PARA☆DO!

フジテレビパラスポーツ応援サイト

コラム

vol.1

文=高樹ミナ

2016年4月19日

可能性に満ちたパラスポーツの世界へようこそ!

「パラスポーツを応援する本格プロジェクトが立ち上がります!」
そんなうれしい知らせが舞い込んだのは、3月初めのこと。しかも、ポータルサイトで情報発信ができると聞いて思わず飛び上がった、それが新たにスタートした『PARA☆DO!』です!

北京パラリンピックの車いすテニス決勝

事故や病気で身体の一部を失った人が、残された機能を駆使して競技に挑むパラスポーツ。私はそこに人々の既存の意識を変え、社会を変える可能性があると強く感じてきました。今では知名度も上がったパラスポーツですが、ほんの5、6年前は「聞いたこともない」という人がまだ大勢いたんですよ。

そんな空気が変わったと感じたのは、2012年の夏。ロンドンオリンピックに次いで開かれたパラリンピックが大成功を収め、日本にもそのニュースが届き、さらに翌年9月には2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定。するとパラスポーツの認知度はぐんぐん上がり、「パラスポーツを盛り上げよう!」という機運があちこちで高まっていきました。パラリンピックイヤーの今年は、また一段とパラアスリートたちの勇姿を見る機会が増えてうれしい限りです。

その一方で、競技は見たことがないという人が多い現状も。2020年パラリンピックの舞台となる東京都が行った最新の調査(2016年3月)でも、パラリンピックの認知度87.3%に対し、パラスポーツを見た経験のある人はわずか2.2%にとどまるという実態が浮き彫りになりました。

パラスポーツは競技の面白さと生きる力にあふれている

スポーツ用義足はこんなにおしゃれに!

確かにパラスポーツを見る機会は、そう多くありません。開催されている大会数もさることながら、それ以上に情報入手の手段がわからないという声をよく聞きます。「パラスポーツを見てみたい」「パラアスリートのことをもっと知りたい」というニーズにお応えするのが、まさにPARA☆DO!です。

では、実際に競技を見たり、アスリートの思いに触れたりすることに何があるのでしょう?

例えばパラリンピック金メダリストとして知られる、車いすテニス世界王者の国枝慎吾選手。私が彼の試合を初めて見たのは2008年北京パラリンピックの会場でしたけれども、くるくると自由自在に動き回る鮮やかなチェアワークと、座位から繰り出される強烈なショットに心底驚きました。もともとテニスファンで健常者の試合をよく見ていたので、正直「車いすテニスの競技力はどうしても落ちるだろう」とたかをくくっていたんです。それが、か、かっこいい! パラスポーツの「パラ」には、「パラリンピック」という意味と「パラレル(=もう一つの)」という意味が含まれますが、実際に競技を見たことが、まさに“もう一つの”テニスの魅力を知る体験となりました。

また別の例では、最近出会った両足義足のランナー。彼女はほんの一年前に事故で両足の膝下を失いましたが、板バネと呼ばれるスポーツ用義足と出会ったことで、以前はまったく興味のなかった陸上競技の道を歩み始めました。理由を尋ねると「人って、ないものねだりなんですよね」と明るくさらり。20代シングルマザーの彼女は障がいに加え、子育てと仕事、競技の両立という、厳しくもファンキーな挑戦に新たな生きがいを見出しています。その強くしなやかな生き方に、私はいつも勇気をもらうのです。

人々の心にダイレクトに届くパラアスリートのメッセージ

できないことよりもできることを考え、自身の可能性に挑むパラアスリートたち。ときに超人とも呼べる驚きの能力を発揮する彼らのメッセージは人々の心にダイレクトに届きます。「失ったものを数えるな。残されたものを最大限に生かせ」とは、パラリンピックの創始者であり医師だったグッドマン博士の有名な言葉。もともとスポーツには国や言語、性別や年齢を超えて共有できる価値や喜びがありますが、パラスポーツにはさらに障がいのあるなしを超えて互いの「違い」を認め合う共生社会への扉も開かれています。

とにもかくにも、百聞は一見に如かず。このコラムでもパラスポーツをする人(=選手)、見る人(=観客)、支える人(=スタッフ)のさまざまな視点から競技の魅力を伝えいきますので、PARA☆DO!が発信する超人たちの挑戦のドラマと人間の底知れない可能性の世界にぜひ触れてください!

高樹ミナ(たかぎ・みな)
高樹ミナ(たかぎ・みな)
スポーツライター。千葉県出身。
アナウンサーからライターに転身後、競馬、F1、プロ野球を経て2000年シドニー、04年アテネ、08年北京、10年バンクーバー冬季大会を取材。16年五輪・パラリンピック招致委員会に在籍した経験も生かし、オリンピック・パラリンピック競技を中心にスポーツの意義と魅力を幅広く伝える。国内外で取材活動を展開し、テレビ、ラジオ等にも出演。
パラスポーツにおいては障がい者と健常者が一緒に楽しむ「ニューミックス・スポーツ」も
提唱。