INTERVIEW
インタビュー

フジテレビへの入社を決めたきっかけは?

田部井
テレビ局でドキュメンタリー番組を作りたいと思っていました。
ただ、そもそもフジテレビがなぜ自分を採用してくれたのか、未だに大きな謎のままですね…(笑)内定をもらったときは本当に驚きました。
振り返ると、当時さまざまな企業の選考を重ねる中で、フジテレビの採用面接だけもっとも自然体で偽りのない気持ちを伝えられたとは思っています。
入社前後で会社へのイメージのギャップはありましたか?

田部井
ギャップは相当ありましたね。社員全員がキラキラしている明るい会社だと思っていたのですが、とにかくいろんな人がいて個性に溢れています。元気な人から落ち着いた人まで、たくさんの社員がテレビと向き合っている会社です。
異なる考え方を持つことがより明確になった時代に、多様な価値観を持った社員が一緒に働くことのできる良い環境だと思います。
現在の仕事内容を教えてください。

田部井
現在は、朝の情報番組『めざましテレビ』『めざましどようび』(以下ともに『めざまし』)を担当しています。
今の主な仕事は『めざまし』の番組の中身を決めていく役割です。番組内ではニュース、スポーツ、エンタメ、最新トレンドなど、非常に幅広いジャンルを取り扱うので、どんな内容を、どの時間帯に、どれくらいの長さで放送するのかなどを、検討・決定していくことです。
普段の仕事に加えて、ドキュメンタリーの企画や取材なども行っています。
ドキュメンタリーではどのような作品を手掛けてきたのでしょうか

田部井
2014年には女性の貧困と日本のセーフティネットの実情を取材したドキュメンタリーを制作しました(*1)現在は、以前担当していた情報番組で取材した方に、追加の取材・撮影を行っている最中です。
*1 『刹那を生きる女たち 最後のセーフティーネット』(2014年11月14日 放送)
第23回FNSドキュメンタリー大賞受賞作品
情報番組とドキュメンタリーの制作では、どのような違いがありますか?

田部井
そもそも時間軸が大きく異なりますね。
情報番組では、「いま起きていることをすぐ伝える」という即時性が求められます。対して、ドキュメンタリー番組では、短くて数カ月ほど、長いものだと数年単位での取材が必要になります。放送までに考える時間も長くなるので、休日でも自然と構成を考えていることが多いですね。

やりがいといった面でも、情報番組とドキュメンタリーでは違いはあるのでしょうか?

田部井
ドキュメンタリーは特に「取材対象者に嫌われては取材ができない。でも相手が言いたくないことを聞かなくてはいけない」という矛盾が生じます。節度ある距離感をとりながら取材させて頂いて、「作っては壊し、作っては壊し」というのを何度も繰り返しながら完成させることにやりがいや楽しさを感じますね。
対して情報番組の制作は、取材からオンエアまでスパンが短い分、時代の風をダイレクトに感じることに、やりがいを感じます。
一見離れているように見える情報番組とドキュメンタリーですが、「時代の動きを肌で感じて発信する」という面では、両方とも通じるものがありますね。

番組制作の中で、
印象に残っているエピソードを教えてください。

田部井
『めざまし』のような早朝の番組はやっぱり眠い時もありますね……(苦笑)。若手のころは閉ざされた空間で黙々と編集して、誰に向かって発信しているのか曖昧だった部分も多かったんです。こんな朝早くから誰が見ているんだろう、と。
そんなときに、ドキュメンタリー番組で取材させて頂いていた方が「毎朝4時に起きて、めざましを見て出勤しているんです」と話してくれたんです。「ああ、自分はこの人たちに向かって番組を作っているんだ」とようやく理解できましたし、今でも仕事と向き合う原点になっていますね。
番組制作者を目指す上で大事なことはなんですか?

田部井
執着や偏愛でもいいので、「これを作りたい」という愛情を持つことだと思います。情報番組かドキュメンタリー番組かはあくまで手法でしかありません。何を伝えたいかを明確に持つことが重要だと思います。
特に、今の若い世代を見ていると「#(ハッシュタグ)」をつけて好きなことを発信するハードルが低くて素敵だなと。好きなものや人への愛を周囲に発信することは素晴らしいなと感じます。番組制作者を目指す上では、自分が持つ偏った愛情を持ち続けてほしいですね。

テレビ局を目指す学生へのメッセージをお願いします。

田部井
まず、社会人になることを怖がらないでほしいです。私自身も大学生の頃に「学生時代が1番楽しいよ」と社会人の先輩から言われていましたが、実際に社会人になってからの方が楽しいと自信を持って言えます。
稚拙でも自分の愛情や想いを言葉にできた人はどの会社に就職しようが、自分の人生でその言葉を背負っていけます。就職活動中は悩むことも多いと思いますが、ほんの少しの時間でいいので情報をオフにして、自分のものさしで「感動の根っこ」を探る時間を持ってほしいですね。