日高泉美役 比嘉愛未さん

2021.7.28 WED. UPDATE
インタビュー#01 インタビュー#01

台本を読んだときの印象からお願いします。
今回は完全オリジナル・ストーリーで、最初は『推しの王子様』の”推し“とは何だろうと思っていたのですが、純粋に自分がときめくもの、生きがいを見つけることの素晴らしさというか、大人とか子どもとか関係なしに、いつだって人はときめくことができる、ときめいていいんだよ、ということが素敵に描かれていると思いました。あと、女性が自立して活躍するようになった時代なので、そういう部分にも当てはまる内容なんじゃないかな、と思いました。ひょんなことから出会った年下の”だめんず“を育てるといいますか(笑)。それがコメディータッチで、テンポ感もあって、すぐに台本を読み切ってしまって、「これを早く映像で見たい!」と思わせてくれる作品だったので。難しくなくて、明るく、テンポよく楽しめる、新たな恋愛コメディー・ドラマになるんじゃないかな、と思いました。
”推し“という気持ちは、このドラマに入る前はまだ……。
実は私自身、推しが見つけられていないんです。泉美を演じているときは「ケント様~♡」という気持ちにはなれるんですけど、私自身の人生の中でそこまで何かに凄くハマり過ぎて、というオタク気質な部分がなさ過ぎて……。今回、「これじゃだめだな!」と思って見つけ出そうと思いました。
泉美を演じて、徐々にわかってきた?
無理に見つけることではないと思うんですね。出会いだと思うので。とにかく、好きなもの、生きがいになるものを見つけるだけで人ってこんなにも強くなれるんだ、とか、日々が楽しくなるような活力になるんだ、ということは泉美自身もよく言っているんですけど、まさにそういうことなんだろうな、と思っています。その大きさとかは人ぞれぞれあると思うんですけど、いまのところ私は……上京してきて15年、仕事がずっと“推し”だったので。まあ、仕事という言い方も嫌なんですけど、お芝居――現場でみんなでものを作るというのが大好きで。こんなに面白いことってないと思うんです。いろいろな人と出会って、いろいろな役の人生を生きて……。その中で、たくさんの後悔とか失敗もありつつも、でもそれが糧となって、どんどん進んでいけるって。だから、それはこの先も私の中でずっと変わらない“推し”ではあるんですけど、もっと、仕事じゃない部分での推しを見つけられるように視野を広げていこう、という刺激は受けました。
ドキドキするシーンもたくさんある?
きゅんきゅん、してますよ。壁ドンされたんですよ。なかなかないじゃないですか。「女優は緊張しない」とかないですから。「あ、近い!」ってドキドキしているのを隠してお芝居していますから。先輩として、そこは出さないようにしていますけどね(笑)。ただ、いままで私は恋愛ドラマをあまり経験してこなかったので、その“ドキッ”のときの顔をどうすればいいのかわからなくて、いま自分の中で試行錯誤しているところです。だから、監督さんやプロデューサーさんに「どうでした?  」「大丈夫でした?  」って確認しながら進めています。表現方法として、多分正解はないので、どこまで出せばいいのか……。でも、やっぱり世の女性たちを代表して体現しないといけないので、そこはしっかりと。心が動かないとダメなので、お芝居ですけど、ちゃんとドキッとするように集中してやっています。
インスタに、「王子教育を始めました」というのを掲載しましたよね。お芝居とはいえ、若い男性を教育するというのはどういう気持ちですか?
えっ、楽しいですよ(笑)。教育と言いますか、お芝居ではちょっと子どもっぽく、言い合いになるようなシーンが多いんですけど、演じていても楽しいんです。決して上からではなく、本当に彼を育てたいという愛情ゆえなので。私自身は、人を教育するほどの器でもないので、疑似体験としてやれている段階としては楽しんでいます。航は、磨く前の原石なんですよね。だから、磨けばキラキラ輝いて、純粋に吸収していくので嬉しいですし、それがリアルに泉美と私がリンクして、「あ、言葉遣い、ちゃんと出来るようになった!」「礼儀が出来るようになった!」って、それを見て微笑んでいる描写があるんですけど、結構いい顔していると思います、我ながら。本当に「ああ、良かった!」って。母性本能に近いですね。お母さんまでは行きたくないですけど、自分の中にも母性本能があったな、というのが新たな発見でもあり……。ドキドキとはまた違って、嬉しさ、愛が溢れるような感じです。
その母性が恋愛に変わっていく感じは?
リアルなことを言いますと、航と白石聖さんが演じる幼なじみの杏奈がふたりで話しているのをちょっと見ているだけでもザワザワしました。「あ、ちゃんと泉美、ヤキモチ焼いてる!」って思えたので、こういう感覚でどんどん好きになっていくのかな、って。「あれ、何だこれ?  」というとこから、段々自分の気持ちに気づいていく。泉美は純粋で真っ直ぐなんですけど、きっと自分のそういう部分には蓋をしてしまっていて鈍感になっている女性なので、そこは割とリアルだなと思って。いまの時代の働く女性、自立した強いって言われる女性は、もちろん両立させている方もいらっしゃると思うんですけど、多分、そこの部分が苦手な人が多いのかな?  そういう方にも共感してもらえると思います。私自身も、そういう部分があるので、凄く共感しています。徐々に自分の気持ちに気づいて、躓いたりとか、向き合ったりとかの繰り返しで、どんどん素直になっていくんじゃないかな、と思うんです。そういう過程も丁寧に描きながら出来たらいいなと思います。
渡邊圭祐さんとお芝居をされてみての印象は?
年は下ですけど、頼れる存在です。航が渡邊くんで良かったと心底思えるくらい助かっています。ちゃんと地に足がついていて……なかなかいないじゃないですか。彼のような経歴で。社会人として世間も知った上でこの世界に入ってきているからこそ、浮ついていないと言いますか、達観しているような部分も感じます。周りのことも冷静に見られる人ですし。静かなる情熱を持っている方だな、と。そういうパッションが合うから、一緒にいて楽しいし、私のボケボケもすべて拾ってくれますし、ユーモアもあってとても魅力的な方です。でもまだ、彼はすべてを出し切ってないと思うんです。小出しにしていると思うので、一緒に作品を作っていく段階で時間を過ごせば、もっと彼の違った部分が見えるんじゃないかな、と思ったら楽しみでしょうがないです。それくらい、これからの役者・渡邊圭祐を見たいな、と思わせてくれる魅力がある人なので、今回ご一緒できて良かったです。演じる私も生身の人間なので、渡邊くんとのセッションで生まれる、お芝居だけじゃない良い空気感が生まれているんじゃないかな、と。それによって私も、自分でも想像していなかった泉美の良い表情や感情が出たりとかして、それがお芝居なんだけどリアルになっていくと言いますか、血肉が通っていくといいますか、ドキュメンタリーのようになっていくのか多分、一番もの作りで最高の作り方じゃないですか。彼が笑っているだけで「ああ、良かった!」って思えるので。そういう風に思わせてくれるのは本当にありがたいです。自分だけじゃなくて、相手ありきで生まれるものなので。そんな作品にできたらいいな、と思いながら取り組んでいます。

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