フジテレビパラスポーツ応援サイト
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vol.3
文=田中ウルヴェ京
2016年6月27日
2016年6月16日(木) 開催
PARA☆DO!サポーターで、セミナーMCの
田中ウルヴェ 京さんによるセミナー後記をお届けします。
池崎さんとは二度目の対談でした。初回の時もそうでしたが、彼の魅力の幅広さにはいつも驚かされます。
池崎選手が実際に使用しているラグ車。大体1年!で壊れてしまう
まずは「強い」魅力。映像などで、ウィルチェアラグビーの試合風景から見る池崎選手は、めちゃめちゃ強く、たくましく・・・いや、それを通り越して、威圧感たっぷりの迫力もあり、それこそ、近寄ったら怒られそうな雰囲気です。
それがまたカッコいい。
同時に、相反する魅力もお持ちです。対談で横に並ぶと、穏やかで優しく、柔らかい雰囲気がある。でも、そこまで柔らかいのなら、さぞ話しやすいであろう・・・と思いきや、そういうわけではない! じつは池崎さんって、対談しにくい相手なんですよね。笑。なんか、「ホンネを教えてくれないオーラ」を出す。初回が特にそうでした。
池崎選手との対談は2回目なので、打ち解けた感じで進行した
ニコニコはしていらっしゃるんです。たとえば、池崎さんは私に、「ボク、ミヤコさんのコーピング連載、読んでます!色々教えてほしいんです。」とーか言ってくれちゃったりはする。でも、全然、心の扉は、開いたり閉まったり・・・。あら、なんでだろう?って私は思うわけです。そもそも、ずっと閉まってるわけでもない。たまに「開く」。笑。
え?どういう時に開けてくれるんだろ、あれ、そもそも開けたり閉めたりの自覚はあるのかなあ・・・うんぬん・・・と、心理屋にありがちな妄想が膨らみます。
そういう時、パラアスリートの皆さんに言われる言葉を思い出します。
「言ったってわかってもらえない」
どれだけ本当のことを言っても、我々の現実はわかってもらえない、と思うことが、パラアスリートには、色々な面で多いのだそうです。でも、それを言われる時、私は彼らに伝えていることもあります。それは、「言わないと、伝わるものも伝わらないから、とにかく、言ってみようよ」って。
だから、池崎さんに対しても、そういう自分がいたのかもしれません。
「もっとホンネ言ってみてください。私、わかろうとしますから!」みたいな。
初回の対談では、そういう雰囲気を出していたかもしれません。
車いすに乗っての対談。その後衝撃体験に…!
池崎選手の衝撃的タックルを動画で見る >今回、二度目の対談の冒頭で、じつは、私にとっては大きな出来事がありました。池崎さんの突進による車椅子の衝撃を体験するコーナーでのことです。
2人で手袋をはめながら、対談を続けていた時に、気づきました。
池崎さん、いつも慣れているはずの手袋をはめるのに、すごい時間がかかっていたんですよね。とっても長くかかったんです。
もちろん、私は、池崎さんの四肢障害は知ってました。両手の握力がほぼないことも、指先がうまく動かないのも知っています。でも、人間の「知ってる」って薄い。「知ってた」んですが、わかってなくて・・・。対談中、手袋を一生懸命はめようとしていて、時間がかかる池崎さんを見て、思いました。
「そりゃそうだ。私は、なにもわかってない」
自分が「わかってない」ってことを、わかってなかった。そのことにハッとしました。
そんな内省が、ほんの数秒だったと思うのですが、あってからの対談だったので、今回、少しまた違った目線で池崎さんから学ばせていただくことがありました。今回の対談では、少し、池崎さんの「弱い面」の魅力、「温かい面」の魅力を教えていただいた気がしました。
セミナー終了後の記念撮影では、色紙に大変喜んでいた池崎選手
池崎さんの試合中の「強さ」は、「自分の弱さを知ってることからきている」。
自己の弱さを受容しての強さって、重量感があります。
そんなふうに感じ、対談終了後には、こんなフリップを。
「表裏一体の心理」。
リオパラでのご活躍、心からお祈りしています。沢山の学びをありがとうございました。