その原因、Xにあり!

身体のお悩み解決バラエティ 毎週金曜よる7時

おさらい

2017年7月7日(金) 放送

  • 暑い夏、ついやりがちな残念睡眠

    日本各地で30℃以上の真夏日を記録。まもなく夏本番。今夜から試せる熱帯夜を乗り切る快眠法を大公開!寝苦しい夏の夜…あなたの何気ない行動が眠りを悪質なものにしている可能性が!?

    睡眠学の権威 慶応義塾大学医学部 特任教授・スリープドクター遠藤拓郎(えんどうたくろう)先生監修、ついやりがちな残念睡眠ワースト5。

  • 第5位 寝る前に扇風機を止める

    遠藤先生によると「よく扇風機をつけっぱなしだと、身体によくないという噂を信じて扇風機を消してしまう方がいますが、それは残念睡眠」という。

    人は汗や血液の流れを使って、常に身体から熱を放出している。つまり、ヒーターのようなもの。

    しかし、風のない室内では、放出した熱は身体の周りに漂ってしまい、結果、暑く、寝苦しくなってしまう。

    そこで、扇風機を回し、室内に気流を作ることで、身体の周りの熱を逃すことが出来るそう。

    扇風機のホント?ウソ? 扇風機を当て続けると死んでしまう!?

    昔から扇風機を当て続けると死んでしまうということが、まことしやかに言われているが、遠藤先生によると「私が診察したかぎりでは扇風機を夜間に使って亡くなった方はいない。ただ、扇風機を当て続けると身体には良くない」という。

    ≪寝るときの扇風機の正しい使い方≫
    遠藤先生によると「扇風機を固定して当てるのではなく、首振り状態で使用してほしい」という。
    扇風機を固定しに、強風を当て続けると、身体が冷え、毛細血管が縮まり、血液の循環が悪くなる。その結果、代謝が悪くなって、身体がだるくなったり、筋肉が冷え筋肉痛や関節痛などになってしまうという。

    正解睡眠
    扇風機の首振り機能で時々風を当てる

    強さは弱にして、身体から1m~2m離しておくことが大切。

  • 第4位 寝る前にアイスを食べる

    遠藤先生によると「アイスクリームだけでなく冷奴やキンキンに冷えたビールなど冷たい食べ物、飲み物などは残念睡眠。深部体温が下がり切って、いざ寝たい時に眠れなくなってしまう」という。

    実は、体温には表面体温と深部体温の2種類がある。
    表面体温とは、身体の表面の温度のこと。
    深部体温とは、身体の内部の温度のこと。

    睡眠には、この深部体温の変化が大きく関係している。人は、この深部体温が下がる時に眠くなり、逆に、上がる時に目が覚めやすくなる。寝る前に冷たい物を摂ると、深部体温が下がり切り、眠れなくなる。

    正解睡眠
    冷たい物は就寝の3時間前まで

  • 第3位 寝る4時間以上前に風呂に入る

    遠藤先生によると「眠る4時間以上前にお風呂に入るのは、残念睡眠。お風呂を出てから眠るまでの時間が長いと、その間に深部体温が下がってしまい、いざ眠る時に眠れなくなる」という。

    通常、お風呂に入った後は、血液の循環が良くなり、手足から身体の内部の熱を放出する。こうして、深部体温が下がると眠りやすくなる。

    遠藤先生によると「個人差はあるが、入浴後、深部体温が下がり切るまでにかかる時間は2~3時間程」という。

    しかし、寝る4時間以上にお風呂に入ってしまうと、寝る時間の前に深部体温が下がってしまい、いざ寝る時間になると、その時には深部体温が下がり切り、それ以上下げることが出来ず、なかなか眠れなくなってしまうという。

    帰宅後、汗を流したい人はシャワーを軽く浴びる程度にし、快眠のためには、お風呂は寝る前に入るのがベスト。お風呂は、すべてのことを終わらせて、寝る前に入りましょう。

    正解睡眠
    お風呂は就寝前に入る

  • 第2位 カーテンを少しだけ開けて寝る

    遠藤先生によると「夏は、日の出の時間が早く、午前4時半には明るくなってしまう。結果的には、目覚めが早すぎるので残念睡眠」という。

    身体は太陽の光を顔に浴びると、メラトニンと呼ばれる睡眠を促すホルモンの分泌が減ってしまう。そのため、カーテンを開け、朝日が顔に当たってしまうと、メラトニンが低下。脳が起きることで身体も目覚めてしまうことに。日の出の早い夏は、朝方の睡眠の質が悪くなってしまう。結果、睡眠不足になり、昼間ウトウトして、夜に眠れなくなるという悪循環も。

    目ざまし時計が鳴った時に、すぐにカーテンを開け、太陽の光を顔に当てるのがポイント。

    正解睡眠
    ≪夏の朝の正しい起き方≫
    起床後カーテンを開け、太陽の光を顔に当てる

  • 第1位 氷枕で寝る

    遠藤先生によると「氷枕は首を冷やす過ぎてしまうので、残念睡眠」という。ここで関係するのが、深部体温。首には、脳にある温度変化を感知するセンサー体温調節中枢につながる大きな血管、頸動脈がある場所。

    首を冷やし過ぎてしまうと、そこを流れる血液が冷え、脳は体温が低いと勘違いし、体温を下がりにくくしてしまう。

    結果、体温の放熱が少なくなり、深部体温が下がりにくくなってしまう。
    ※ 水だけを入れて使うなど、氷枕の使用法等の工夫で冷やしすぎを緩和することも出来ます。

    冷却シートをおでこに貼って寝るのは?

    遠藤先生によると「冷却シートは冷たすぎず清涼感があり、寝苦しい夜、寝つきを良くする効果がある」という。

  • 残念睡眠 番外編

    ≪夏の布団の使い方≫
    遠藤先生によると冬は、布団を縦に使用。手と足を両方とも布団の中に入れると体温が下がり過ぎない。夏の場合は、お腹を壊したり、夏風邪ひいたりするので、お腹を冷やさないように布団を横掛けに。足は出ていても、消化が悪くなることも免疫が落ちることもないという。

    遠藤拓郎先生監修正解睡眠
    暑い夏、ついやりがちな残念睡眠 ワースト5

    1位 氷枕で寝る
    2位 カーテンを少しだけ開けて寝る
    3位 寝る前にアイスを食べる
    4位 寝る4時間以上前に風呂に入る
    5位 寝る前に扇風機を止める

  • 夜間熱中症

    熱帯夜。エアコンをどのように使っていますか?これからお届けするのは夏の新常識。

    毎年、約5万人が救急搬送される熱中症。頭痛や吐き気などを起こし、最悪の場合、死に至る可能性のある症状。今年はすでに約8000人が搬送されるなど、昨年を上回るペースで推移している。
    ※出典:総務省消防庁

    そもそも、昼の炎天下に起こるイメージが強い熱中症ですが、実は、夜間にも注意が必要という。

    熱中症に関する書籍を執筆する横浜国立大学 田中英登(たなかひでと)教授によると「暑くて寝苦しい時は、夜間熱中症の可能性がある」という。

    ※出典:東京監察医務院
    (死亡時刻不明者を除く)

    夜間熱中症とは、夜間に起こる熱中症のこと。2015年、東京23区内で起こった夏の熱中症による死者は101人。そのうち、日中と夜間に亡くなった人の割合はなんとほぼ半数。

    一体、なぜ夜間に熱中症が起こるのか?

    住環境と熱中症の関係を研究する慶應義塾大学 伊香賀俊治(いかがとしはる)教授によると「夜間熱中症のカギを握るのが放射熱」という。

  • 夜間熱中症の原因、放射熱にもあり!

    都内の一般的なマンションの様子をサーモカメラで見てみると…太陽からの熱が、壁や窓へと伝わり、その表面温度は30度を超えていた。

    放射熱とは日差しを受けた建物に蓄えられた熱。

    厄介なことに、この熱は、蓄えられてから約5時間後に室内に放射されるという。

    伊香賀先生によると「昼間溜め込まれた熱が時間差で室内に放射されるので、夜寝る頃になって室内がものすごく暑くなってしまうという現象が起こる」という。

    実際に、東京のあるマンションで測定された7月中旬の温度変化を見てみると昼間の外気温は36.4℃でしたが、徐々に気温は下がり、朝方には24.1℃に。しかし、マンションの室内の温度は、なんと30.8℃のまま。放射熱によって、部屋の中は、昼も夜も変わらない高温状態になっていた。
    ※出典:慶應義塾大学伊香賀俊治研究室

    夜間熱中症の鍵、放射熱を防ぐポイント(1)

    田中先生によると「まず、第一にエアコンを上手に活用する事。温まった部屋の温度を下げるには、どうしてもエアコンに頼らざるを得ない」という。

    実は、熱中症で亡くなった方のうち、なんと9割以上がエアコンを使用していなかったという。
    ※出典:東京監察医務院(2015年東京23区内の国内熱中症死亡者)

    ≪夜間熱中症を防ぐエアコンの使い方≫
    田中先生によると「夜間熱中症予防を考えたら、冷房をつけっぱなしにして寝て、温度は28℃が良いと思う」という。冷房を28℃に設定し、途中、室温が上がり暑さで起きてしまう可能性もあるタイマー設定よりも、一晩中、冷房をつけっぱなしにする方が安全に眠る事が出来るという。
    ※試される場合は体調に留意して行ってください。

    昨年発表された伊香賀教授らの研究でも夜寝る時は昼間よりも薄着で静かにしているので、身体から出る代謝熱も低い、夜の場合だと28℃くらいに保たれている時が、いちばんぐっすり眠れているという結果が。

    睡眠時にエアコンを28℃に設定した時、良質な睡眠が出来ると判明。さらに、その睡眠によって、被験者の翌日の仕事効率が上がったという。
    ※出典:慶應義塾大学伊香賀俊治研究室

    夜間熱中症のカギ、放射熱を防ぐポイント(2)

    田中先生によると「放射熱は、窓から伝わりやすい性質があるため、日本に昔からあるよしずを使うのが効果的」という。

    よしずとは、葦(よし)の茎を編んで作ったすだれのこと。よしずを壁に立てかければ、窓から入る熱を抑えてくれる。これだけで、太陽からの熱を約5割カットし、日中の室温を約1℃下げる効果があるという。

    さらに、よしずに水をかければ、水が蒸発することによる気化熱で、外気より2~3℃涼しい風が入り、放射熱を抑えることが出来る。サイズは、窓の高さより、2~3割長い物を選ぶと、ちょうど良い角度に。

    しかし、大きくて扱うのが難しいという方は、すだれを物干し竿に吊るして代用を。熱が部屋に入ってこないよう、すだれは、窓から離した位置に設置すると効果的。

    もう一つ、大切な夜間熱中症対策
    ≪寝る前の正しい水分の摂り方≫
    田中先生によると「寝る前に水を200〜300mlくらい飲む。また、寝苦しく目が覚めた時に、喉が渇いたと思ったらそこで少し飲む。枕元に是非、水を置いておいて頂きたい。特に高齢者の方はトイレを考えて水を飲まない、クーラーをつけないという事が一番危ない」という。

  • 実録!たどりついた原因X~寝言が認知症のサイン!?~

    おたくのご主人、寝言を言っていませんか?もし、寝言を放っておいたら…寝ている間に、突然暴力をふるったり…認知症になってしまうかも!?それは、推定患者数約63万人。60歳以上の100人に1人がかかっている病だった。
    ※出典:睡眠障害国際分類第2版診断とコードの手引き

    田中正雄さん(仮名・68歳)が体験した話

    症状(1) 何を言っているのかわからない寝言
    2014年9月。いつものように、妻と一緒に寝ていると…ごにょごにょと何を言っているかわからないくらいの寝言。

    症状(2) 寝言が週3~4回に増える
    しかし、その後も寝言の回数は、週3~4回に増えていった。

    症状(3) 大声で叫ぶような寝言
    寝言を言い始めて半年後。正雄さんの症状に異変が。突然、大声で叫ぶような寝言。

    症状の変化(4) 手が出るようになる
    大声を出し始めてから間もなく、さらに恐ろしい症状が。なんと声だけでなく手まで出るように。その後も、夜中に突然、暴れ出すようになった。しかし、症状は良くなることはなく、寝ながらクローゼットを殴り、よく手をケガしていたという。

    症状の変化(5) 便秘になる
    寝言を言い始めて10カ月。突然の便秘。寝言を言い始める前には無かったという。さらに、暴れすぎてベッドから転落。ベッドからよく落ちるように。
    寝言を言い始めて2年。いつものように寝ていると、ベッドの上に眠りながら仁王立ちする正雄さんの姿が。そして、顔からテレビ台へ倒れ、鼻を骨折。睡眠の専門医に診てもらうことに。

    寝言から始まった睡眠時の異常行動の原因とは!?
    実際に診察した獨協医科大学越谷病院神経内科 宮本智之(みやもとともゆき)教授によると「彼が睡眠中に叫ぶ、暴れるのは、レム睡眠行動障害が原因だった」という。
  • 睡眠時の異常行動の原因、レム睡眠行動障害にもあり!

    睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠の2種類がある。身体も脳も寝ているノンレム睡眠に対し、レム睡眠は、身体は寝ていて脳は覚醒状態に近い浅い眠りのこと。人はこのレム睡眠の時、はっきりとした夢を見る。

    宮本先生によると「レム睡眠行動障害とは、この浅い眠りの状態の時に見る夢の内容と同じ行動を現実でもしてしまう病気」という。

    なぜ、レム睡眠行動障害になってしまうのか?

    宮本先生によると「この病気に関してまだ不明な点が多いが、おそらく脳幹の異常が原因と考えられる」という。

    脳幹とは、脳と脊髄をつなぐ部分。人が夢を見ている時、睡眠中でも脳から身体に動けと指令がでているのですが、この脳幹が指令をストップしてくれているという。

    宮本先生によると「しかし、この脳幹に異常があると、指令が伝わってしまい、夢の内容と同じ行動を現実でもしてしまう」という。

    さらに、このレム睡眠行動障害は、大病のサインの可能性があるという。
    宮本先生によると「レム睡眠行動障害は、パーキンソン病、レビー小体型認知症のサインだと考えられる」という。

    パーキンソン病とは、脳の異常のために身体の動きに障害があらわれる病気のこと。症状が進行すると歩くのが困難になり、車椅子での生活や寝たきりになってしまうことも。レビー小体型認知症とは、脳内のたんぱく質が変異して、脳の神経を次々と攻撃してしまう認知症の一種。レム睡眠行動障害は、この2つの病気のサインの可能性があるという。

    スペイン・バルセロナの睡眠研究チームによるとレム睡眠行動障害だった患者が、パーキンソン病、または、レビー小体型認知症になる割合は、10年後になんと73%。さらに、14年後には93%にもおよぶという研究結果が。
    ※出典:Iranzo A et al. 2013

    そして、これらの病気の症状にはある共通点が。それは、便秘

    宮本先生によると「田中さんが感じていた便秘も、パーキンソン病、レビー小体型認知症が関係している可能性があると考えられる」という。

    パーキンソン病、レビー小体型認知症になってしまう元と言われているレビー小体。このレビー小体の影響を受けやすいのが腸であり、レビー小体に腸の自律神経を破壊され、腸の働きが鈍くなったため便秘になったと考えられる。

    写真提供:横浜市立大学医学部名誉教授 小阪 憲司

    レム睡眠行動障害に悩まされた田中正雄さんが現在受けている治療は?

    病院から薬をもらい、夜寝る前に毎日1錠飲んでいるというクロナゼパムという飲み薬。この薬を飲むと、ストレスや不安を感じさせる扁桃体が穏やかになり、悪夢を見にくくすることが出来るという。
    ※服用する場合は必ず医師の指示を受けてください。

    田中さんは、このクロナゼパムを飲むようになって、寝ている間暴れなくなったというが、パーキンソン病やレビー小体型認知症の疑いがないか、今後も診察を受けていくそう。

    宮本先生によると「レム睡眠行動障害を早期に発見できると、今後の研究しだいではあるが、パーキンソン病、レビー小体型認知症の進行をゆるやかに出来る事が期待出来る」という。

    一般的にレム睡眠は約90分ごとにやってきます。そのため、レム睡眠行動障害の場合は、その寝言や異常行動が同じ時間に出やすい傾向があるという。

    レム睡眠行動障害の検査方法

    「睡眠ポリグラフ検査」をすると、一晩でレム睡眠行動障害を調べられる。睡眠時の脳波やアゴの筋肉の動きなどを測定し、レム睡眠行動障害かどうか判定する。
    レム睡眠行動障害の人は、レム睡眠時に「アゴの筋肉が動く」という特徴があるという。

    実際の患者のグラフ

    赤いグラフが示しているのが、アゴの動き。レム睡眠時に、グラフが激しくふれるという。

    睡眠ポリグラフ検査は、全国約100ケ所の病院で受診可能。気になる方は日本睡眠学会のホームページまで。

この番組は専門家の監修のもとに構成いたしました。
番組で紹介した事例は身体の悩みに関する原因とそれに対する解決策の1つです。事例により別の原因・学説があることをご承知ください。
医療行為を試される場合は医師に相談の上ご本人の正しい判断で行ってください。