その原因、Xにあり!

身体のお悩み解決バラエティ 毎週金曜よる7時

おさらい

2017年9月1日(金) 放送

【ゲスト】杉浦太陽

  • 残念な応急処置法

    「大ヤケド」「過呼吸」「風邪」の応急処置。正しい応急処置法とは?

    大ヤケド

    家でパスタを茹でていた。お湯を切ろうとした時、うっかり手を滑らせ大量の熱湯を腕全体に浴びて大ヤケド。息子に救急車を呼んでもらい、急いで冷やすため、服は脱がずにそのまま風呂場へ。シャワーで流水をかけ救急車が到着するまで冷やすことに。さらに出来るだけ早く炎症を抑えようと冷たい氷水も使う。ヤケドをした部分が水ぶくれになったが、そのまま潰さないようにした。

    大ヤケドをした時の応急処置法。一体どれが残念なのでしょうか?
    3つの中から選んでください。

    A.服を脱がない
    B.氷水で冷やす
    C.水ぶくれを潰さない

    大ヤケドをした時の応急処置法 解答
    A.服を脱がない
    ヤケドをした部分の服を脱ぐと、皮膚が一緒にはがれてしまう危険性がある。

    C.水ぶくれを潰さない
    水ぶくれの中の液体は、ヤケドを治すための治療水。患部を保護して感染を防ぎ、回復を早めてくれる。無理に潰すと痕が残ることもある。

    大ヤケドをした時の残念な応急処置法は… B.「氷水で冷やす」

    さいたま赤十字病院皮膚科 井上多恵(いのうえ・たえ)先生によると「氷水で冷やし過ぎると凍傷を起こし、皮膚の細胞を壊して症状を悪化させてしまう」という。

    その場に氷しかない場合は使用した方が良いが、水道があるなら流水を10分程度かけ続けることが大切!ぬるくて効いていないと思いがちだが、15℃~25℃でもダメージを抑えてくれるという。また、広範囲のヤケドは、体温調整が難しくなるので、患部を冷やしながら、きれいなシーツにくるまって救急車を待つと良いそう。

    命に関わるヤケドの面積

    命に関わるヤケドの面積は、成人で15%以上、高齢者や子供で10%以上
    片方の手のひらの面積で1%。ちなみに、成人の片足全体で18%という。

  • 過呼吸

    友人が突然、過呼吸になり息苦しそうにしている。そこで、袋を口にあて、吐いた息を何度も吸うようにする。口をすぼめてゆっくり呼吸をする。積極的に会話をして相手に話をさせる。

    過呼吸の人への応急処置法。一体どれが残念なのでしょうか?
    3つの中から選んでください。

    A.袋を口にあてる
    B.口をすぼめてゆっくり呼吸
    C.会話をする

    過呼吸の人への応急処置法 解答
    B.口をすぼめて、ゆっくり呼吸する
    口をすぼめてゆっくりと吐くことによって、深い呼吸になり二酸化炭素の量が安定する。

    C.会話をする
    話すことは、自然に息を吐く状態になっている。過呼吸の時は吸うことよりも吐くことを意識する。

    過呼吸の人への残念な応急処置法は…A.「袋を口に当てる」

    池袋大谷クリニック 大谷義夫(おおたに・よしお)院長によると、「以前は常識として広まっていた袋を口にあてる呼吸法は、危険な方法として今は推奨されていない」という。

    過呼吸の症状が起こっている時は、体内では二酸化炭素が少ない状態に。そのため、袋を口に当てて、吐いた二酸化炭素を再び吸うことが良いとされてきたが、実は、やりすぎると、二酸化炭素を吸い過ぎ、反対に酸素が不足してしまうことに。正しい過呼吸の対処法は、しっかり息を吐くこと。

    呼吸器系や心臓に疾患がある人は、最悪の場合、死に至ることもあるという。
    大谷先生によると「口をすぼめて、ゆっくり呼吸する。キスをする時のように唇をすぼめて、ゆっくり吐くことによって、深い呼吸になり、二酸化炭素の量が安定する」という。

  • 風邪

    旅行の予定があるのに風邪をひいてしまった。そこで、ネギに包丁で切り込みを入れてガーゼで包み、首に巻きつける。汗をかいて服が濡れてきたら、こまめにパジャマや下着を替える。さらに、風邪のウイルスをやっつけようと抗生物質を飲む。

    風邪を早く治したい時の応急処置法。一体どれが残念なのでしょうか?
    3つの中から選んでください。

    A.ネギを首に巻く
    B.汗をかいたら着替える
    C.抗生物質を飲む

    風邪を早く治したい時の応急処置法 解答
    A.ネギを首に巻く
    ネギに含まれる臭い成分アリシンを吸うことで体温が上昇。免疫力が高まりやすくなる。

    B.汗をかいたら着替える
    濡れた服は身体を冷やしてしまい、免疫が機能しにくくなるので、汗で濡れたら着替える。

    風邪を早く治したい時の残念な応急処置法は…C.「抗生物質を飲む」

    芝大門いまづクリニック今津嘉宏(いまづ・よしひろ)院長によると、「風邪のウイルスに効く抗生物質はない。自然に治るのを待つしかない。」という。

    医師が抗生物質を処方するのは、他の病原菌に感染している可能性が高い場合や疑いがあり、念のため一応というもの。風邪が治るタイミングで飲むことが多く、抗生物質が効くというイメージがついてしまったという。

    この現状を受け、今年6月。風邪への抗生物質の使用について厚生労働省が注意を呼び掛けている。風邪に対して安易に抗生物質を服用し、薬で死なない菌「耐性菌」が増える事が大きな問題になっているという。
    ※出典:厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き」

    問題は抗生物質を使いすぎることで、身体に必要な菌までも殺してしまい、反対に、薬では死なない耐性菌を増やしてしまうこと。

    今津先生によると、「ガンの治療や手術の場合、免疫力が低下してしまう。この免疫力が低下した時に、耐性菌による肺炎を起こし、使える抗生物質がなく、死亡してしまうというケースが非常に増えている。」という。

    耐性菌による年間死亡者数は、世界全体で約70万人(2013年)。このままでは2050年には年間約1000万人に増え、がんの死亡者数を超えるという予測もあるそう。
    ※出典:Antimicrobial Resistance: Tackling a crisis for health and wealth of nations, the O’Neill Commission, UK, December 2014

  • 難病を諦めない!家族の愛 奇跡の生還SP

    心筋シート

    重い心不全を患った20代の女性。奇跡の生還を信じ、望みを託したのは…。日本の研究者が開発した世界初の最先端治療。それは、貼るだけで心臓が蘇る「魔法のシート」。回復を諦めずに信じ続けた親子の物語。

    平岡麗美(ひらおか・れみ)さん(24)

    当時22歳。ひとり北海道の実家を離れ、東京で暮らし始めていた。高校時代はバスケットボール部に所属し、いつも元気で病気知らず。両親も安心して送り出したという。

    ところが、ある日。麗美さんの体調に異変が。少し歩いただけで息切れ、やけに身体がだるい。胸にはおされるような違和感。その矢先…心臓を強く握りつぶされるような激痛。心筋梗塞を発症。

    22歳の若さで心筋梗塞になった原因は、意外な事だった。口の中の細菌が歯茎の傷口などから血管に入り心臓へ。大きな細菌の塊が冠動脈を塞ぎ、その結果、酸素や栄養が届かず心臓が弱ってしまったという。

    8時間にも及ぶ大手術で一命を取り留めた。しかし、全身に血液を送る心臓のポンプ機能は、健康な人の約1/4になってしまったという。

    ※出典:日本臓器移植ネットワーク

    心臓移植を希望しても、実際に移植手術を受けられるのは、たったの一割程度。心臓移植を待ちながら亡くなる可能性も少なくないという。

    さらに移植できたとしても、その後の生活には様々な制限がかかる。拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を飲み続けなければならず、感染症にかかりやすいなど、様々な副作用があり、妊娠を諦める女性も多いという。

    父・宗洋さん(51)は、娘が将来、好きな人生を送れるよう負担の少ない治療を受けさせたいと、国内外の医学書や論文を寝る間も惜しんで読み続けた。そして、大阪大学の研究チームがあるシートを患者の心臓に貼ったところ、心臓の機能が回復したという画期的な治療の記事を見つけた。

    その研究を行っているのが、大阪大学心臓血管外科 心不全の権威 澤芳樹(さわ・よしき)教授。「本人の心臓を生かして、さらに、その機能を少しでも改善することによって、日常生活が送れるような回復を目的とした治療法が作れないかと。2000年ごろから再生医療の研究に取り組んできた。」という。

    提供:テルモ株式会社

    それが、世界が注目する再生医療の技術「心筋シート」。患者自身の脚の筋肉から、細胞を取り出し培養。薄いシート状にし、心臓の表面に貼りつけるだけ。これだけで心臓の機能が回復するという。

    心筋シートは、心臓に新しい血管を再生するように促す。すると、心臓自身に栄養が行き渡るようになり、ポンプ機能が改善するという。

    患者自身の細胞で作るため拒絶反応もなく、術後、免疫抑制剤の必要がない画期的な治療。

    2014年11月。麗美さんに心筋シートの手術が行われ、見事成功。3年経った2017年8月。大阪大学医学部付属病院。経過を診るための検査入院。

    麗美さんの手術前後の心臓の画像を見ると、手術前は、血液が行き届かず心肺機能が低下し、収縮できずに大きく膨らんでいた。しかし現在では、心筋シートのおかげで、心臓が復活。しっかりと収縮し、筋肉も厚みが増している。

    心臓のポンプ機能は、14%から31%に。なんと2倍以上に改善。

    平岡麗美さん(24)は、今…。
    心筋梗塞を起こす前の7割は元気を取り戻しているという。今年4月には、念願の台湾旅行を体験。やりたいことをやれる幸せを実感しているという。

    心筋シートの治療は、2016年から保険が適用されるように。心不全治療の新たな選択肢として広まりつつあるという。心不全治療の新たな選択肢として広まりつつあるという。

    そして現在。
    澤教授は、iPS細胞を作り出した京都大学の山中伸弥教授との共同研究で身体のどんな組織にも変化できるiPS細胞を重い心不全治療に役立てるという新しい治療の開発に挑んでいる。それが、「iPS細胞から作った心筋シート」。このiPS細胞から作った心筋シート自体が心臓と同じように動いている。この動いている拍動をそのまま心臓の表面に移植することによって一緒に動くという。

    心臓の筋肉の細胞は、一度壊死してしまうと元に戻ることはない。しかし、iPS細胞で作った動く心筋シートを貼ると、壊死した細胞の代わりに心臓を動かしてくれるという。

    澤教授は、「もっとたくさんの方に有効な治療として提供したい。世界中の心不全患者が助かってくれるような治療になってほしい」という。
    ※この治療は、症状等により効果には個人差があります。医師に相談の上、正しい判断のもと行ってください。

  • ギラン・バレー症候群

    このマンガは、ある女性が自らの壮絶な闘病体験をせきららに描いた話題作。

    ただの風邪だと思っていたら、手脚の感覚が消えていく…。水を飲むだけで、激痛が走る…。それは、10万人に1人の難病。まるで地獄のような苦しみを味わいながらも、諦めずに難病と戦い続けた奇跡の物語。

    田村紋子(たむら・あやこ)さん(37)

    2002年冬。難病を発症したのは、小児科で新米看護師として働いていた時。当時22歳。仕事中、突然襲った激しい吐き気。この数日前から熱もあり、風邪でも引いたものだと思っていた。

    ところが、血液検査の結果、体内の炎症を表すCRPの数値が健康な状態の100倍以上に。それでも忙しく働いていると、突然、右脚の感覚が全くなくなった。10分ほどで感覚は戻ったものの、初めての症状に不安を感じ、総合病院の緊急外来へ。

    しかし、検査入院をしているうちに、症状はみるみる悪化。原因がわからない中、40℃を超える高熱。吐き気や下痢。手脚が真っ赤に腫れ上がり、指に力が入らない。脚の感覚は麻痺し、寝たきりの状態に。

    入院一週間後。ようやく病名が判明。医師から告げられた病名は「ギラン・バレー症候群」。

    ギラン・バレー症候群とは、自分の身体を守るはずの抗体に異常が起こり、様々な神経を攻撃してしまう病気のこと。10万人に1人の割合で発症すると言われている。

    ギラン・バレー症候群に詳しい杏林大学医学部神経内科学 千葉厚郎(ちば・あつろう)教授によると、「一般的なギラン・バレー症候群の主な症状は運動障害。筋肉、手脚が思うように動かなくなる。そして、感覚障害、自律神経障害。この3つが出現すると言われている」という。

    多くの場合、運動神経が侵され、手脚の脱力や麻痺などが症状として現れる。しかし、重症化すると、感覚神経が侵され、激しい痛みを感じたり、自律神経が侵されると、血圧や呼吸など、身体の様々なコントロールができなくなってしまうという。しかも、発症するきっかけは、風邪や腸炎などの病原菌と言われており、誰でも突然発症する可能性があるという。

    ギラン・バレー症候群の治療法は、主に2つ。
    治療法(1) 正常な抗体(免疫グロブリン)を点滴で大量に投与する方法。
    治療法(2) 異常な抗体を含む血漿(けっしょう)を丸ごと入れ替える方法。

    千葉先生によると「この2つの治療のどちらかを行うとによって、1年後には約2/3の症例の方は完全に回復している結果が出ている」という。

    異常な抗体を正常に戻すために2つの治療を行ったものの、効果は現れず症状が進行。感覚神経が侵され、水を飲むだけでも全身に激痛。さらに、自律神経まで侵され始め、呼吸まで止まってしまう状態に…。

    治療を始めて1年が経過したある日。医師から告げられたのは、「このまま正常な抗体を身体に入れる治療法を続けても、症状の改善が見込めない。」ということだった。特に手脚の感覚神経にダメージが大きく、何かに触れた時に感じる触覚さえも完全に失われていた。それが後遺症として残るという。

    最後に残された回復への道は、リハビリ。感覚がないまま、手脚を動かす訓練をすることだった。さらに、手も思うように動かせない…。先の見えないリハビリ…。もともと絵を描くことが好きだった紋子さんを追いつめていった。

    実際に紋子さんが指で描いた金魚の絵

    そんな、ある日。口で筆をくわえ、絵を描いている人がいることを知った紋子さん。用意したのは、絵の具と赤い画用紙。絵の具を指につけて、直接画用紙に絵を描いた。ペンが持てなくても絵が描ける。その思いは、どんどん確信に変わっていった。

    ギラン・バレー症候群を発症してから4年が経過。あきらめずに懸命なリハビリを続けた結果、ペンや絵筆も握れるようになり、緻密な水彩画まで描けるようになった。

    リハビリ室に貼ってある自分が描いた絵を、ある一人の青年が見つめていた。彼は、レース中に落馬し、脳挫傷を負った元騎手。記憶障害を起こし、事故後、一度も言葉を発したことがない状態だった。しかし、紋子さんの絵を見て、事故後、初めて言葉を発したという。

    紋子さんは、「自分の描いた物が人の励みに、役に立っているというのを見ることが出来て、すごく感動した。元気になったら、なにか人の役に立つ人間になろうと思っていたが、すごく役に立ったと、初めて実感できた」という。

    2017年8月。田村紋子さん(37)は、今…。
    週に一度、リハビリに通っている。全身の痛みは和らいだものの、今でも手脚の感覚はない。そんな中で、階段も上り下りできるようになっていた。

    「絵がなかったら回復しなかったと思う。元気に絵が描けるようにと、本当に生きがいになっていると思う。」と紋子さん。「絵の力で多くの人たちを勇気づけたい」そんな強い思いから、彼女自身が体験した闘病生活の一部始終を描いた「ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!」を発表。今では漫画家として活躍している。

この番組は専門家の監修のもとに構成いたしました。
番組で紹介した事例は身体の悩みに関する原因とそれに対する解決策の1つです。事例により別の原因・学説があることをご承知ください。
医療行為を試される場合は医師に相談の上ご本人の正しい判断で行ってください。