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- TV LIFE 連載:KIKCHY FACTORY
#60(02/09/11)
- 「さよならコンサート」というはじまり
- リンドバーグの最後のコンサートに出かけました。公私ともどもなかよしだった、TVディレクターとしてのわたしの同期のような、わたしにとっての特別なバンド。関係者もいろんな顔がいろいろそろって、開演前からちょっとくるものがありました。
渡瀬のうたが大好きでした。彼女のうたと声はわたしにとっての「ガールポップ」のひとつの定義でもありました。まっすぐなノンビブラートの甲高いボーカル。カラフルでカジュアルでキャッチーで「前向き」なメロディー。そのころわたしがいちばん足をはこんでいちばん汗をかいたバンド。14年かあ・・彼女の「GLORY DAYS」1曲1曲ふりかえりながらわたしもゆっくり昔に帰りました。10代の最後のころのうたを今の彼女がうたう。今日の彼女のうたう声に、明日の彼女のうたが聴こえました。
去年の3月、東京ドームで終わったJUDY AND MARYは、プロデューサーとしてのわたしの同期のようなバンド。いつもとまるで変わらないステージが胸を張っていてかっこよかった。なんかロックで。
12月、真心ブラザーズの最後の武道館。わたしの弟か従兄弟のようなバンド。ちょっとおくれて扉を押したら真っ暗で、席に着くのを待ってたようにはじまった「うみ」おもいでをともにした戦友とならんで聴いていました。いろんな気持ちがあふれすぎて言葉がなかったけれど、楽屋で打上げで笑ってる倉持に桜井に逢って、わたしたちも笑った。かっこよかったぜ。かっこよくなった。「終わりははじまり」と教えてくれたのは佐野元春さん。94年、ハートランドの最後の横浜スタジアムはまさに圧巻でした。
いちばん印象深いのが86年6月、はじめて出かけたさよならコンサート、甲斐バンドの12年間を締めくくる武道館。ADのころでもちろん仕事もあったけど、プロデューサーに直訴して行かせてもらいました。最後の最後「破れたハートを売り物に」が終わって、シーケンサーだけがメロディを廻し続けるなか、全員がセンターで手をとりあってあいさつ。メンバーがステージから去って、演奏がフェイドアウトすると、1万人からのお客さんのうたっていた声が浮きあがって、終演を告げるアナウンスを何度も何度もかき消して、止め処なく続く大合唱。声を枯らしながらわたしもこの曲に酔っていました。サイコーでした。
最後の場もなく終わってしまうバンドは悲しいし、終わったのかどうなのかもわからないファンもさびしい。終わるから次がはじまる。「さよならコンサート」はバンドとファンとスタッフの新しいはじまりだね。おつかれさま。ありがとう。また、ね!
フジテレビ きくち
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