2019.4.3 WED. UPDATE INTERVIEW #01 五十嵐唯織役 窪田 正孝さん 甘春 杏役 本田 翼さん - SPECIAL TALK -

『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』は平成の最後の
月9になります。何か特別な思いはありますか?
  • 窪 田
    平成最後とかいう感覚は正直あまりないですし、月9だからこうしようああしようみたいなことも特にないんです。ただ、やっぱり月9は伝統があるものなので、取材にもたくさんの媒体の方が来てくださるのは凄いな、と感じています。医療ものはあまり経験がないんですけど、これまで数々の名作があるので、その中の名作のひとつになるように、みんなで一丸となって作っていけたらいいなと思っています。
  • 本 田
    このドラマは、放射線科医と放射線技師のお話なんですけれども、そこにスポットをあてた作品は今までなかったんですね。そして私自身においては初の医者役なので自分の中で放射線科医という役柄をちゃんと突き詰めていかなければいけないなと思いました。そこで先日、病院にもお伺いさせていただいて、手術や読影(検査画像を解読すること)など仕事の様子を見学させていただき、放射線科医の方からも直接お話をうかがうことができました。そこで感じた現場の空気を意識しながら役に挑みたいと思います。あと唯織との関係性の変化にも注目していただきたいです。
今回演じる役柄についての印象をお願いします。
  • 窪 田
    唯織は、技師としての才能はもちろんですけど、“努力の天才“だと思っています。医療ものではあるんですけど、唯織はとても真っ直ぐで、子どものころの約束をずっと守り続けてきたっていう……凄い話だと思うんです。だから、真っ直ぐすぎて人とのズレがあるんです。ちょっとアホなのかなあって思う瞬間もあるんですけど(笑)、それくらい真っ直ぐ杏のことしか見えていないので、技師としての部分と、ひとりの男の子としてひとりの女の子のことが好きっていう純粋無垢な心というのは、演じていく上で差をつけるというか、その部分もうまく混じり合いながら演じていけたらいいなと思っています。
  • 本 田
    杏は甘春総合病院を継いでいるので自分の代で終わらせてはいけないという責任やプレッシャーの中で仕事に向き合っている、あまり周りが見えていない人間と今回の役を捉えています。どう演じていきたいかという部分に関しては……視聴者の方から見たら少し嫌な人間に映ると思うんですね。でもそれは、先ほども言ったように、病院を自分がしっかり継いでいかなければならないとか、彼女なりの過去の経験や責任に縛られて周りが見えていないことが原因なので、ドラマを観て下さっている方々にそういった部分を感じてもらえるように心がけて演じたいと思います。
お互いの印象は?
  • 窪 田
    最初に共演したのが、2012年のCMだったんですけど、その時から凄いな、と思ってたんですけど、その時から変わらないばっさーだったので、安心感が……。
  • 本 田
    初めてばっさーって呼びましたね!
  • 窪 田
    そうだね。あの時、ばっさーって言ってたなって。今日横でメイクしながら、「あれ?  なんて呼んでたかな?  最初は、本田ちゃんとか言ってたけど、だんだん翼ちゃん……あれ?  ばっさーって言ってなかったっけ?」と思って。でも、その時から活躍されていて、気負わない感じというか、ナチュラルに世界観に入っていく感じっていうのも、今日本読みしてて改めて感じましたし、この人の背中を追っていきたいなって思いました。
  • 本 田
    私も窪田さんの『デスノート』とか見てましたよ。とても繊細なお芝居をされてて、朝ドラも決まって。凄いですよね!
  • 窪 田
    そんな、イヤイヤ。
  • 本 田
    6、7年前に共演して、今こうやってまた一緒にできるっていうのは、凄く嬉しいです。
  • 窪 田
    なんかおごります(笑)。飲みに行きましょう!
  • 本 田
    よっしゃ!(笑)
役柄で、自分と近い部分、共感できる部分はありますか?
  • 窪 田
    いや、ないですね~(笑)。凄く不器用だなとは思いますけどね。
  • 本 田
    ひとつのことしかできないところが、ちょっと自分と被るなっていうところはありますね。ひとつに集中してしまうと、他があまり見えないというか、そういう感じは似ていると感じます。
  • 窪 田
    唯織は頭が良い。モノローグで「杏ちゃん!」みたいなこと、あんまりないです(笑)。好きな人がいても、「〇〇ちゃん」みたいなことにはならないですね、それは。
放射線技師と放射線科医を演じるにあたって、
立ち居振る舞いなどで気をつけたいことはありますか?
  • 窪 田
    原作だと、いろんな箇所をレントゲン撮ってやっているんですけれども、専門用語がどうしても多くなってくるところがあるので、それは医療もの、刑事もの、裁判ものはついて回るものなんですが、そこに関しては、専門用語だから言えないとかっていう風にはならないように、頭じゃなくて腹で覚えるような感じでやっていきたいなとは思っています。あとは、結構パソコンの前で読影するシーンとかがあるので、杏を手助けできるような唯織でありたいと思っています。
腹で覚えるというのは、体で覚えるということ?
  • 窪 田
    そうですね。脳みそで覚えてもきっと入らないと思うので(笑)、イメージですけど、口で覚えるんじゃなくて腹で覚えろ、みたいな感じで。染みこませたいなとは思いますね。
専門用語の勉強もされていますか?
  • 本 田
    専門用語もそうなんですが私の役は技師が取ってくれた写真を診断する役割なので、病院で実際に読影しているところとカルテを見ているところを見学させていただきました。読影で見逃したら病気を見逃すことになってしまう、病気の発見が遅れたら患者の負担になってしまうなど、そういう責任感のようなものを強く感じたので、意識して取り組みたいと思いました。そしてとても集中してやっていらっしゃったんですが、それを感じさせないんです。そういう空気感も出せたらと思います。
お話したお医者さんから参考になったことはありますか?
  • 本 田
    MRIとCTと超音波検査の差、何をどういう区分で分けてその検査がされているか、医者として絶対に知っておかないといけない話だったりとか、どういうことを心がけているかなどです。常に勉強していらっしゃっていて新しい病気の発見っていうのもそうですけど、「今まで見たことがない病気の例をレントゲンの中で見付けたらどうしますか?」と伺ったら、そういうときは海外の論文とかをすぐ調べたりして、最新のものをチェックするとおっしゃっていました。そういう、常に学ぶことを忘れない姿勢は勉強になりました。
本田さん自身も、お勉強していこうかなと?
  • 本 田
    お、お勉強?(笑)。はい、そうですね。
唯織は、子どものころの約束を守り続けますが、窪田さん自身は
理解できますか?  ご自分にもそういう部分はありますか?
  • 窪 田
    いわゆる自分ルールというか、決めたものを貫き通してずっとやっているというのは、凄いことだなとは思います。自分の中で決めたことって、誰にも評価はされないし、それを周りの人が見たときに、どう評価されるかなとは思いますけど。でも、そうじゃなく、どんどん時代に沿ってカタチを変えていくっていうのも、アリだと思う。 本当に素晴らしいことだとは思うんですけど、一概にそれだけがすべてだとは思わないですけどね。原作も2人の関係性がポップに描かれていて、でも、医療の方に関してはすごく専門的なところもあるんです。それを具現化するとなると、どうしても物理的なことが出てきたりするので、全部説明しすぎても良くないし、ある意味捨てる勇気も必要だと思っているので、必要なところはちゃんとポイントを見極めてやっていきたいなと思っています。これは、全部に共通することですけど。
唯織の一途な思いはどう思いますか?
  • 窪 田
    素晴らしいと思います。さっきばっさーも言ってましたが、ひとつのことに集中しちゃうっていうのはわからなくはないですね。僕も、子どものころからずっと車だけが好きで、それは変わってないから。人じゃないですけどね(笑)。でも、そういう気持ちはわかるというか。それが、モノではなく、人に……自分を犠牲にするというか、献身的な心というか、ある種、無償の愛だと思うので、それができているのは、やっぱりすごいと思います。だから、唯織と杏が結婚したら、どっちかっていったら唯織が尽くす側になっちゃうんじゃないかなみたいな感じもします。性格的にもね。
思われる側としてはどうですか?
  • 窪 田
    重いよね?
  • 本 田
    杏ちゃんの場合は、覚えてないっていうのが、また凄い問題ですけど、実際にそういう人がいたらっていうことですよね? いま、凄く言葉を選んでいるところですけど、一途っていう言葉自体は好きです(笑)。
見えないものを見つけていくというお話ですけど、
ちなみにおふたりは、周りの変化に気づきやすいタイプですか?
  • 窪 田
    見つける努力はしていますけど。う~ん……どっちかっていうと気づかないタイプかもしれないですね。鈍感ですよ、多分。
女子の変化は難しい?
  • 窪 田
    そうですね。前髪1センチ切ったとかわからないですよね(笑)。「あ、ちょっと変わったな」と思って、言ってみたりしても、全然変わっていなかったりして、「違うじゃん、じゃあ、何も言わない方がいいのかな」って思ったりもしますし。男の人の変化の方が気づきやすいですかね。若干顔が疲れてるなとか、そういうのは男の方がわかりやすいですね。女の人は、やっぱり(お化粧で)隠すじゃないですか(笑)。
男性の方が気づいたりしやすいですか?
  • 窪 田
    人並み程度にですけどね。
そういうときは、何か声をかけますか?
  • 窪 田
    空気を読みます(笑)。タイミングを。言わないときもあります。明らかに話したいのかなっていうときは、聞き手に徹しますけどね(笑)。すみません。世の中難しいです(笑)。
  • 本 田
    私も、大体「あ、髪切った?」って聞いてハズレるタイプなので(笑)。難しいですよね。ちょっとした髪の巻き方ひとつで、女の子って変わったりするので。私もわりと鈍感といったら鈍感な方なんじゃないかと。
唯織は、杏の写真を大切にしていますが、
ご自身の心に残っている1枚の写真は?
  • 本 田
    ドラマの集合写真とか?
  • 窪 田
    すぐ実家に送っちゃうんだよな~。終わったものは、全部実家に送っちゃう。台本とか、みんなまとめて。
  • 本 田
    いいパスになると思ったんだけど。
  • 窪 田
    なんだろう?  大切な写真……写真自体はないんですけど、写メで、13年間ずっと一緒にいた猫の写真は1枚持ってますね。ケータイ替えてもデータをパソコンに保存して、また持ってるみたいな感じです。普段も見ます。一番最初の子が、やっぱり一番大切だなと思いますね。(本田に)やっぱり、集合写真?
  • 本 田
    何枚かにはなってしまうんですけど、ドラマのクランクアップが近づくと、みんなで集合写真を撮るんです。その写真ですね。
  • 窪 田
    僕は単純に、自分が写っているものは手元に置きたくないっていう感じで……。ごめんね(笑)。

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