KIKCHY FACTORY

キタキのこと

キタキとのことを書いてみます.
彼女とはじめて逢ったのは99年のたしか初夏.
デビュー盤をアナログでもらっていて,
音もビジュアルもそれ以外まったくのノーインフォメーション.
フジテレビの食堂で待っていた彼女は,見てちょっとびっくり,
とても女子高生とは思えない よくもわるくも 大人びたビジュアルで
それはもう このコが17というのは わたしには生涯サイコーの
圧倒的なジェネレーションギャップ.
正直 女の子の好きキライで言うと
わたしのいちばん苦手なタイプ.
でもまあ 逢うだけだから と
わたしなりに努力していっしょけんめい話したように憶えています.
音楽のことは あまり話さなかったけど.
なんか共通の言葉が見つかりそうになくって.
アントラーズのファンだということ
彼女の高校の共通の知人のこと
ラーメンのこと だとか
そんなことばかりを話して,でも
強烈なインパクトを残して 彼女は帰っていきました.

それから なんか気になって見てると
ファッション誌とか
外資系のレコードショップとかでけっこう目について,
そうこうしているうちに 縁があったのか どうなのか,
わたしたちと彼女の運命がじょうずに流れて
『FACTORY』でお仕事することになっていました.

番組でわたしが 彼女に最初にしてあげたのは
18歳のお誕生ワインをプレゼントしたこと.
その次にしてあげたことは
このライブ番組で オープニングアクトとして
必ず 毎回 彼女がうたえるよう
レコードメーカーに 強くお願いしたこと.

生演奏でうたう はじめての彼女のうたは,
とりわけ秀でた声でもなければ
どちらかというと じょうずでもなく,
でも ステージの彼女は でもどこか
とびっきり微妙な存在感で たのしそうに笑って
わたしをふわっと抱きしめて.
そこがスタート.
わたしたちは そこから
(ときどき)ならんで 歩きはじめました.

19の誕生日のころには
彼女はもう立派なライブシンガーになっていました.
わたしは素直に彼女を褒めました.
ときどき携帯にくれる 不可思議なメール,
理解を強要しない見たことのない文字列.
ちゃんとした文章も ふつうにも書けるのに
キタキは わたしの期待を裏切らない.

ビジュアルからも 会話からでも
彼女を理解するのはむずかしい.
理性はでなく 感性で.大胆でなく 繊細でもなく.
きっと彼女のことを飽きるなんてこと
きっとないんだろうな.
って そんなふうにも思います.

だから
そんなふうに 君は
今日からも そんなふうに うたい続けてください...


フジテレビ きくち伸



モドル




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