2017年2月17日(金) 放送
【ゲスト】梅沢富美男、遼河はるひ
寒い冬に要注意の腰の悩み。突然襲い掛かる激痛。ぎっくり腰。寒さで血行が悪くなり、ぎっくり腰多発!実際、あるアンケート調査によると、ぎっくり腰になるのは中年だけでなくなんと20代でも5人に1人が経験しているといわれている。
※出典:ウーマンウェルネス研究会2014
突発的に起こる腰の痛みすべてを「ぎっくり腰」と呼ぶ。正式名称は「急性腰痛症」。その痛みのもとは、筋肉を覆う筋膜の炎症、筋線維の断裂、椎間板が神経を刺激など。
ぎっくり腰になる前には、腰に“負担の蓄積”がされている。ぎっくり腰を起きてしまうのは、一瞬の動きだけでなく、日頃の腰へのストレスが大きく影響しているという!
一流アスリートをはじめ、様々な腰痛を改善してきたメディカルトレーナー伊藤 和磨(いとう かずま)先生によると「人には利き手、利き足があるように、身体に左右のあるものは優位性が生じる。お尻にもそれがあって“利き尻”とそうでないお尻がある。」とのこと。
誰にでもあるという“利き尻”今回はぎっくり腰の鍵となる利き尻をチェックする方法を紹介。
1左右どちらか一方に脚を投げ出し、床に横座りする。この時、身体を垂直に保つようにする。
2反対側にも同じように横座りする。
3楽な方で横座りしたときに、地面についている方のお尻が“利き尻”。
座る時に利き尻に偏りすぎることがぎっくり腰の原因になってしまうとのこと。
座った時にどれだけ偏りがあるのか?一般被験者20名で検証してみると、20名中12名が利き尻に偏った座り方をしていた!
★利き尻に偏って座ると骨盤が傾く。
★頭で身体のバランスを取るため背骨が湾曲する。
★腰の筋肉や靭帯にストレスがかかり、疲労物質が蓄積し、炎症を起こす。
★炎症を起こしている部位が、ふとした動きでも痛みを発症してしまう。
足組座り
骨盤が後ろに倒れ、ねじれる、椎間板にかかるストレスが増す。
すべり座り
骨盤が後ろに倒れると関節の隙間が空き、ストレスがかかる。
モデル座り
脚を横に流すことで、骨盤が傾き腰にストレスがかかる。
モデル座りをする場合、脚を横に流す割合(頻度)を、違和感のある方:普段の楽な方=2:1にすると良い。
伊藤先生が考案した「スタック・シッティング」とは、猫背と骨盤の傾きを防ぎ、腰にかかる負担を最小限にする座り方。
1お尻を突き出し、イスの先端に座る。
2脚を前後に開く。
3前脚は小指を床につけるように曲げる。
4後脚は膝を深く曲げ、つま先を立てる。
5股を少しだけ開く。
スタック・シッティング
前脚⇒身体が前に倒れるのを防ぐ。
後脚⇒骨盤を立てる。
脚を開く⇒左右のブレがなくなる。
腰に負担のかからない座り方で、ぎっくり腰を予防できるとのこと!
1日の疲れをとる睡眠。朝起きた時が、最も身体はよい状態のはずが、朝8時ころから腰痛の発生件数が一気に増加。実は腰痛に悩む人で、寝起きが特にひどいと訴える人が多くいるという!
※出典:厚生労働省 職場における腰痛予防対策指針の改訂及びその普及に関する検討会報告書
なぜ、寝起きに腰痛がおこるのか?整形外科医で睡眠のスペシャリスト山田 朱織(やまだ しゅおり)先生によると、「寝起き腰痛の原因は、寝返りと深い関係がある」という!
山田先生によると「寝返りは、一カ所に体重がかかり続けないようにするために必要不可欠なものなのだが、寝起き腰痛の人は、寝返りが少ないという傾向がある。」とのこと。
実際に寝起き腰痛の人とそうではない人では、どれだけ寝返りの回数が違うのか?一般被験者6名が検証!
★寝起き腰痛歴なし
牧野さん(32)…寝返り18回
前島さん(55)…寝返り15回
加藤さん(47)…寝返り20回
★寝起き腰痛あり
寝起き腰痛歴3年 佐藤さん(31)…寝返り5回
寝起き腰痛歴30年 木村さん(50)…寝返り3回
寝起き腰痛歴3年 片岡さん(41)…寝返り4回
※一般成人の寝返りの平均は20回といわれている。
結果:寝起き腰痛をもつ被験者は、寝返りが少ない。
内臓、背骨、背骨の後ろには背骨を支える筋肉、そして筋肉にはたくさんの血管が通っている。ポイントとなるのは「内臓」。
寝るときの姿勢になると、腰のあたりに内臓が乗った状態になってしまう!40代の女性平均体重53kgの場合、23kgが腰に乗った状態になってしまい血管を圧迫してしまう。
血管が圧迫されると血流が滞って酸素が全身に行き渡らず酸欠になってしまう。そして血中の酸素が減少すると白血球や筋肉から痛みを引き起こす発痛物質が発生し、腰痛が起こる。
定期的に寝返りをすることができていれば、発痛物質は血液とともに流れ、酸欠状態も改善され、腰に痛みが生じることはないとのこと。
山田先生による「寝返りがしにくい睡眠環境ワースト3」。
第3位 ベッドの位置
ベッドは壁から50cm以上離す。添い寝も避けた方が良い。寝ていても無意識に壁の圧迫感を感じ寝返りがしにくい。また、人や動物のいる方へも無意識に寝返りを打たなくなるそう。
第2位 寝間着
摩擦の大きい衣類は寝返りしにくいという。では、摩擦が大きい生地は? 6つの素材の寝間着を用意し、摩擦係数を測定。
★摩擦が多い生地は?
モコモコパジャマ:0.524
フリース:0.449
スウェット:0.447
綿:0.380
麻(リネン):0.367
シルク:0.250
※摩擦係数が小さいほど、摩擦が小さい。
※番組調べ。
結果:摩擦が大きいのは、モコモコパジャマやフリース、スウェット。綿や麻、シルクは摩擦が小さい。ちなみに、毛布も摩擦が大きい。最初に布団を掛け、その上に毛布の順で掛けた方が良いとのこと。
第1位 枕
枕がやわらかいと頭が沈み、轍(わだち)にはまったタイヤのように抜け出せなくなり、次の寝返りをうちづらくなる。さらに、硬さだけではなく、枕の高さも重要。人によって適した枕の高さは違うので、「自分の体格に枕を合わせる」ということが大切とのこと。
理想の枕の高さ
横向きに寝たときに、「おでこ」「鼻」「アゴ」「胸」が一直線になり、布団と平行になる。鏡を見ながら確認を。
用意するのは、タオルケットと玄関マット。玄関マットは裏地があり、毛足の短いものを選ぶのがポイント。
1玄関マットを蛇腹に三つ折りする。
2タオルケットを四つ折りする。
3玄関マットの上で四つ折りにしたタオルケットを蛇腹に三つ折りする。
4タオルケットをめくりながら高さを調節。
寝起き腰痛改善3つのポイント
★ベッドを壁から離す。
★摩擦の少ない寝間着を着る。
★理想の硬さと高さの枕を使う。
この3つのポイントに気を付け、しっかり寝返り。寝起き腰痛を改善!
あなたの身にも起こるかもしれない恐ろしい腰痛。最新の研究では信じがたい事実が…。お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック 銅冶 英雄(どうや ひでお)院長によると、腰痛の85%は正確な原因部位の診断が難しいとのこと。
※下肢症状を伴わない腰痛の場合。
※出典:腰痛診療ガイドライン2012
最初に腰痛を感じたのは今から13年前。所属していた高校野球部の練習時、素振りをしていると腰に鋭い痛みが。時折襲ってくる腰の痛み。3カ月経っても痛みが引かないため病院へ。診断の結果は…「腰椎分離症」(腰の骨「椎弓(ついきゅう)」が折れること)。医師の指示通りコルセットを使用する生活を続けたが腰痛は完治せず1年が経過。大学の受験勉強をしていた室谷さんの腰に、さらなる異変が!なんと、腰の痛みが左下へ移動したのだ。
その後、室谷さんの腰の痛みはさらに悪化…。
症状(1)座っていると内側から突かれるような痛みが襲う。
症状(2)ヒザを立てて座ると痛みが軽減。
症状(3)イスに10分間も座れない。
症状(4)仰向けで寝るとじわじわ痛む。
レントゲン写真を見ると、以前「折れている」と診断された椎弓はもう折れてはいない。しかしなぜか痛みは増すばかり…。ほかの病院を転々とするも、どこへ行っても一向に原因はわからず、痛み止めを処方されるだけだった…。訪れた病院は実に7カ所に及んだ。
室谷さんはこの間、激しい痛みのため勉強も出来ず大学受験を断念。好きな野球も出来ない…。謎の腰痛によって、室谷さんは絶望のどん底に。しかし最初の痛みから5年半、ついにその原因が明らかに!
治療を受けた室谷さんは腰痛が解消!受験勉強に励み山梨大学医学部に合格し、現在は医者を目指して猛勉強中。今では大好きな野球ができるほどに回復しているという。果たして、室谷さんを襲った腰痛の正体とは?
実際に室谷さんを診断したJCHO仙台病院副院長 村上栄一(むらかみ・えいいち)先生は「室谷さんの腰痛の原因は、仙腸関節にありました」と語った。
仙腸関節とは、仙骨と腸骨とをつなぎあわせる関節。動きはわずか2~3mm。
人間の身体は、頚椎、腰椎、そして仙腸関節、股関節、ひざ関節、足関節などで外部からの衝撃を吸収している。しかし、仙腸関節以外の関節は地面と水平になっているため、垂直方向の衝撃を吸収しにくいという。
つまり歩行やジャンプなどの時に発生する垂直方向の衝撃は、ほぼ全て この仙腸関節が吸収しているとのこと。仙腸関節が動かなくなってしまうと、今まで吸収していた衝撃が周辺の筋肉や靭帯に伝わって負担がかかり、腰痛として表れてしまうとのこと。
室谷さんもこの仙腸関節が動かなくなったのが原因だったと、村上先生は言う。室谷さんを襲った「イスに座れない」、「仰向けで痛みが出る」という症状は、腸関節による腰痛の特徴のひとつとのこと。
ではその治療法とはどんなものなのか?実際に他の病院で原因不明と診断された多くの患者さんの治療に成功しているというその方法とは…仙腸関節への「ブロック注射」。ブロック注射とは、痛みを感じる部分に麻酔剤を注入する治療法。
仙腸関節へのブロック注射
(1)仙腸関節の狭い隙間に麻酔剤を注入することで感覚を麻痺させる。
(2)仙骨と腸骨の間を広げ、動きを滑らかにすると考えられている。
村上先生によると、「ブロック注射の効果は研究段階ですが、単なる注射、麻酔効果だけではなく仙腸関節の状態・不適合を上手く改善している、効果が得られていると思っています。」とのこと。
JCHO仙台病院(平成24年1月~12月)
腰痛による新患数…239名
仙腸関節が原因の腰痛…115名(49%)
腰椎椎間板ヘルニア32名(13%)
やり方は簡単。腰の痛みを感じる部分を人差し指で指すだけ!指した場所が図のような尾てい骨の斜め上の場合は、仙腸関節が原因の可能性あるという。
17年間悩んだ腰痛の原因がスタジオで仙腸関節にあると村上先生に診断された遼河はるひ。収録の5日後、ブロック注射を打つため仙台の村上先生のもとへ。
仙腸関節へのブロック注射で、腰の痛みが改善したことを実感した様子。村上先生によると、仙腸関節が改善した状態が1週間持つ人もいれば、数カ月大丈夫という人も。中にはそのまま治ってしまう人もいるという。
★診療時間は、診察を含めわずか30分
★ブロック注射1本 約1000円(初診料含まず)
★日帰りでも治療可能
JCHO仙台病院以外にも「仙腸関節研究会」と検索すると、日本全国の「仙腸関節の診療をしている病院」を確認が可能。
1脚を広めに開き、ゆっくり腰を落とす。この時、できるかぎり前かがみにならないように注意する。
2腰を落としたまま5秒間キープ。
3前かがみにならないように、ゆっくりと戻す。
1日5回×2セットを目安に行う。1日の関節の動きはじめである起床後に行うことで、より仙腸関節による腰痛の予防ができるそう。
※試される場合は安全な環境のもと体調に留意して行ってください。
この番組は専門家の監修のもとに構成いたしました。
番組で紹介した事例は身体の悩みに関する原因とそれに対する解決策の1つです。事例により別の原因・学説があることをご承知ください。
医療行為を試される場合は医師に相談の上ご本人の正しい判断で行ってください。