- きくち
- 曲のサイズが短くてごめんね。本当は今日みたいなのは生演奏でやってほしいんだけど…。
- 藤井
- 生演奏こだわるよね。でも『HEY!HEY!HEY!』は無理でしょ?
- きくち
- わたしの番組は基本生演奏なんだけど、これだけはあきらめてます(笑)。でも次は絶対、生で。
- 藤井
- こだわるね、生(笑)。確かに、俺ぐらいの年齢になると生演奏の方が面白いな。楽曲にもよると思うけど。
- きくち
- お金の問題もあるし、カラオケのクオリティが高いのもわかるの。でも『夜のヒットスタジオ』で鍛えられたわたしとしては、やっぱり生。
- 藤井
- デジタル系の音楽だと難しいかな。コンピュータ持ってくればいいんだけど、そこまでやる必要性も…ね。
- きくち
- フミヤさんも曲はコンピュータで作るんでしょ?
- 藤井
- いや、ギター1本だよ。
- きくち
- 意外。CGとか作ってるし、コンピュータだと思ってた。
- 藤井
- あれなんか500分の1の機能くらいしか使ってないから。もうついていけなくて…。俺はあんまりコンピュータを必要としない生き方を選んでいきそうよ。全 然アナログな。
- きくち
- 本当はそうやって曲を作る方がいいのかも。鼻唄で作る人もいるし、久保田利伸さんとか。
- 藤井
- そうだね。でも俺の場合、鼻唄だけで作ると、曲の感じが似てきちゃうんだよね。コードから生まれるメロディがあるというか。ただ、あんまりコードを知りす ぎても複雑な曲になっちゃうし、その辺のさじ加減がね。
- きくち
- 単純なメロディの方が強いよね。チェッカーズの頃の曲は、単純なコードが多かった?
- 藤井
- シングルに関しては、ずっと単純なコードだったかな。
- きくち
- 当時は曲もそうだけど、髪形や衣装とかもめちゃくちゃ流行って。
- 藤井
- 社会現象だったよね、あれは。チェッカーズはエンタテイメント性が高かったからね。だけど、完全にミュージシャンというわけではなかった。
- きくち
- スーパーアイドル歌手、アイドル文化の中で、ここから上手にアーチストになったね?
- 藤井
- そう、上手い具合に20年生きてる(笑)。まあアイドルをやったけど、その時代を捨てたわけじゃなくて、きれいに生きてるつもり。青春時代は一般人で、バ イクに乗ったり恋愛したり、普通のこともいっぱいあったし。
- きくち
- その経験もまた生きてる。
- 藤井
- そう、普通だったときもアイドル時代も全部含めて、ちゃんと生きてるというか。逆に今もアイドルって呼ばれてもいい感じなんだけどね、なかなか言ってくれ なくてさ(笑)。
- きくち
- でも今日も扉が開いた瞬間に「キャーッ」て、言われたよ。
- 藤井
- いつまで言われるかだよね。
- きくち
- 顔も年齢感もさることながら、なんかその…(苦笑)。
- 藤井
- そんなことない、俺も老けたよ。ミック・ジャガーとか見てるとやっぱりすごいと思う。ああいうタイプの日本人はいないよね。
- きくち
- フミヤさんだってチェッカーズから20年、すごいことだと思う。で、今もコンスタントにいっしょにお仕事できて、コンサートも…キャロルの曲で構成したこ の間のライブなんかすごくて。
- 藤井
- キャロルおもしろかったね。
- きくち
- おもしろかった。そんなコンサートやリリースだけじゃなくて、テレビとも上手に付き合ってるね。
- 藤井
- それはやっぱりポップスだから。俺はロックもやるけど、これはもう一生ポップスで生きて行かないと。自分のやってきた過去に恥はかけないよ。
- きくち
- なるほど。
- 藤井
- 俺らの年代はこれから厳しくなっていくと思う。それでも俺みたいなのが頑張っていかないと、下もね。
- きくち
- そうね、ついてくる世代もちゃんといるわけだし。
- 藤井
- そうそう。それにミュージシャンって息が短いんだと思われるのも…。だから歌えるうちは、俺は歌うよ。
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