PARA☆DO!

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セミナー後記

vol.11

文=田中ウルヴェ京

2017年3月24日

第11回「PARA☆DO!トーク×ライブ」
ゲスト:木村敬一選手 (リオパラリンピック水泳日本代表/50m自由形銀、100m平泳ぎ銅、100mバタフライ銀、100m自由形銅=計4つのメダル獲得)

2017年3月15日(水) 開催

田中ウルヴェ京さん

PARA☆DO!サポーターで、トークMCの
田中ウルヴェ 京さんによる対談後記をお届けします。

終始和やかな雰囲気の中で行われたトーク&ライブ

終始和やかな雰囲気の中で行われたトーク&ライブ

今回のゲストは、ロンドンに続き、昨年のリオパラリンピックでもメダルを獲得した競泳の木村敬一選手。木村さんは、日本大学文理学部出身で、本格的に競泳選手として木村さんを鍛えた恩師は日本大学の野口智博教授です。じつは私自身、同じ文理学部出身で、しかも野口氏とは同じ学科、同じ学年で、体育会水泳部仲間だったこともあり、対談前には、すでに共通の話題で盛り上がりました。そもそも水泳という共通項があるので、「プールの水は、どんな水質だとつかみやすい?」などとマニアックな質問をし、「僕は硬めの水を最後のプッシュで感じるのが好きです」なんて絶妙なお答えを頂きました。

PARA☆DO!アーティストの清貴さん(左)と田中さんがタッピングを体験

PARA☆DO!アーティストの清貴さん(左)と田中さんがタッピングを体験

視覚障害の競泳では、選手がプールの壁にぶつからないように、「壁との距離」を伝えるための「タッピング」という役目をするコーチがプールの上に立っています。選手の頭や背中を棒でタッチして伝えるのですが、このタイミングの難しさなどを、実際に使用している棒を使って、教えてもらいました。

私が対談途中から、興味深く感じたことは、木村選手の言語表現。木村さんは日常のちょっとした出来事についてや、友人とのことなどを、じつに多様な思考や感情表現を織り交ぜて描写豊かにお話されます。これだけ豊かな感情表現をされる方は、競技中いったいどんな感情コントロールをしているのだろう?と興味を持ち、「レース前はどんな感情を持ち、それをどのようにコントロールされているのですか?」と聞きました。すると、木村さんは「レース前は、いつもビビってます。リオでも今回は不安なままで。もっと楽しみたかった。今後はもうちょっと楽しい感情でやりたい」と。

田中さんから贈られた色紙を手に記念撮影

田中さんから贈られた色紙を手に記念撮影

選手によって、「どの種類の感情を使うのがベストパフォーマンスにつながるか」は違います。そのため、たとえば私がメンタルトレーニングをトップアスリートと一緒に作る時は、「イラつく、ビビる、落ち込む、落ちつく、楽しむ」などの多様な感情に質感を持って感じる練習をしてから、その「選手ならではの感情の整え方」を作ります。その意味では、木村選手は、心技体の「心」強化の面ではまだまだ伸びしろが無限大。すでに沢山のメダルを取っておられるのに、じつに驚異的な選手です。今日の対談でのメンタルエッセンスは「感情のArtistic Impression(芸術点)」。木村選手の内に秘められる感情エネルギーの豊かさの魅力をいっぱいに感じた対談でした。