KIKCHY FACTORY

TV LIFE 連載:KIKCHY FACTORY
#70(03/02/05)


生演奏ということ。生放送ということ。

 このコラムも70回。本業のほうも足かけ19年。入社して最初についた番組が毎週2時間の生放送『夜のヒットスタジオデラックス』、出演ゲスト11組が基本的に生演奏でうたう、根っからの「歌番組」でした。

 そのころ『Mステ』はまだなくて、TBSの『ザ・ベストテン』日テレの『トップテン』と、そして『夜ヒット』ががんばっていた時代。どの番組にも専属のハウスバンドがいて、マネジャーさんが配る譜面で、出演者がみんな同じバンドの生演奏でうたいました。しかも3番組ともが生放送。

 その後、歌番組の視聴率が低迷してそれぞれが終焉を迎え、90年『夜ヒット』が終了。『ヒットパレード90's』『G-STAGE』『サウンドアリーナ』とつないで、『MJ』のころには半分以上がカラオケという時代になりました。その後半年間フジテレビに本線の歌番組がない時代があって、そしてはじまった『HEY!HEY!HEY!』。俗に言われた「歌番組冬の時代」で『ミュージックステーション』と『カウントダウンTV』だけががんばっていた94年秋。そのころはもう、カラオケが歌番組の常識となってしまっていました。

 生演奏よりも、時間をかけてレコーディングして納得いくまでミックスダウンした「カラオケ」のほうがクオリティが高い、という理屈はわかります。それならボーカルまでとことんつくりこんだ「クチパク」のほうがもっとクオリティが高いわけで、映像だって時間もお金もふんだんにかけた「プロモーションビデオ」のほうがクオリティが高い。だけど生放送だったら、あるいはお客さんがはいっていたらば、それはライブであるべきだと、わたしはずっと、そう考えています。

 『LOVE LOVEあいしてる』からは生演奏への情熱とある種のトラウマ(?)で突っ走ってきました。『アヤパン』『夜のヒットパレード』もちろん『ayu ready?』去年もたくさんトライしました。

 そんななかわたしたちの去年のベストアクトは、6月8日『FACTORY』松浦亜弥さんライブドキュメント用の「LOVE涙色」、素になった3小節の緊迫感と達成感はサイコーでした。そして7月6日27時間テレビ『SATURDAY NIGHT LIVE×LIVE』での島谷ひとみさん「亜麻色の髪の乙女」、12月23日『HEY!』浜崎あゆみさんとCHEMISTRYとの「白い恋人達」。3曲ともチームが誇る(?)天才(?)I谷ディレクターの映像作品です。

 再びやってきた音楽番組逆風の時代にひるむことなく、今年も生でもがんばります。どうか視聴率で応援してやってください。

フジテレビ きくち





モドル




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