制作技術

大井 允人

視聴者を
ドキッとさせる
一瞬を逃さない

プロフィール
2018年入社
大阪大学大学院 情報科学研究科 卒
所属(2026年10月現在)
テックアートデザイン局 第1制作技術部
主な担当番組・業務
制作カメラマン。『FNS歌謡祭』『STAR』『MUSIC FAIR』などの音楽番組のほか、
フィギュアスケートやスケートボード等のスポーツ中継を担当。

INTERVIEW

インタビュー

これまでどのような仕事に携わってきたか教えてください。

大井 允人

大井

入社して最初の3年間はVE(ビデオエンジニア)という、映像の色味や質感を番組の内容や企画に合わせて調整する仕事をした後、入社4年目に希望が叶ってカメラマンになりました。

現在は『FNS歌謡祭』『STAR』『MUSIC FAIR』などの音楽番組を中心に担当しており、『MUSIC FAIR』ではカメラチーフというカメラマン全体を統括するポジションを務めています。その他にもスポーツ中継やCSの番組など、幅広い制作現場に携わっています。

音楽番組がメインということですが、放送までにどのような準備をするのでしょうか。

大井 允人

大井

大井 允人

例えば『STAR』では、本番の2~3日前までにアーティストのダンス映像や楽曲の音源データが送られてきます。さらに前日には台本とカット割りが共有され、その後担当ディレクターも交えて「カット割り打ち合わせ」を行います。

その打ち合わせでは、音源や映像資料を見ながら、カット割りの意図について制作とカメラマンで認識をすり合わせたり、カメラの動線が成立しているかなどの確認を行います。

本番当日はリハーサルからOAまでどのような流れで行われますか。

大井 允人

大井

大井 允人

基本的には「場当たり」「音合わせ」「カメリハ(カメラリハーサル)」の流れですね。「場当たり」はダンスパフォーマンスがある出演者が行うもので、実際のスタジオで振り付けの位置や動線を確認するのですが、カメラマンも入れるところは入って、「このシーンはこういう形で撮ります」ということを出演者とも共有していきます。

その後、出演者がイヤモニなど歌う環境をチェックする「音合わせ」をするのですが、ここでカメラマンは事前に想定していたカメラワークを初めて試すことになります。「音合わせ」で撮影した映像を出演者・スタッフ全員で見て、修正ポイントがあるか確認し、最後に本番さながらの「カメリハ」を行うというのが大まかな流れですね。

『MUSIC FAIR』などの収録番組ではその後すぐに本番となりますが、生放送ではこの作業を全出演者分繰り返して本番に備えます。また、『FNS歌謡祭』のような大型特番になると、それに加えて「ランスルー」というリハーサルも行います。「ランスルー」は番組全体の通しリハーサルのことで、尺や動線など全てを確認した上で、自信を持って番組を視聴者にお届けできるよう、最善の準備をしています。

実際に『STAR』の現場を見させていただきましたが、あそこまで出演者に近づいて撮影するんだということに驚きました。

大井 允人

大井

大井 允人

『STAR』では、Roninという手ブレ補正機能がついたスタビライザーに、FX6というコンパクトシネマカメラを取り付けた機材を担当しています。ダンスの臨場感を出したい時や、ステージを移動する振り付けがあった時にその動きをフォローしたり、よりダイナミックに見せたいカットで使われるんですが、時には数十センチのところまで出演者に近づいて撮影していますね。

普通のカメラはケーブルが繋がっているのですが、Roninは出演者の近くまで入っていくので、ケーブルを繋がない「ワイヤレス」を採用しています。そのため背中にはリアルタイムの映像を送ることができる送信機を担いで撮影しているのですが、カメラと送信機それぞれ4kgくらいあるので、8kg分の重りを身に付けたままスタジオを走り回っている感じです!

あそこまで出演者に近づいて撮るのは、カメラマンでないとできない経験だと思うのですが、実際にやっている時はどんな気分ですか。

大井 允人

大井

大井 允人

シンプルにめちゃくちゃ楽しいですね!事前にどのシーンを自分が担当するか分かるので、そこでどんなカメラワークにするか予め考えるのですが、「めっちゃいいワーク思いついた!」というカットはやる前から本当にワクワクします。

本番でも「はいはいはい!来たよ!」と思いながら撮影していますし、自分のイメージ通りにハマった時は最高に脳汁が出ます(笑)。

『STAR』の現場では、「音合わせ」後にすぐモニターを確認されている姿も印象的でした。

大井 允人

大井

大井 允人

あのモニターはスイッチングされた映像をすぐに見るために使っています。自分がイメージしたカメラワークを初めて試すのが「音合わせ」の場なので、それが映像としてどのように見えるのかを出来る限り確認しています。

「寄りすぎているからもう少し引かないとちゃんと入らないな」とか「動きが激しすぎて落ち着いて見られないな」とか、修正点があった時に「じゃあどうすればいいんだろう」と改めてワークを組み立て直しています。その作業を実際の映像を見ながらやっている感じですね。

実際にカメラワークを考えていく中で、個人ではどのような準備をされていますか。

大井 允人

大井

まずは事前にもらえるダンス映像を何度も見返して、振り付けや立ち位置を覚えます。その上でどのようにカメラワークをつけるとより出演者が魅力的に見えるかを、時間がある限り考えていますね。他には、アイドルのようなグループで活動しているアーティストだと、メンバー同士の関係性や、グループの今の状況などを勉強して頭に入れて臨む時もあります。

ディレクターと打ち合わせをする中で、「こういう画作りの方が見ている人はグッとくると思います」などと提案することもありますね。

大枠の演出は制作側が考える一方で、カメラマンにも撮る映像に対しては裁量があるのでしょうか。

大井 允人

大井

大井 允人

あると思います。もちろんディレクターの方にもよりますが、カット割りが大きくは決まっているけれど、その中でどのようなワークをするかはカメラマンに任せてくれることがあります。

例えばダンスシーンで「グループショットで撮ってください」という指示があった場合、そのサイズである程度キープして撮るのが基本の形だと思います。ただそこに自分なりの工夫をして、まず振り付けの手に寄って、次に表情を見せて、そこから引いてグループショットに戻す…みたいなワークをしても、だいたいの方針が合っていて、ディレクターから「いいね!」と思ってもらえるようなものであれば採用してもらえます。

アーティストの皆さんも全力でやってくれていますので、自分にもできることは全てやって、いいカットを考えて…その思いは常に持って臨んでいます。

カメラマンをする中で、大井さんなりのこだわりはどんなところにあるでしょうか。

大井 允人

大井

視聴者をドキッとさせるような映像を撮りたいということは常に考えています。ズームのスピードを変えて音ハメしてみたり、振り付けに合わせてカメラを動かしたり。ダンスであれば手の振り付けはかなり意識しています。ただ、ずっとそればかりやっていると見づらい映像になってしまうので、見やすさを追求する中で一番印象的な振り付けの時にそういったワークを挟むようにしています。

映像の緩急をつけることで視聴者に「おっ、なに今のカット!」と思ってもらえるように、ドキッと感を演出することは大事にしていますね。

今まで撮ってきた中で会心のカットをあげるとすればどれになりますか。

大井 允人

大井

大井 允人

2026年の夏に放送された『FNS歌謡祭』で撮影したILLITさんのパフォーマンスですかね。ご本人たちから「音合わせ」が終わった後に「カメラワークすごいです!」と言っていただけましたし、ありがたいことに視聴者の皆さまからもたくさんの反響をいただきました。1個名刺代わりになるようなものが作れた感覚にはなりましたね。

SNSの感想もめっちゃ見ますし、それを見ながら飲んだりしています(笑)。そういう時間がやりがいのひとつにもなっていますし、自分がいいと思ってやったことに対して絶対に賛否両論はあるので、いいことだけではなく、ネガティブな意見にも目を通して、時には自分の引き出しに入れて、次の機会に生かしていくようにしています。

他局の音楽番組と比べて、フジテレビの音楽番組の魅力はどこにあるでしょうか。

大井 允人

大井

手前味噌になってしまうかもしれませんが、“見やすさ”と“映像美”という部分には全てのスタッフがこだわっていると思います。見やすくするということは簡単なことのように聞こえるかもしれないですが、その裏では緻密にカメラ割りやカメラワークが考えられています。退屈しなくて見やすくて、時折緩急でドキッとさせて…ということが常に考えられていると感じますね。

また、色味や映像の質感も本当に綺麗だなと思います。楽曲の雰囲気や照明、背景のLED映像など、さまざまな要素を考慮して、どのような色味・質感で映すかも考え抜かれていると感じます。1枚の映像をいかに綺麗に、美しく撮るかに全員がこだわっているので、"見やすさ"の中にある“映像美”に注目して見ていただけると嬉しいなと思います。

最後にフジテレビでカメラマンという仕事をする魅力を教えてください。

大井 允人

大井

大井 允人

若いうちからより多くの経験を積むことができることだと思います。フジテレビに入ったらよくも悪くもすぐカメラマンになります(笑)。すぐ打席に立って現場で場数を踏むことができますし、番組のジャンルも本当に幅広いです。

大変なことももちろんありますが、早いうちから様々な仕事に携われるのは、今のフジテレビだからこそだと思うので、面白くて視聴者がドキッとするような番組を一緒に作り上げる仲間が増えてほしいです!

SCHEDULE

FNS歌謡祭ができるまで

  • 本番4日前

    出演者のダンス映像、楽曲の音資料、カット割りが揃い、自分の担当カメラのカットを確認。
    ディレクターやスイッチャー、カメラマン総出でカット割り打ち合わせ。
    ワークや、カットタイミング、カメラの動線などを確認する。総曲数は約50曲…!

  • 本番前日
    9:00

    本番前日のリハーサル開始。
    いよいよ『FNS歌謡祭』が始まる緊張とワクワクを全身で感じます。
    数々のアーティストが代わる代わる入れ替わり、息つく暇もなくリハーサルが進んでいきます。

  • 22:00

    前日リハーサル終了、お疲れ様でした。
    今日のリハーサルでの修正点をまとめて頭に入れ直します。
    明日はいよいよ本番…!早く帰って寝ます!

  • 本番当日
    10:00

    前日にリハーサル出来なかったアーティストのリハーサルをこなしていきます。
    本番にも体力は残しておきます!

  • 13:00

    全てのアーティストのリハーサルが終了!修正点を頭から抜けないようにおさらいします。
    でもその前に美味しいお弁当や差し入れで体力チャージ!

  • 14:00

    ここから本番さながら、出演者も総出のランスルー(通しリハーサル)を行います。
    ここが本番前の最終調整!上手くいったところは自信を持って、
    上手くいかなかったところは本番じゃなくてよかったとポジティブに!

  • 17:00

    ランスルー終了!
    ここまで来ると緊張よりもワクワクが勝って変な感覚になります(笑)
    今までやってきたことを全力で出し切るだけ。本番前最後の休憩をして体力回復!

  • 22:00

    生放送本番駆け抜けました。
    あとは生放送の録画をカメラマンやスイッチャーみんなで見ながらプレビュー会です。
    この時に飲むお酒が世界一美味しいです(笑)本当に各所お疲れ様でした!