2019.5.21 TUE. UPDATE INTERVIEW #07 軒下吾郎役 浜野謙太さんインタビュー

今回のチームにはどんな印象をお持ちですか?
前室(※スタジオ前の準備部屋)の女王がいて(笑)。広瀬アリスさんですね。ずっとモノマネやったり、誰かをいじったり。誰かっていっても、みんな年上ですからね。遠藤憲一さんとか僕のことを散々いじって…。まあ、イヤじゃないけど(笑)。だから、楽しいですよ。窪田正孝くんもノリが良いし、本田翼さんもその上にノッてくるし…前室の話しかしてないですけど(笑)。もう、前室のフォーメーションができていますからね。前室の使い方って、ベテランの方ほど上手いと思うんですけど、今回は若い子たちのパワーで湧いている感じがします。帰りたくない感じになっちゃっていますね、僕は(笑)。
そういう空気感は、画面を通しても伝わるのでは?
そうかもしれないですね。前室でモニターを見ていても、仲間が出ているだけでウケますからね。ただ、広瀬裕乃が真面目なことをしているとちょっと笑っちゃったりするのは問題だと思うんですけど(笑)。
放射線技師、放射線科医が題材のドラマです。技師役のみなさんには、
制作サイドから資料集が配られましたが…。
僕ももらいました。「この人たちか!」と思いました。原作漫画自体が、ジャンルとジャンルを…僕も、娘が病院にかかったりして初めてそこでカルチャーショックを受けたりしたんですけど、部門ごとに全然違うんですよね。分業なので、「次のことは彼らに」みたいな感じで、ひとりのお医者さんがまとめて相手をしてくれるわけじゃないんですよね。その間は、意志だったり、想像力だったりでつながないといけないんだ、という風に原作マンガではなっていっていますけど、放射線科医と技師とのつながり、他の分野との連携は、全体の問題点をみんなが共有して、という熱い話になってきているのが面白いです。それくらい難しいジャンルなんだな、ということなんでしょうけど。あと、こんなに機材があるというのも驚きました。レントゲンだけじゃなくて、MRIとかCTとか。何億円もするような機材がひとつひとつあることに驚きました。
作業としては、決して派手さはないわけですが……。
そうなんですよね。服も地味だし。僕は地味な俳優…いや、ミュージシャンですけど(笑)、居心地はいいですね。常日頃から、医療ドラマにありがちなセンセーショナル感はどうなんだろうと思っていたので、こういうところに光が当たるのはいいと思うし、あのセットを実写化するというだけでも面白い試みなんじゃないかと思うんです。技師の先生たちも「こんな感じです」とおっしゃっていましたし。機材が並んでいて、真ん中の技師の控室があって…みたいな。あのワクワク感が良いです。実写化の醍醐味があるような気がします。ロケじゃなくて良かった(笑)。
ラジハメンバーは、普段はバラバラのような感じですけど、
何かあるときには一体となって動き出すところもカッコ良いです。
そうなんですよ!  優しそうな人たちが繋がるんだろう、みたいな感じだとちょっと予定調和的ですけど、技師役のみなさんはちゃんと自分の世界観があって、そっけない感の演じ方も素晴らしいから、居心地よくいられますね。
軒下というキャラクターを演じるにあたって、特に意識されている
ことは?  あるいは、監督からリクエストされたことがあれば教えて
いただけますか?
ほんのちょっとですね。「ちょっとオタクだと思うんだよね」と。まあ、オタク役を演じることも多いから居場所を用意していただけてる!  と(笑)。鈴木(雅之)監督の意図と、自分で広げられる部分を上手いことぶつけられればいいな、とは思っているんです。初日に監督も探ってくださっていて、「軒下さん、背が低いから抜けないね」みたいな話になって、「僕が『王様のレストラン』っていうドラマを撮ってたとき、梶原善さんはぴょんぴょん飛び跳ねていたんだよ」って言われて。世代なんで、当時の貴重なエピソードめっちゃうれしかった一方、「ちょっと挑発されたな」と思って(笑)。だから、しゃべりに夢中で誰かにぶつかって抜ける、みたいなのをやってみたんです。そしたら、たくさん失敗したんですけど、心意気は買ってくれたみたいで、1話を見たら、いろいろやったことをすべて使ってくれていたので、「ああ、やっていいんだ!」と。なので、それからもいろいろ挑戦したら怒られることもありつつ(笑)、貴重な体験ができているな、と思っています。
そういう“やってみてもいい現場”の方が楽しいですか?
でも、「やってください」って言われるとできないんですよね。チラッと監督からも「期待されると出来ないでしょ?」って言われたことがあって。「あ、そうなんですよ」って答えたら、その後から何も言われなくなって…。「くそっ!」と思って、自分でいろいろやろうと。
静かな駆け引きがあるんですね。
そう思ってやってるんですけどね(笑)。何とも思われていなかったらどうしよう?(笑)。初めてですね、この感じは。ただ、OKが出れば全部受け止めてくれる感じなので、編集で上手いことどうにかなってる、というよりはずっと楽しいです。
唯織役の窪田正孝さんとのお芝居はいかがですか?
2回目の共演になるのかな?  ホントに安心感があります。唯織と絡むと上手くいくというか。台本を読んで、「こんな感じになるだろうな」と想像するんですけど、そこをパチッとくるというか。あんなスラっとしたイケメンなのに、戸惑う演技とかめっちゃ面白いし。唯織は漫画の上で成立するキャラクターだと思うんです。特異だけど、コミカルで抜けているキャラで、好きな子がいることを誰も知らなくて、みたいな。そういう漫画でしかあり得ないようなキャラクターを、上手く落とし込んでやっているというのは彼にしかできないんじゃないかな、と思っています。
実写になった途端、嘘っぽくなってしまう危険性もあるわけで。
そうなんですよ。だって、ファンシー過ぎますよ、こけた拍子にお尻触っちゃうとか(笑)。そういうのをちゃんと取り込んで演じているのはすごいと思います。しかもそういう部分もあるのに、それも含めて唯織の天才性につながっているというのも、窪田さんだからできるんだと思います。でも、前室では声とテンションが高いだけのお兄ちゃんなんですけどね(笑)。特にみんなと距離はとってないみたいです(笑)。
技師長の小野寺役を演じている遠藤憲一さんとのお芝居はいかがですか?
以前、大根仁監督の深夜ドラマでご一緒させていただいたとき、エンケンさんがゲストでヤクザ役を演じられたんですけど、それ以来です。こういう風にしっかりやり取りできるお芝居ができたのは嬉しかったですね。セリフの言い回しとか、気持ち良いんですよ。ふとした瞬間に、すごいカッコ良いんですよね。おちゃらけてる人がやるときはやる、みたいな演技って、寒い感じになっちゃうこともあると思うんですけど、エンケンさんはそこに哀愁も入ってくるし、生き様がちゃんと乗っているから素晴らしいです。
公式サイトには、現役の放射線技師さんからのメッセージも
たくさん届いています。
それだけに目線も厳しくなりますよね。だから、指導してくださっている技師の先生たちには、普段からいろいろ聞いています。「この動き、あり得ますか?」って。現場のノリで、「それで行こう!」ってなってしまうと、指導の先生たちも我慢しちゃうようなことも起こり得るので、役者が一々聞いておかないと。演出上、そういうケースもないわけではないので(笑)。せっかく実写化してあれだけのセットを作ったんですから、そういうところもちゃんとやりたいですよね。「どうでしたか?」って聞くと、無言で親指を立ててくれるんですけど、「いや、演技じゃなくて動き!」みたいなこともあって楽しいですけど(笑)。そういうチーム感もあるんですよ。実際、杏(本田翼)のモデルになった先生とか、たまき(山口紗弥加)のモデルになった先生とかも来てくれているので、僕らもワクワクしています。医療シーン担当の演出部もいて、役者が前室にいる間とか別のシーンを撮っている間に医療シーンの検証をしていたりもするんです。そういうところも見せたいくらいです。「こんなに真剣に作ってるんだよ」って。
最後に、視聴者のみなさんに向けてメッセージをお願いします。
この先、チーム感がどんどん増していって、どうなってしまうのか怖いくらいです(笑)。現場のやり取りとか、役者と監督の間もやり取りも活発なので、どんどん進化していると思うので、最後までしっかり見てほしいなと思います。

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