フジテレビ系にて、ソーシャルディスタンスドラマの放送が決定した。主演は林遣都。今回唯一の出演者で、一卵性三つ子役=一人三役を熱演する。
脚本は朝ドラ『スカーレット』の水橋文美江、監督は2020年新春に『フジテレビ開局60周年特別企画 教場』を演出した中江功が担当。
アフターコロナ、ウィズコロナ・・・緊急事態宣言が解除されても、まだまだ私たちの世界はもとのようには戻らない。コロナ禍の日々はしばらく続くだろう。そんな日常の中で、出来ない(できない)ことを面白がり、限られた制約をあえて楽しもうと生まれた企画だ。
とはいえ、奇想天外なファンタジーでもSFでもゾンビものでもない。どこにでもいそうな若者三人のアフターコロナ、ウィズコロナの今を切り取ったリアルな物語だ。ただしこの若者三人・・・この状況では密な撮影が無理なので・・・三つ子とした。
今回の緊急事態宣言で、「うちで過ごそう」「今は我慢」「Stay Home 」「自粛しよう」・・・。思ってもみなかった現実を過ごさざるを得なかった日々。人々はどう感じたか。辛く、しんどいと感じた人、淡々と受け止めた人、楽しもうと試みた人・・・ドラマは人の数だけあったはず。
ポジティブに受け止めることが出来た人がいたら・・・「素晴らしかった」と思える人がいたら?それは人間のたくましさ、生きることを明るく照らす光となり得るのではないだろうか?緊急事態宣言解除後に再会した若者三人の姿を通じ、ほんの一瞬でも生きることの楽しさ、おもしろさ、光を感じていただければ・・・。
※これはいわゆるリモートドラマというくくりではなく、リモートによる打合せと、密を避けての安心安全な撮影を徹底した、いわばソーシャルディスタンスドラマである。
<林遣都が一人三役を演じる!>
今ドラマの主演であり、また唯一の出演者を林遣都が演じる。
林は、2007年に映画『バッテリー』の主演で俳優デビュー。その演技は高く評価され、日本アカデミー賞をはじめ多くの新人賞を受賞。その後も、数々のドラマ・映画で常に存在感を放ち、又吉直樹の芥川賞受賞作をドラマ化した2017年『火花』(Netflix)での熱演には、同世代の若者のみならず、幅広い世代から支持を集めた。また、2019年のNHK連続テレビ小説『スカーレット』では、戸田恵梨香演じるヒロイン・喜美子(きみこ)を支える幼なじみ、信作(しんさく)役を好演。そして今年1月4日(土)、5日(日)に放送された『フジテレビ開局60周年特別企画 教場』では訓練生の一人、平田和道(ひらた・かずみち)を演じた。
そんな林が今回演じるのは、商事会社勤務・望月勇人(もちづき・ゆうと)、会計士・望月泰斗(もちづき・たいと)、茨城在住の農園経営・望月三雄(もちづき・みつお)。29歳の一卵性三つ子だ。
林が一人三役を演じるのはもちろん初めてのこと。今、この時期だからこその企画と、林の演技に注目したい。
<脚本は『スカーレット』の水橋文美江>
『世界は3で出来ている』の脚本は、『ホタルノヒカリ』(NTV系2007年、2010年、映画は2012年)、『母になる』(NTV系2017年)、そして最近では『スカーレット』(NHK連続テレビ小説2019~2020年)の執筆が記憶に新しい、水橋文美江。また、プロデュース・演出は、『Dr.コトー診療所』(2003年、2004年、2006年)、『ようこそ、わが家へ』(2015年)、『貴族探偵』(2017年)、さらに今年の1月4日(土)、5日(日)放送の『フジテレビ開局60周年特別企画 教場』を演出した中江功。中江と林とは『教場』でもタッグを組んでいる。
<プロデュース・演出 中江 功(フジテレビ第一制作室) コメント>
Q) 企画意図について。
「今回の予期せぬ状況下においても知恵と工夫を凝らし、さまざまなリモートによるドラマ作品が生み出されてきました。それらに取り組まれた方々の志、思いに感銘を受けたのが始まりです。
“今だから”というよりは、“これから”を念頭に、『緊急事態宣言』解除後の“新しい生活様式”、“ソーシャルディスタンス”を守った上で、どうすれば脚本に描かれた世界を撮影できるかを考えました。
ジェームズ・キャメロンのように ウィルス対策が功を奏したニュージーランドで撮影するか、トム・クルーズのようにISS (国際宇宙ステーション)で撮影するか、林遣都さんに3役やっていただくか、の3択で林遣都さん3役を選びました」
Q) 主演の林遣都のキャスティングに関して。
「彼以外に考えられないので、断られたらこの企画はなかったことにしようと思っていました。引き受けていただいて感謝しています」
Q) 視聴者の方へのメッセージ。
「リモートドラマというより、ソーシャルディスタンスドラマと勝手に名付けました。 お休み前のひととき、林遣都劇場をどうぞまったりとお楽しみください」
望月勇人(もちづき・ゆうと)、商事会社勤務、29歳。子供の頃から明るくお調子者で、すべてノリで生きてきた。今の会社も亡き父のコネで入ったのだが、入社してはや7年。さすがに仕事はノリやコネだけでは乗り切れず、すっかり落ちこぼれのサラリーマン。自他ともに認めるポンコツ。会社を辞めたいとすら思っていたところに今回の緊急事態宣言。テレワークやオンライン会議という仕事環境が一変したこの3カ月で勇人はいったいどうなったか・・・。宣言が解除されたある日、勇人を案じていた兄・泰斗(たいと)と弟・三雄(みつお)が勇人の元にやってくる・・・。
Q)今回の出演のお話がきたときの感想を教えてください。
A)「昨年から今年にかけて、(『スカーレット』の)脚本の水橋さんと(『教場』の)演出の中江さん、このお二人との出会いは自分の中での大きな出来事でした。もっと水橋さんの描く人間を演じたいと思いましたし、中江組をもっと経験したい、またいつか参加したいという気持ちがあったので、まさかそのお二人で、しかも出演者が自分だけという形で、声をかけていただけたというのは、とてもうれしかったです。今、いろいろなところで新しい試みでの撮影が行われている中で、映像作品を作る人たちにも、きっといろいろな変化があったと思います。そんな中で、自分が一人の俳優として何をやっていくのか・・・脚本があって、監督さんやスタッフの方々がいて、普通に演じられる喜びを(今回のお話で)改めて感じました。もちろん、撮影はソーシャルディスタンスを守ったり、スタッフさんの人数を減らしたりと変わってきていますし、いろいろ守るべきことはありますが、やっていることは今までと変わらず、スタジオにセットを組んでいただいて。改めて、役者って一人じゃ何もできないんだなと思いましたし、実際にこうして撮影に入ってみても、皆さん(スタッフ・キャスト)が集まってはじめて、ひとつの映像作品が生まれるんだということを感じました。これからも撮影環境は変わっていくとは思いますが、今自分ができることをやっていきたいなと思いました」
Q)脚本は『スカーレット』の水橋さんですが、台本を読んでの感想をお聞かせください。
A)「本当に水橋さんの脚本が大好きなんです。昨年から今年にかけて1年弱、『スカーレット』で一人の人間を作っていただいて、それを演じていて、ずっと感動しっぱなしでした。水橋さんの見てきたものや、人生観や世界観、笑いのセンス、すべて本当にとても好きで、演じがいがありました。また、水橋さんが生み出す人間を演じたいと思っていたんですけれど、まさかこんなに早く、しかも三人も書いていただいて演じることができるというのは自分にとっては大きな喜びでした。今回台本を読んでいて、改めて感じたことは、水橋さんの台本は、セリフが自分の(お芝居の)準備や努力とは別のところで勝手にしみこんでいくというか・・・それが何でなのだろう、と思ったときに、水橋さんの台本ってすごく“余白”があるんだなと感じました。今回だと、三人が子供のころにお世話になった近所のラーメン屋さんの若社長の話とか、お母さんのこととか、いろいろな背景がどの登場人物でも、役の上で登場しない人でもしっかり描かれていて。演じる側がそれを想像してイメージを膨らませて、水橋さんが与えてくださった設定を作り上げていかないとすごく薄っぺらいものになってしまうと思うんです。かなりハードルの高い台本で、難解なのですが、その作業を自分でやっていくことによって、ひとつひとつのセリフが、本当に自分がこの役をずっと生きて経験してきたかのようにその手助けをしてくれるんです。だからやっぱりすごい台本だなって今回、より強く感じました」
Q)一人三役を演じられるということで、事前に気をつけたことなどありましたか?
A)「三つ子という設定には最初驚きましたけれど・・・とても難しいだろうし、かなり挑戦的な企画だなと思いましたがやりがいを感じました。演じ方によって、できあがるものがまったく変わってくるなって感じたので、ひとつひとつ台本を読みながら膨らませていきました。でも、自分が三つ子を、三人分を演じるので、同じ顔はどうしようもない。撮影期間も短く、入れ替わりながら撮っていく中で、とにかく一人一人気持ちを込めて演じていくことを軸におきました。見てくださっている人に、掛け合いや空気感で、だんだんそこにいる三人が何となく、気がついたら別人に見えていたらいいなと。精一杯自分の心を込めて演じることでどこまでできるかなって」
Q)実際に演じられていかがでしたか?
A)「(三役を)入れ替わりながら演じていくのは、僕自身も混乱しました。台本ができてから撮影までの限られた時間で自分がどこまで膨らませられるかということが勝負だと思っていました。今回の企画で、映像作品のスペシャリストの方たちと一緒にお仕事できたということの喜びの方が大きく、とにかく楽しかったです。あとは自分がどこまで突き詰めていけたか?というところです」
Q)企画・プロデュース・演出は『教場』も担当した中江でしたが、久しぶりの中江監督の現場はいかがでしたか?
A)「昨年『教場』ではじめてご一緒して、感銘を受けたというか・・・当時も話していたのですが、中江組の雰囲気、演出・・・映像作品の現場ってこうでないと、と思うことが多々ありました。今回もそれをより強く感じました。ものすごい分量と大変な撮影を短い時間で皆さんされていて。そんな現場が自分にとってすごくプラスで、こういう監督の元でもっと演じるべきだなと改めて思い知らされました。今回、自分なりに準備はしましたが、中江監督が“さあ、どう演じるの?”っていう感じで、どれだけ大変な状況でも俳優力が試されているというか、撮影中にセリフや芝居で失敗しそうになった時に、“中江監督の元で育った役者さんは、たぶんこんなの当たり前にやるんだろうな“っていうのがすごく自分の中にはあったんです。それがあるので、自分もどこまででもがんばれるというか、やればやるほど結果やできあがりが変わってくるんだなっていうのは感じています。今までなかなか出会えなかったタイプの監督さんなんです。『教場』の時に印象的だったのは、大勢のキャストやスタッフの方々がいたのですが、誰に対しても分け隔てなく愛情をもって接してくださる・・・とにかく人柄がすてきな方なので、今回出演者が一人で、これだけマンツーマンで演出していただけるというのは今後の自分の財産になると思いますし、大きな作品になりました」
Q)中江監督は、今回のドラマは、林さん以外のキャスティングは考えていなかったとコメントしていましたが・・・。
A)「あんなにうれしい言葉はないです。でも、プレッシャーでもあります」
Q)最後に、視聴者の皆様へ見どころをお願いします。
A)「今回のドラマは、ソーシャルディタンスドラマという、なかなか挑戦的な試みをしているドラマだと思います。現場も試行錯誤で苦労しながらやっていましたし、僕自身も(放送を見るまでは)どんな映像作品に仕上がっているのか想像ができません。今の段階でのこの作品の見どころは難しいですけれど、改めて“テレビドラマっていいな”と感じていただけたら。いくらでも想像が膨らむ作品になっているので、僕自身演じさせていただいて、こんなに幸せなことはありませんでした。“またドラマを見たいな”という気持ちになっていただけたらうれしいです」
<出演>
林 遣都
<スタッフ>
脚本:水橋文美江
(『スカーレット』NHK連続テレビ小説、『母になる』NTV系、『ホタルノヒカリ』NTV系他)
プロデュース・演出:中江 功
(『フジテレビ開局60周年特別企画 教場』、『貴族探偵』、『ようこそ、わが家へ』、『Dr.コトー診療所』他)
プロデュース:宋 ハナ
(『第31回フジテレビヤングシナリオ大賞 パニックコマーシャル』)
制作著作:フジテレビ