映画プロデューサーの仕事

映画制作部 梶本 圭

映画制作部

梶本 圭

夢を描き、具現化していくこと

プロフィール
2005年フジテレビ入社
神奈川県 出身
立教大学経済学部 卒
主なプロデュース作品
『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(2020年)
『コンフィデンスマンJP ロマンス編』(2019年)
『ONE PIECE STAMPEDE』(2019)
『人魚の眠る家』(2018)
『いぬやしき』(2018)
『ONE PIECE FILM GOLD』(2016)

SCHEDULE

映画制作の流れ

  • 企画

    部署内で行われる企画会議では、各プロデューサーがプレゼンを行います。初めに作られるのはいわば“夢の企画書”。それに対し、予算内に収まるのか、本当にヒットさせられるのかなどを含めた議論が交わされます。企画出しの方法は人それぞれですが、私は書店を巡って、面白そうな作品を1巻だけ購入して読んでみたりします。そして、とにかく色々な人に会って話をすること。自分の興味と他人の興味が交わったところに、新しい可能性が見えてくることも多いと思います。

    企画の打診・コンペ

    最近の映画は漫画や小説が原作となることが中心になってきています。その場合、社内で通った企画書を元に出版社へ映画化の打診を行います。人気の作品は他社とコンペになることも少なくありません。
    どの監督と一緒に製作するかによって、作品のテイストは大きく変わっていきます。自分の中のイメージを具体化してくれる監督さんと仕事ができると嬉しいので、そういった監督に協力を依頼します。「この監督で、いつ頃撮影ができそうですが、フジテレビで制作させてもらえませんか?」といった具体的な話も交えて企画を提案していきます。

  • 脚本作り

    監督・脚本家・制作会社のプロデューサー・そして映画制作部のプロデューサーの4人がメインとなり、脚本を作っていきます。映画が面白くなるかならないかは、すべて脚本にかかっているといっても過言ではありません。長ければ1年近くかけて脚本を完成させていきます。





    キャスティング・撮影

    撮影時期・公開時期が決まると、いよいよ役者さんのキャスティングに入ります。原作がある場合は具体的に役柄をイメージしてもらえるので、オファーしやすかったりします。
    作品の規模によりますが、1〜2カ月ほどかけて撮影が行われます。アクションをはじめ、撮影場所やキャストの人数が多い作品など、テイク数やカット数が多い場合はそれだけ時間もかかります。
    2018年に担当した『いぬやしき』では大規模なアクションシーンがあるため、企画から公開までに約4年かかりました。主演の木梨憲武さんをはじめ出演者の方々には、CG合成にあわせた表情作りにも相当こだわっていただきました。

  • 編集・ダビング

    撮影が終わったら1カ月ほどかけて編集作業を行い、上映時間の尺にあわせて調整していきます。監督・プロデューサー・委員会の意見をすり合わせつつ、ピクチャーロック(絵を固めること)を目指します。そこからプロの技術者が入り、CGや音楽、劇判(BGM)の制作作業へ。いかに印象的な作品に仕上げられるかがこの段階で決まります。
    そして映画館と同じサイズの巨大スクリーンに映像を映しながら、何台ものパソコンを駆使し、最後は1週間ほどかけて各担当者が映像や音響の最終調整を行います。

    初号試写・宣伝

    出演者・スタッフ・委員会のメンバーを集めて、何度かに分けて試写を行います。ごくたまにそこでミスが発覚し、急いで修正することも。ここで問題がなければ、無事公開へと進みます。
    そして、制作と同じくらい重要なのが宣伝です。実は、宣伝はかなり長い時間をかけて進めていくもの。企画が通り、映画のコンセプトが決まり次第、どのターゲットに向けてどんな手段で、いつから宣伝を展開していくかを配給会社の宣伝プロデューサーと練り上げます。作品によっては、公開の数年前から小出しに宣伝を打っていくケースも。完成披露試写会もまた、メディアに対する大事な宣伝のひとつとして行われています。

INTERVIEW

インタビュー

映画制作部 梶本 圭

なぜテレビ局への就職を決めたのでしょうか?

梶本 圭

梶本

脚本家をしている母の影響が大きいと思います。僕が幼いころから、母は昼の帯ドラマの脚本などを中心に仕事をしていて、そんな姿が幼心にとても充実して見えていたんです。 たまにドラマの撮影現場に連れて行ってもらう機会があり、母だけではなく、現場で働くキャストやスタッフの皆さんがとにかく楽しそうに仕事をされていて、僕も将来この世界で仕事がしたいと漠然と考えるようになりました。

なかでもフジテレビを選んだ理由は?

梶本 圭

梶本

高校・大学時代、『踊る大捜査線」のドラマが大ヒットして映画化されたり、木村拓哉さん主演の『HERO』やバラエティの『めちゃ×2めちゃイケてるッ!』が一世を風靡したりして、当時は常にフジテレビが面白いことの中心にいるような印象がありました。今でもその印象が脳裏に焼き付いていて、あの頃のようにフジテレビをこれから盛り上げていきたいという気持ちで自分を鼓舞しています。

最初に配属された営業局で経験したことを教えてください。

梶本 圭

梶本

7年という長い時間を過ごした営業局スポット営業部では、ビジネスマンの基礎をみっちり学ばせてもらいました。あまり知られていないのですが、テレビ局の収益源の大きな部分を担うのがこのスポット営業部なんです。仕事内容を端的に言うと、広告代理店を通してクライアント企業にCMの枠を売る仕事なんですが、入社5年目のころにはプランナーとして数百億円のお金を動かしていましたね。テレビ局では制作部門が注目されがちですが、僕自身は、営業局時代に培った「リアルにお金を稼ぎ、会社に収益をもたらす」といったノウハウが今の仕事でも役立っています。

映画制作部 梶本 圭

映画制作部へ異動に至った経緯は?

梶本 圭

梶本

母の影響もあり、いつかは映像を制作する部署に行きたいとは考えていました。営業局の仕事も7年目を迎えた29歳のころ、意を決して映画制作部への異動希望を出しました。というのも、ちょうどその頃にスポット営業部から映画制作部に異動になった先輩が頻繁に営業に顔を出していたんです。その先輩に色々相談していく中で、本当に自分のやりたいことは何だろうかと、自分を見つめ直すことができたと思います。

映画制作のプロデューサーの仕事内容、醍醐味は?

梶本 圭

梶本

夢の企画書を具現化していくことが一番の醍醐味だと思います。映画作品を一つの会社にたとえれば、僕らプロデューサーは「夢を持った社長」ですね。現在10人のプロデューサーが在籍していますが、それぞれが単独で案件を動かしています。ただ僕を含め、全員が亀山さんや石原さんのように飛び抜けた才能をもっているわけではない。自分たち自身だけで素晴らしいアイデアを発揮して作品を作るのではなく、信頼できる監督や脚本家、音楽作家など各部門のエキスパートの力を借りながら作品をまとめあげ、それをどうやって売っていくかを考えるのもプロデューサーの仕事です。夢を具現化する中でプロの技を身近で見られることも、やはりこの仕事の醍醐味でもありますね。

映画制作部 梶本 圭

フジテレビ映画制作部ならではの強みとは?

梶本 圭

梶本

やはり歴史が積み上げてきたブランド力だと思います。たとえば漫画原作の映画を制作したいと考えたとき、出版社に企画書を持ち込みますよね。もし競合がいたとしたとしても、「確実にヒット作に導いてくれるのはフジテレビ」と言っていただけるケースも多い。そういった面で強みは感じています。そして、最高のエンターテイメント作品を作るために徹底的にこだわる気概と蓄積されたノウハウは、他社には負けないと思っています。

映画制作とドラマ制作、どんなところが違うのでしょうか。

梶本 圭

梶本

インターネットの台頭とともにテレビの力が弱っている中で、やはりテレビ局において放送外収入は重要になってきています。ドラマは視聴率の良し悪しで評価こそされるものの、実際の収益自体にすぐに結びつくわけではない。しかし、映画はビッグビジネスなんですね。ヒット作になって興行収入が伸びれば伸びるほど、会社の利益に貢献することができる。営業局で長年ビジネスに触れてきた僕にとっては、そういった面でも映画の制作に魅力を感じています。

映画制作部 梶本 圭

梶本さんが映画制作部に異動されて7年になります
が、今後の目標は?

梶本 圭

梶本

やはりフジテレビの真骨頂でもある「エンタメど真ん中」を貫き続け、ヒット作をどんどん世に送り出したいということでしょうか。僕自身、実はもともと邦画よりハリウッド大作が大好きなんですよ(笑)。でもハリウッドと同じ予算があるわけではない。その中で、いかにハリウッド映画のようなエンタメ性の高い作品をつくることができるのか。それを考えながら、しっかりビジネスとしても成功させていきたいです。

コロナ禍の映画界において、どのような変化を感じていますか。

梶本 圭

梶本

たとえば『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の大ヒットは、まさにコロナの影響だろうと推測しています。というのも、この情勢でハリウッド作品の公開が一気に止まってしまった。シネマコンプレックスで上映中の作品数を見ても普段の半分ほどしかなく、さらにその大半が『鬼滅の刃』を流している。つまり、本来だったら話題が分散するはずが、一極集中している状態なんです。もちろんコロナ禍でなくても凄まじいヒットはしていたと思いますがここまでの数字は難しかったでしょうね。
そして世の中の情勢によって人々が映画に求めるものはやはり変わっていると感じます。ただ、どんな状況下でも、驚きや楽しさというものは普遍的なものですから、変わらず面白い映画を提供し続けていきたいですね。

映画制作部 梶本 圭

映画の仕事に興味がある学生の方に向けて、
メッセージをお願いします。

梶本 圭

梶本

やっぱり「エンタメど真ん中を突き進もう」という想いが必要ですよね。フジテレビの映画には、派手なものからしっとりしたもの、尖っているものなど様々な作品がありますが、根幹にあるのはやはりエンタメなので。「大衆受けはしないけれど、すごくマニアックな作品が好き」という人にフジテレビが向いているかというと、微妙かもしれません。僕たちは作りたいものを好きなように作っているわけではなく、あくまで作品をビジネスとして成功させ、会社に貢献するために仕事をしています。
そういった観点で物事を客観的に見ることができ、興味がなくてもヒット作をどんどん見て、「なぜ今この作品がヒットしているのか」それを自ら分析できる人が向いているのではないでしょうか。