2019.4.30 TUE. UPDATE INTERVIEW #03 小野寺俊夫役 遠藤憲一さんインタビュー

放送開始から、たくさんの反響がありました。公式サイトには、
放射線技師の方からの書き込みも多いです。
縁の下の力持ちですからね。ただ、彼らのことを知らない人が意外と多いんですよね。独特の世界だと思います。
このドラマを通じて、放射線技師のお仕事にどのような印象を
お持ちになりましたか?
僕も人間ドックとか受けていますけど、まずお医者さんじゃないということに驚きました。『撮る』ということに関して、恐らくプライドとか技術もあると思うので、どんな分野でも掘り下げていくと、その道のプロとかテクニシャンがいるんだろうな、と思いました。ちょっと驚きの世界でしたね。ただ、ドラマにする、というのは……この作品は漫画原作ですけど、なかなか、こういうテーマを扱うというのは大変だと思うんです。医療ものといえば、どうしても一番は外科、みたいなところがあって、ドラマチックな手術シーンがあって……というような感じになってしまうわけですけど、放射線技師を題材にしてフィクションとしてお話を作っていくのは、脚本家やプロデューサーも大変だろうな、と。
ひとつの職業ものとして新鮮です。
そうですね。医者と幹部……まあ『ドクターX』とかもそうですけど、医療ものはその戦いみたいな感じが多いですけど、このドラマはあまり評価もされない中でも、何かがあればホワ~ンとチームが動いて、何か役に立っていって去って行く、みたいなところが新鮮でしたね。ヘンなメリハリの無さみたいな感じが(笑)。
ラジエーションハウスのメンバーは個性豊かで素敵です。
まあ、自分たちが素敵かどうかはわからないですけど(笑)、不思議な空気の塊だな、とは思います。僕自身も、チームのメンバーの一員、という役柄はあまりやったことがないんですよ。どうしてもチームからはぐれていたり、ひとりで突拍子もないことをやっていたりする役柄が多かったので。それぞれ持っているキャラクターがありますけど、何かあればチームとして動く感じは面白いですね。
普段はバラバラな感じですが、いざという時は……という
チーム感が良いですね。
それも、「さあ、行くぞ!」という感じが新鮮ですよね。何となくそっちにグッと動いていくので面白いです。第3話にしても、小野寺がたまき(山口紗弥加)の異変に気づいても、ストレートに「これ、お前だろ?」とか言わないし。遠回しにサラッとフォローする、というところは、面白い作り方だな、と思いました。全体が、ベタついていないところがいいんじゃないですかね。
天才放射線技師・唯織を演じている窪田正孝さんの
お芝居はいかがですか?
最初に出会ったのはNHKのドラマ(2011年放送の『下流の宴』)だったんですけど、彼の役は高校を辞めてフリーターをしている設定で、僕は「必ず東大に合格させる」という塾のカリスマ講師役で。当時、女房と一緒に彼のことを見ていて、「天才だな」と話していたんですけど、案の定、そこからグッと伸びていっていろんな役を演じていって。一緒に芝居するのは、それ以来なんですよ。偶然、局内で会ったりしたことはありましたけど。もう30歳になったんですよね。いろんな経験をして、いろんなものを超えて、もうひとつ違う大人の雰囲気みたいなものも感じました。
当時、どういう部分に天才性を感じたのでしょう?
どういうところだったかな……ひとつ覚えているのは、彼が演じたのがやたらとパソコンゲームが上手いという役だったんですけど、“ながら芝居”って言って、何かしながら芝居をするというのは結構難しいんです。芝居は芝居、動きは動きなので。マニアックなゲームをものすごい勢いでやりながら、サラッとセリフを言ってるのを見て、「これは、できそうでなかなかできる芝居じゃないな」と思いながら見ていたんです。最初はそこが印象的でしたね。
例えば、外科医の方なら手術しながら何かを話す、ということは普通に
出来ることでしょうけど、それを演じるとなると、役者さんにとっては、
動きもセリフもお芝居ですからね。
そうなんですよ。何かを自然にやりながらセリフを言う、というのは、結構難しい。それはできるときと出来ないときがあるので。役者にとって、一生の課題かもしれないですね。窪田くんは、唯織という不思議なキャラクターにも合っていると思います。
撮影の合間のラジハメンバーはどんな感じですか?
俺、幼稚なんでまともな会話ができないんですよ(笑)。現場にもよるんですけど、難しいセリフがあったりするときは、セリフのことで一杯一杯になっちゃうんでブツブツ言ってたりするんですけど、今回、夜中の撮影のときに、“バカ”なことをやる人が結構集まったんで、逆にそれがエネルギーになったりしました。キツくなった後のバカ騒ぎがね(笑)。今回は、チームだからそういうこともできるんじゃないですか。毎回毎回そういうわけにはいかないけど、ふとした瞬間にバカ騒ぎすると疲れが取れるんですよ(笑)。早朝から深夜までの撮影が続くと、どうしても気持ちが下がってしまうこともあるので、もうひとつのエネルギーがあると助かります。「こうやって元気になることもあるんだな」と思いました。その中心はアリスちゃんです(笑)。
窪田さんや本田翼さんは「遠藤さんとアリスさんが」と
おっしゃっていましたが。
俺は幼稚だから、面白くて一緒になってやってるだけ(笑)。窪田くんも急に踊り出したりするしね(笑)。オン/オフみたいな切り替えが、みんな上手なんですよ。
ラジハメンバーが出演した『ネプリーグ』も楽しかったです。
ダメなものを見ると面白いんでしょうね。こっちは必死でしたけど(笑)。
視聴者のみなさんも、「現場はあんな感じなのかな」と
想像されたと思います。
まあ、雰囲気はあんな感じですよ(笑)。普通、ある程度撮影してから番宣のためにバラエティー番組に出るんですけど、今回は撮影に入る前の収録だったんですよ。でも、ひっくり返ったことによって、チームの輪ができてから撮影に入れて、それが良い方に転がっていった部分もあった気もします。
ドラマは、この先、ますますラジハメンバーのチーム感が
出てくるのでは?
どうなっていくんですかね?  病気を題材にするというのは大変ですからね。鈴木監督がポロっと「最後は病院自体がひとつになるといいな」っておっしゃっていたので、いまはまだ敵対関係に見えるお医者さんたちとも協力するような展開もあるかもしれないですね。どっちかが勝利して終わる医療ものが多いですけど、そういうのもいいな、と思っています。
最後に、視聴者のみなさんへのメッセージをお願いします。
制作サイドも、どういう病気を取り上げるか、そこからどういうエピソードを作るか、ということで苦労していると思うんですけど、新しいドラマを切り開こうとしているので、最後までついてきてほしいなと思います。あと、今回4人の監督がいるんですけど、みなさん初めての方ばかりなんです。それがどういうテイストになっていくのか、こっちもスリリングで楽しみなので、見てくれている方たちもそういう演出の違いを一緒に楽しんでもらえたらうれしいです。

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