。特にパラリンピアンの心理に関わる時には、足がないとか目が見えないといった「外的な違い」ではなく、人間に共通する「内面」に注目します。目の前の選手がオリンピアンだろうとパラリンピアンだろうと、その人の「内面で起きている動き」こそが、その人の「あるがまま」なので、その部分との会話をさせていただこうとしています。その意味では、選手がどんな障害を持っておられようと、質問にためらうことはありません。よく「田中さんは、なぜ障がい者のみなさんになんでも質問ができるのですか?」と聞かれますが、内面との会話であれば、外面がどういう状態の方であろうと人間同士の会話をすればいいだけです。しかし、今はそんなことを言えるようにもなりましたが、そういった感覚がすぐにできるようになったわけではありません。
私にとって、障害を持ったアスリートとの最初の出会いは、20年ほど前のアメリカの大学院です。五輪後、引退して、アメリカでスポーツ心理学の勉強を始めた時のクラスメートが、パラリンピックを目指すアスリートでした。当時の私は、身長が1メートルほどしかない彼に、どうやって接したらいいのか、彼の身体をどうやって見たらいいのかもわからなかったです。それはなぜか。当時の私にとっては、障害を持った人は「かわいそうな人」というレッテルをつけて見ていたからです。
でも彼と出会い、様々な学びをするなかで、障害を持っていても競技を真剣に続けている人は、なんだ、べつにオリンピック選手と一緒じゃん、と思うようになりました。「特別な存在」というよりは、「自分の限りある身体を最大限に使って自己の極限まで心身を鍛え抜きたいマニアックな変人=アスリート」という共通点を感じ、パラリンピアンの心理にも興味を持つようになりました。
そして、日本に帰国後、パラリンピック車椅子バスケットボールの及川晋平さんに出会います。現在の男子日本代表ヘッドコーチです。2001年に及川さんと出会って以来、元オリンピック選手としての自分の「思考域」をはるかに超える「素晴らしくカッコいい超変人!」の沢山のパラリンピアンと私は公私ともにご一緒させてもらっています。
彼らから教えてもらえることは、車椅子からの腕だけなのにフリースローが決まることでもなければ、目が見えないのにサッカーゴールを決めることでもありません。彼らからの学びは、我々人間が共通に持つ「思考や感情」の使い方の素晴らしさです。目の前の事実がどんなに逆境のように思えても、そこでどう考え、どう行動するかという「ものの見方」です。様々なパラアスリートの「生き方」を対談で伺い、その日から誰にでもできるメンタルエッセンスをお届けできればと思っています。