- きくち
- ご出演ありがとうございました。今日はミュージシャンも気持ちのいい汗をかいた、本当のライブ、素晴らしい収録でした。
- 長渕
- 僕らは、本当に称賛されるべき肉体労働者ですから。
- きくち
- (笑)。
- 長渕
- しかも僕はピンを張る役目なんだから、まず自分が率先して汗をかくのは、あたりまえの事だ。そして、バンドの連中のミュージシャン魂に火をつける。すると、すごいエネルギーが放射されるでしょう。これがセッションの醍醐味だ。だから最後の握手がすごく気持ち良かった。
- きくち
- わたしも今日は長渕さんに握手してもらえるかなって(笑)。テレビだけど”ライブ”のお仕事。終わった後、自然に笑みがこぼれてきたんですよ。
- 長渕
- 本当にそう、こんなに幸せな肉体労働はないよ。自由に発言したり演奏できる場に恵まれているんだからね。そうしたらここで素敵な汗を見せてあげることが、お客さんに一番のエネルギーを伝えられるんだ。
- きくち
- 即興でブルースハープをセッションしたり、今日は音楽番組らしかったですね。KinKi Kidsもいきなりなのに、よく(ブルースハープを)演奏出来たなあ、って。
- 長渕
- ああいう良い音楽を次の世代に継承させるのが、先に生まれた人間の役目だし、責任だ。純粋な音楽と楽しいトーク、僕の芸術性みたいなところも表現してくれて、盛りだくさんの内容だった。今日の放送は秘蔵ビデオにするよ(笑)。
- きくち
- 今日この仕事をして、わたしは胸を張って夏の桜島のコンサートに行けます。桜島は今から準備がたいへんでしょうね。
- 長渕
- 九州全域にバックアップして頂いて、整地から始まっているから。これだけの大がかりなコンサートはもうこの国では、出来ないだろうね。僕も最初で最後だと思ってる。
- きくち
- この桜島からまた、次の世代が育ってくるんでしょうね。
- 長渕
- そうなってくれるとうれしい。
- きくち
- 桜島では長渕さん以外に誰か、うたったりするんですか?
- 長渕
- いや、率先して声をかけることは今のところしてない。ただ自発的に来たヤツはどんどん出そうと思ってるんだ(笑)。そしてこの舞台を味わってほしい。既製のホールや会場では体感できないものが、絶対にあるから。
- きくち
- お客さんも一生に一度の経験。この場にいてよかったって思えるはず。まがいものじゃない、本物だけが持つリアリティがありますよね。実はわたし、そういう音楽のリアリティをストレートに伝える番組を作ろうと、今いろいろがんばってるんですよ。
- 長渕
- 素晴らしいね。是非、作ってくださいよ。今も昔も音楽やってるヤツはヤワなイメージがあるけど、実はそうじゃない。繊細さと強さ…不屈の精神を持ってるんです。そうじゃなかったら音楽でメシを食っていこうなんて、本気で考えないもの(笑)。
- きくち
- (笑)。
- 長渕
- いや、いつも折れそうな自分の心と闘ってる。しかも夢を持ち続けて、厳しい世界を勝ち上がっていかなきゃいけない。だからきくちさんには…。
- きくち
- すいません、“さん”付けで呼ばないでください(照笑)。
- 長渕
- …きくちの方がいいか(笑)。きくちにはね、信念を持って真っすぐな番組を作ってほしい。そうすれば絶対、何か道は開ける。
- きくち
- これからまだいろんなふうに闘わなきゃいけないんですが、真っ正直な、真っすぐな番組を作ります。
- 長渕
- きくちはやっぱり、真っすぐな音楽が好きなんだね。もう結構つきあい長いけど、そこは変わらないな。律儀で根がまじめだから、コンサート先まで訪ねて来て話をしたり…。
- きくち
- それこそ『夜のヒットスタジオ』からの付き合いですから(照笑)。個人的には昔、長渕さんの『オールナイトニッポン』を聴いてて、そのころわたしは中学生で、長渕さんの「ひざまくら」とかギターで練習して…。
- 長渕
- そっか(笑)。
- きくち
- いや、もう全然だめですけど。…桜島までに練習しときます(笑)。
- 長渕
- じゃあ、歌うかい(笑)?
- きくち
- (すごく慌てて)いやいやいや、勘弁してください!
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