五十嵐航役 渡邊圭祐さん

2021.8.2 MON. UPDATE
インタビュー#02 インタビュー#02

今回は、外見こそ比嘉愛未さん演じる主人公・日高泉美の推しキャラであるケント様にそっくりですけど、中身は無作法で無教養で、人を好きになったこともない、という残念過ぎる王子様・五十嵐航役、ということですが、演じるにあたって考えたことは?
これからいろいろと航の過去が明らかになっていくんですけど、いろいろなことがあって彼は東京に出て来て、いろいろなことに失望している――で、残念なことに教養もないと。生きる気力もなくて、何のために生きているのかもわからないという、世の中に希望を見いだせてない若者。マナーも知らなくて、ただ仕事をする体力だけはある。多分、そういう部分を凄く分かりやすく体現しているのが、この航という役だと思っています。心のうちでは航と同じように思っている若者もたくさんいると思うんです。将来に対する不安とか、「俺って、ここから何をしたらいいんだろう?」みたいに悩んでいたりして……。
そういう気持ちがわかるような時期はありましたか?
大学生のときが一番近しい感覚を持てていたのかな、という気はしますけど、僕自身、将来に対するビジョンみたいなものをあまり持たないタイプなんです。何となく、「いまが楽しければいいや」みたいな感覚で当時は生きていたというか、その日その日で、「自分が楽しめることって何だろう?」と常に考えていて……。あまり良くないことですけど、学校行かないで友だちと昼間からお酒を飲んでみたり、そういう生活をしていましたね。航も、その日を生きるお金を稼いで、その日を何となく生きる、という意味では共通点もあるんですけど、やっぱりちょっと違うのは、僕は周りの環境に恵まれていて、航は周りの環境に恵まれなかった。その違いなのかな、と。
変な言い間違いをしてしまうようなシーンもありましたね。
ああいうのも面白いですよね。台本を読んだとき、「よく思いついたな」って。読めなかったら普通は口に出さないじゃないですか。それを口に出してしまう航、「いいね」って思いました(笑)。そういう愚直さが泉美にも響いたのかもしれないですね。ああいう、ちょっと抜けていてキャッチーな個性は、人間としての興味をくすぐられるような感じがします。
泉美のような“推し活”女子についてどう思いますか?
素敵だと思います。『推し事』というのが流行っているようで(※自分が推すものを応援するための活動のこと)。僕は、あまりそういうものとは無縁なタイプではあるんですけど……昔、指原莉乃さんを推していたという過去はあるんですけど(笑)。以前、バラエティー番組に出させていただいたときに、その推し事に密着するという企画のVTRを見たんですけど、推しがいることで自分の人生を生きる活力に変えていたりとか、推しに貢いであげることが原動力になって仕事していたりとか、そういうことで自分の成分を他から吸収していくような感じが素敵だなと思って。多分、広くとらえれば結婚もそうだと思うんです。旦那さんが推しで、奥さんが推しで、とかって多分そういうことだと思うんです。そう考えると凄く素敵ですね。いま、凄く広く、良いように捉えましたけど(笑)、推しがいる生活って素敵ですね。思い起こせば、僕も指原さん推しているとき幸せでしたもん(笑)。
渡邊さんを推してくれているファンのみなさんには、どういう気持ちをお持ちですか?
ありがたいです。ウチの事務所はそういうイベントとかを積極的に開催する事務所でもあるので、新人俳優が集まって歌って踊るイベントなどもやっているんですけど、そこに集まってくださる方、毎日メッセージくださる方は、もうエネルギーが凄いんです。文面だけからでも伝わってくるような愛情は、僕らの原動力になっています。正直、その推してくださるみなさんのために頑張る、というタイプでもないんですけど……。僕は、自分が楽しいことをやるというタイプなので。でも、そういうみなさんの存在が確実に僕のガソリンにはなってくれているので、本当にありがたいです。1話放送される度に感想を届けてくださるとか、そういうお声をいただくと、やって良かったな、愛されるキャラクターが作れて良かったな、って、自分がやってきたことに箔を付けてくれるというか。そういうのは凄く嬉しいことですし、ありがたいことなので、感謝しています。僕らは、推してくださる方がいないと成立しない仕事をしているので。多分僕らは、推してくださる方を探して一生仕事をしていくんだろうと思うと、大切な存在ですね。
泉美との出会いで、段々変わっていく航の変化をどのように演じようとお考えですか?
外見って凄く内面が現れると思うんです。その内面も、生きる希望だったりとか、希望の光だったりとか、そういうことがしっかりわかっているってとても大事だと思っているんです。見ていて分かりやすくしっくりくるのは、外面をまず泉美に変えてもらって、それが自分の体にしっくりくるところを表現できたらいいなと思うのと、目の輝き……それは1話から話数を重ねる毎に、目に光が宿っていくというか、生きる希望とか活力が見て取れるように変わっていけたらな、と思っています。
胸キュンシーンも期待されています。
みなさんが思ってくださっているより、胸キュンパートって多くないと思うんです。なので、泉美と接するときだけに見せる航の距離感とかは意識していきたいと思うので、もし胸キュンを求めている方は……ディーン・フジオカさんにご期待ください。泉美にご自分を重ね合わせて見ていただけたら、僕のパートではその距離感でキュンとできるのではないかな、と思っています。あとは後半展開ですね。心が苦しくなるような展開でもあると思うんですけど、いろいろと学びの多い作品でもあると思うので、そういうところも感じ取っていただけたら嬉しいですね。
航は、年上の泉美に教育されていくわけですけど、渡邊さんだったらどう思いますか?  それから、そんな泉美を演じる比嘉さんの印象も教えてください。
教育されるのは、僕は絶対に嫌ですけどね(笑)。僕は頑固なので……。古着屋さんで働いていたこともあるので、割と小汚い恰好が好きなんですよ。それを直されたりしたら腹が立ってしまうというか(笑)。だから、そういう教育みたいなことは完全にNGです。あれは、この作品の航だからこそ、受け入れている……受け入れ難いけどそうせざるを得なかった、みたいな状況があるので。航だから、です(笑)。比嘉さんは……多分、ポスター撮影で最初にお会いしたんですけど、30分くらいかな?  たまたま話す機会があって。で、いろいろお話したんですけど、本当に人として好きな方で。飾らない方なんですよね。裏表がまったくないし、そのままでいてくださるんで。どうしても僕らって、役のイメージで見られてしまうところがあるんですけど、比嘉さんのイメージは、静かな大人の女性、というイメージが凄くあって。でも、意外と男らしい部分、たくましい部分も持っていらっしゃる方で、凄く話しやすくて、その30分だけで打ち解けることができたんです。良い関係で、3ヵ月進んで行きそうだな、と思いました。
最後に、視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。
比嘉さん演じる泉美が、推しのゲームキャラにそっくりだけど中身は残念な航に出会うことから始まる話なんですけど、自分の生活をする上で、照らし合わせられる部分も凄く多いドラマなので、ご自分が推しているものと、重ね合わせて見ていただけたらより楽しめると思います。あとは、ひとりの男の成長する様を、温かい目で見ていただけたら嬉しいです。

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