第1話「鬼火」(おにび)スペシャル
1998年4月15日放送
平蔵(中村吉右衛門)が駒込の居酒屋で一杯やり店を出ると、それを見計らったかのように賊が押し入ってきた。平蔵は賊を追い払い、そのひとりを捕えるが、居酒屋の店主夫婦は姿を消していた。店主が口にした『丹波守』という言葉が気にかかり、平蔵は七千石の大身旗本・渡辺丹波守直義(西田 健)と、消えた夫婦との関係を探り始める。そんな中、平蔵が捕えた賊のひとりが「よしの」と言い残して急死してしまう。一方、渡辺丹波守はかつて女中に手を付けて生ませた子供を、六百石の旗本・長井家に養子に出していたことがわかった。だが、長井家当主の弥一郎(荻島真一)は行方知れずになっており、丹波守の実子が長井家を継いでいた。すべては渡辺丹波守に取り入っている元御番医・吉野道伯(三谷 昇)が仕組んだことだった。道伯は、弥一郎をたぶらかし、家を捨てさせていた。家を捨てた弥一郎は、大坂へ向かった。そこで出会ったのが、渡辺丹波守が捨てた女中・お浜(山口果林)だった。渡辺丹波守は、事情を知る弥一郎とお浜を、亡き者にしようとしていた。道伯は、病身の渡辺丹波守の治療を一手に担い、お家存続のために自分の過ちを覆い隠さんとする丹波守の弱みを握ることで、その権勢を己の利益のために利用しようとしていたのだった。