 |

TV LIFE 連載:KIKCHY FACTORY
#65(02/11/20)
10年2か月ぶりに『ひげ』を剃りました
- このコラムの左側の写真にもある、わたしの下唇の下にたくわえた「清志郎」さんひげ、わけあって10年と2か月ぶりに剃り落としました。見かけはどうもざっくり「若くなった」みたいです、が、まる5日間すごしても、ほとんど誰にも気づいてもらえなくて、わたし的には大事件?なのに、チームのスタッフも、KinKiもGacktも、まるで気づかない。ちょっとびっくりです。
わたしが生涯はじめてひげらしいひげを伸ばしたのは『夜ヒット』のADだった89年初頭。クロマキーと呼ばれる合成のための、「流氷」の映像素材を録りに、本番と本番の合間の4日間、知床から網走の辺りを、ロケディレクターとしてさすらったときの無精ひげ。伸ばせばけっこう生えるじゃん、ってちょっと感動して、でもさすがに東京もどってすぐに剃りましたけど。
その秋『オールナイトフジ』『パラダイスGO! GO!』とかでディレクターになって、たくさんロケにも出かけるようになって、無精ひげもまた伸びて、伸びたまんまで放っておいたら、口のまわりがひととおりそこそこ見事なひげに仕上がりました。『なまあらし』とか『MUSIC FAIR』とかやってる、同期の鬼才;F瀬Pが、そのころ大学ノートの表紙に描いてくれたわたしの似顔絵を見ると、こんなにしっかり伸ばしていたんだと、自分でも感心します。
で、ある日、そのころ毎日のように泊まっていた新宿のサウナで思いついたのが、「下唇の下だけ残して剃ったら清志郎さんじゃん」って、実に単純な動機で今のわたしのビジュアルができあがりました。
それがすっかりなじんだ、運命の92年9月16日、徳光さん堺さん田代さんが司会の当時のメインの歌番組、水曜21時『サウンドアリーナ』のカメラリハーサルのとき、歌手として出演した秋吉久美子さんがわたしに、「あなたそのおひげ無いほうがステキよ」とおっしゃって、かるく舞い上がったわたしはもういきおいで、本番前に「清志郎さんひげ」を剃り落としたのでした。そしたら(?)生放送中、最後から2曲目吉川晃司くんのスタンバイ中にたしか原田喧太のギターがトラブって、あわててトリの谷村新司さんをスタンバイ、とりあえず「三都物語」をうたっていただいているあいだに、吉川バンドを再チェックして、不体裁ながらもなんとか放送を終えることができました。まあ、生演奏の生放送ならではのここちよい緊迫感とリアリティではありましたが。
それ以来、このひげを落とすのが怖くて、10年と2か月暮らしてきました。今回もまたいろいろ、たぶんしばらくは剃らないんじゃないかとも思っています。
フジテレビ きくち
|

(C) OTOGUMI ALL RIGHTS RESERVED. |
 |