- きくち
- 『僕らの音楽』まだ1回しか放送してない(#001 平原綾香 2004年4月3日OA)のに、番組ホームぺージへの書き込みがとにかくすごいですね。
- 鳥越
- 僕の所にもメールがたくさん来てますよ。…今、例えばレストランだと中堅の店がどんどん潰れているけど、高くても本当に美味しい物を食べさせてくれる店は残ってる。音楽も同じで、本物を見たい、聴きたいって、そういう気持ちになってるんじゃないかな。
- きくち
- 時代のタイミングを感じますよね。掲示板では議論が白熱していて「なぜこのゲストを?」みたいな話にまで発展していますから。
- 鳥越
- 3回目はなぜ松浦亜弥なのかって、僕も思いました(笑)。僕の中に固定概念というか、一種のイメージがあったしね。でもCDを聴いてみたら、曲によって声の出し方を変えていたりして、ちょっとイメージと違うなと。
- きくち
- 目の前で松浦さんが歌うと、また違う。結構、ぐっと来ますよ。
- 鳥越
- この番組はお客さんを前にして歌う、まさに真剣勝負じゃないですか。そこで彼女がどんな歌を歌うのか、僕も楽しみにしてるんですよ。
- きくち
- 松浦さんは自分をアイドルと認識している。完璧な、そしてニッポンにただひとりのプロのアイドル歌手です。
- 鳥越
- 自分でアイドルだと思ってるんだ?そこはぜひ聞いてみたいなあ。
- きくち
- 彼女はプロだから、その質問にも自分の言葉できちんと応えるでしょう。この対談が誌面に載るころには松浦さんが3回目のゲストだった理由が、わかってもら えていると思います(#003/2004年4月17日OA)。…で、松浦さんの話ばかりじゃなくて(笑)、鳥越さんは放送をご覧になっていかがでしたか?
- 鳥越
- まあ自分の所は置いとくとして、まず目が行ったのは映像ですね。既存の音楽番組ではないようなカメラ割りやスイッチングをしていて。 例えば、この歌手のこの歌詞の所は顔に寄って、その後引いて…みたいなのがある程度、決まってたりするじゃないですか。でもこの番組だとパーカッションが アップで映っていたり、歌手が向こうの方に小さく見えるだけだったりして、すごく新鮮な感じだったんですよ。
- きくち
- 歌とカット割りの異種格闘技みたいだって、仰ってましたね。
- 鳥越
- そうそう、とにかくすごいなあと。単なる歌番組じゃなくて“音楽”っていうものを全体で見せることを、必死で追究しようとしている。そんなディレクターの気概を感じましたね。
- きくち
- 音も素晴らしかったですね。やっぱり生演奏ですよ。
- 鳥越
- うん、生はすごいね。で、僕は平原綾香さんの歌い方を不思議に思っていたんですよ。それで「失礼かな」と思ったけどブレスの質問をして、その秘密がわかった。彼女は息を吹くことによって音楽を作っていたんですね。
- きくち
- 3曲の中でいちばん編成の薄かった「明日」は、ハープとコントラバスとピアノ、それに彼女のボーカルという「楽器」で演奏したかんじでした。
- 鳥越
- きっと平原さんの声自体が管楽器のように太く、しっかりした声というのもあったんでしょうけど。
- きくち
- さっきのブレスの話がわかりやすい例だと思うんですが、わたしはアレが音楽をドキュメントにしたと思うんです。だからここからも鳥越さんには、思ったことや感じたことを率直に、好きなように訊いて欲しいです。
- 鳥越
- インタビューはなあ…まだ手探りで良くわからなくてさ(笑)。そもそもインタビューは化学変化みたいなものだし、何が起こるか予測がつかない。その中で1つでも、新しい発見や驚きが生み出せたらと思ってるけど…こればっかりは相手あってのものだからね。
- きくち
- 今後はそろそろ…ベテランのかたも視野に入れていきたいですね。
- 鳥越
- 井上陽水さんとか、ね(#101/2006年4月7日OA 鳥越さん卒業後に実現)。2人して九州弁でしゃべったりして(笑)。あともし可能なら、ピアニストの小曽根真さんも。ピアノを挟んでインタビューすれば、すごく面白いと思うよ。
- きくち
- 鳥越さんの夢が実現するころには番組は順調に流れているでしょう。ちょっとした冒険もできるくらいに。
- 鳥越
- ぜひ、そうなってほしいね。そもそも最初、この仕事を受けたのはスタッフさんの“本気”を感じたから。それですごいこと始めちゃったんだから、もう続けないといけませんよ。
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