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コラム

vol.31

文=高樹ミナ

2018年2月7日

世界のトップランナーが集結!
「東京マラソン2018」で車いすレースの迫力を体感せよ

2月といえば一年の中で最も寒さの厳しい時期ですが、マラソンシーズンは真っ盛りです。
来る25日には大都会東京を舞台に「東京マラソン2018」が開催され、朝9時5分の号砲とともに車いすマラソン(10km)が東京都庁舎前をスタート。2016年にIPC(国際パラリンピック委員会)の公認大会となり、さらに翌2017年には世界の6大メジャーマラソン大会(ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニュヨーヨーク。東京は2013年に加入)として名高いアボット・ワールドマラソンメジャーズにも加わった東京マラソン車いすの部は、今や世界トップレベルの選手たちがこぞって出場する人気の大会となりました。

国内外選手のハイレベルなバトルに注目

昨年のゴールシーン

昨年のゴールシーン

1月22日の記者会見で発表された出場選手は男子25人、女子6人の計31人。そのうち招待選手は男子11人、女子は全員という内訳で、特に男子は2016年リオパラリンピックの金メダリストで2017年のボストンマラソンを制したマルセル・フグ(スイス)やボストン2位のエルンスト・バンダイク(南アフリカ)ら海外の強豪たちがレースを盛り上げます。

これに対抗する日本人選手はボストン3位の山本浩之(福岡)、2017年に続き東京マラソン連覇がかかる渡辺勝(福岡・凸版印刷)が筆頭。また、現在23歳で2017年東京3位の鈴木朋樹(千葉・トヨタ自動車)のような若い力にも期待したいところです。

一方、前回大会で変更された新コースは大きな登り下りが減ったぶん、健常者のマラソンであれば好タイムが出やすいのですが、そうとも言えないのが車いすマラソンの面白いところ。なぜなら車いすマラソンの場合、高低差が少ないコースは仕掛けどころが少なく、かえってタイムが伸びないことがあるからです。それが顕著だったのが、終始集団での展開となった昨年の大会でした。

レーサーのスピードは人力で時速50km!

ただし新コースで行われた昨年は、どの選手にとっても初めてのコース。その影響があったことは否めず、2回目の今年は昨年よりも思い切ったレース展開が予想されます。自身も現役アスリートでありながら、2016年からレースディレクターとして海外のトップ選手の招聘に尽力する副島正純も、「よりレベルの高いレースになるよう、今年は集団から逃げ切り新たな展開を作れる選手を招聘した」と説明しています。

さらに、車いすマラソンで使用される競技用の「レーサー」のスピードも大きな注目ポイント。手で車輪を漕ぐにもかかわらず、速度の出るところでは時速50kmほどのスピードに達するというレーサー。路面に近い低姿勢で走る選手の体感速度はそれ以上で、沿道で見ていても想像以上のスピードに驚きます。さらにテクニックが試されるコーナリングも平坦コースでは差がつく、数少ない仕掛けどころと言えるでしょう。

東京マラソンは世界トップレベルの車いすマラソンの迫力を直に体感できる絶好のチャンス。2年半後に迫った2020年東京パラリンピックを見据えた日本人同士のバトルからも目が離せません!