育児と仕事の両立
生野
今日は「子育て中」という共通点で集まってみました。私は7カ月の娘がいて、2カ月前に復帰したばかりですが、お二人のお子さんは何歳ですか?
安部
2歳の男の子が一人です。8月に出産して次の4月に復帰したので、7カ月くらい休んだのかな。
松木
うちは3歳の女の子です。子どもが1歳半のときに保育園に預けて復帰しました。
生野
実はフジテレビって育児支援制度が充実していますよね。育児休業は1歳6カ月までですが、養育休職では最大で約6年取得できるし、時短勤務も選択できる。
安部
そうそう、入社するときは重視してなかったけど(笑)、いざ出産するにあたって見直したら手厚くて驚きました。
松木
でも、お二人ともかなり早く職場復帰されてますよね。
安部
そうですね、産休・育休中は担当している番組を他の方に引き継いでいて。
そもそも仕事を辞める気はなかったので、子どもの雰囲気をみながら、「大丈夫そうだから復帰でいいかな」と。
生野
私も、担当番組が『正直さんぽ』なのですが、産休・育休中も代行を立てずに待っていてくれたので、早めに戻りたいなと思いました。松木さんは何をきっかけに復帰されたんですか?
松木
私も仕事を辞める選択肢はなかったので、なるべく早く感覚を取り戻したいなって思いつつ、でも子どもといたい気持ちとせめぎ合っていました。1歳半くらいになったとき「子育て大変だな……」と思うことが増えて、復帰しちゃいました。(笑)
生野
仕事のやりがいを知っていると、また戻りたくなりますよね。
安部
あと、社会とのつながりがなくなるのもつらかった。
松木
それが思いのほかつらかったです…。子どもって意思疎通できないことも多いし、大人と喋るのに餓えていて(笑)。
仕事復帰して、大人と喋れただけで最初はうれしかったです。
ママたちの1日/
1週間のスケジュール
生野
みなさん、どんなスケジュールで働いてらっしゃいますか?
安部
私は保育園に朝預けて、退勤してからお迎えに行っています。基本的にフジテレビの勤務が平日の9時半〜17時半なので、担当番組の収録が夜にかぶるときは、シッターさんにお願いすることもあります。
生野
そういえば、フジテレビにはベビーシッターの利用補助制度もありますよね。どれくらいのペースで利用するんですか?
安部
最近だと、担当している『めざましテレビ』の60周年特番が夜10時まで生放送だったので、その日はシッターさんにお願いしました。(ドラマに限らず遅くなる番組がほとんどですので)遅くなってしまう収録などは現場のスタッフと相談、調整してやりくりしています。でも普段は定時で帰れることがほとんどです。
松木
私もたまにシッターさんにお願いしていますよ。
今は霞ヶ関にある司法クラブに平日9時半〜16時半の時短で勤務していて、17時くらいにはオフィスを出るようにしているんですが、間に合わないときはシッターさんにお願いする感じですね。
安部
報道局でも時短勤務できるんですね。
松木
裁判は基本的に17時で閉廷するんですが、早い時間帯の裁判を担当したときは昼過ぎに終わるので、そのあと原稿を書いて、何もトラブルがなかったら16時半に帰れます。生野さんも時短ですか?
生野
そうなんです。私も基本は6時間の時短勤務にさせてもらっていて。私の場合はとても有難いことに両親が東京に住んでいるので、仕事の時は両親に面倒を見てもらっています。
安部
ご両親が協力してくれるのは心強いですね!
生野
こんなに早く戻ってこられたのは、家族の協力を得られたことが大きかったです。レギュラーは今『正直さんぽ』のみで、少しずつ仕事に慣れさせてもらっている時期です。
安部
いいと思います。アナウンサーさんは特に替えがきかないですからね。
ロールモデルは先輩や上司
松木
お二人は、出産への不安はありませんでしたか?
生野
妊娠したら体調が悪くなることもあるし、番組や周りの方々に迷惑をかけたらどうしよう、と。でもママアナの先輩に相談できたり、理解してくださる上司、スタッフさんがたくさんいて、みなさん優しかったです。
安部
社内にも先輩ママさんがけっこういらっしゃるので、意外と出産への抵抗はなかったですね。「復帰してもこういうスタイルで働けるんだ」と漠然と考えることができました。
松木
先輩が道を切り拓いてくださっていた部分はすごく大きいですよね。報道局の女性の上司が以前、時短でお子さんを二人育てていらして。大変そうだし覚悟はいるだろうと思っていたんですけど、頑張ってみようかなって思えました。
生野
私は育児と仕事を両立しはじめて数カ月しか経っていないので、先輩ママであるお二人に聞きたいんですが……、両立するために工夫されていることはありますか?
安部
デザイナーも急には替えがきかないので、すぐ引き継げるようには意識してますね。
美術ってチーム戦なので、みなさんの力を借りられるように。「ここまで必要か」ってところまで確認したり図面のデータを配るなど、チームみんなが認識している状態をできるだけつくります。
生野
それは産前の働き方と変わった部分ですか?
安部
そうですね。産前は「自分が頑張ればなんとかなる」みたいな動き方をしていたんですが、頑張ってもどうにもならないこともありますし、できるだけ役割分担できるように意識しています。
松木
私も同じです。親が地方に住んでいて頼れないですし、どうしようもないときもあります。子どもが熱を出したら、その日に行われる裁判の予定稿を家で書いてメールで送って、他の方に手伝ってもらったりしています。
生野
周りの人たちがサポートしようとしてくれる環境なんですね。
松木
そうですね。上司はすごく理解があるので、「熱はしょうがない、それは早く看病してあげなさい!」と言ってくださる。本当にありがたくて、そういうときは甘えさせてもらっています。
安部
産前と比べると仕事のやり方は変わったし、工夫も必要だけど、環境を変えずに好きな仕事を続けられるのはうれしいですよね。
松木
本当にそう思います。仕事の仕方もそうですし、産後は視点が変わったなと思っていて。裁判の中で家族関係を巡る裁判や、虐待の裁判もあるんですけど、やっぱり子どもが産まれてから「他人事じゃないんだ」って思うところがあります。
安部
視点は確かに変わりますね。仕事に反映できている実感はないですが、産前は見ることのなかった番組を見るようになって、「子どもはこういうところに反応するんだ」とか。いち視聴者としての感覚は変わったなと思います。
生野
私も母親としての感覚を、今後の仕事に活かせる機会があればいいなと思っています。
生野
これからのテレビ業界って、どうなっていくと思いますか?
安部
先日行われたインターンシップで課題をやってもらったんですが、テレビにはあまり出ていないけどインターネットの世界で有名…というような方をキャスティングしようとする学生さんが多かったです。やっぱりインターネットは今強いんだなって。
私たち世代とは感覚が違うので、これから入社する人たちが創る新しいテレビ像に順応していかなきゃと思いますね。
生野
インターネットとテレビが融合するのか、別物として扱われていくのか…という議論をよく聞きますが、テレビはテレビとして残っていく気がします。それこそ、ニュースの信頼性は守りたいところですよね。
松木
アウトプットの形はいろんなメディアがあって変わっていくと思うんですが、その情報源として、どこが責任を持って内容を担保するか。そこは仕事面では変わらないところなのかもしれません。
安部
変わる部分、変わらない部分はありそうですね。
生野
最後は学生のみなさんへのメッセージを…。
先輩ママたちから
就活生へのメッセージ
安部
美術の世界ってフリーでもできるんですが、会社に所属してデザイナーをやるメリットって、自分の生活環境が出産や病気などで変わっても、大好きなプロジェクトに何個も関われたり、時代をつくるようなコンテンツに携われたりすることです。フジテレビは美術にも女性が多いので、サポートしてくれる体制も徐々に整ってきています。
松木
20代前半はずっとがむしゃらに働いてきたんですが、産後は調整させていただきながら、家庭に打ち込める時間もつくれています。仕事しながらも結婚や出産も経験できて、フジテレビはすごく働きやすいですね。
生野
女性が就職先を選ぶときって、その会社のことや福利厚生の制度について知るのも大切ですけど、実際に楽しく働きながら子育てしている人がいるかどうか、もチェックポイントですよね。アナウンサーは、スポーツ、報道、情報と、幅広く携わることができるので、すごく楽しい職場だと思います。独身は独身ならではの仕事がありますし、結婚・出産したからこそできる仕事ももちろんある。年齢を重ねることで可能性も広がっていきます。