第1話「土蜘蛛の金五郎」(つちぐものきんごろう)
1994年3月9日放送
三ノ輪のはずれにあるめし屋「どんぶり屋」。飯は食い放題で、魚と汁がつき、香の物のお代わりは勝手。田舎そばでも十五文はするところを、これだけ腹におさめてたったの七文。飯時を過ぎ店の裏手に食うや食わずやの連中が群れてくると、今度はただで雑炊を振る舞っていた。平蔵(中村吉右衛門)は、これを盗っ人がやっているものとにらみ、食い詰め浪人・木村五郎蔵と名乗り、自らどんぶり屋に通い出した。店の主人は、越後・越中・信州を荒らし回った急ぎばたらきの盗賊・土蜘蛛の金五郎(遠藤太津朗)だった。やがて金五郎は、平蔵の腕を見込み、五十両で殺しを依頼してくる。相手は手引きが整う土壇場まで明かせないという。与力・天野甚造(御木本伸介)はじめ火付盗賊改方、密偵たちの調べによって、金五郎が大きな盗みを計画していることがわかった。殺しと盗み、このふたつの関係は…。平蔵に、ある考えが浮かぶ。平蔵は、旧友・岸井左馬之助(竜 雷太)に使いを出すのだった。