桶狭間

OKEHAZAMA

3月26日(金)21時~23時32分

インタビュー

土田御前役 黒木瞳さん

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今回のお話がきたときの感想は?
海老蔵さんとは、舞台『オイディプス』(2019年)で、妻でありでも本当は母だったという役を演じておりましたので(お話をいただいたときは)何となくしっくりきました。市川新之助さんの時代から歌舞伎で拝見させていただいていましたし、お父様の團十郎さんとは夫婦を演じさせていただいたこともありますので、親近感も持っていました。海老蔵さんは、新之助さんの時代から、大変素晴らしく、天才だな、と客席で拝見してはため息が出たほどでしたので、今回、母親役を演じさせていただいて光栄でした。
土田御前という役について。
土田御前は、鬼才な信長をどう扱っていいのかわからない、そしてどうしても弟・信勝の方に愛情が偏ってしまう。その血のつながりがすごくやるせなかったんだろうなと思います。でも結局は息子ですから、憎しみながらもやっぱり愛していたんでしょうね。現場でも、信長からはなるべく離れて距離をおいて、逆に信勝とは笑顔でいようと。演じるときもそんな二人の息子との距離感を大切にしました。
海老蔵さんが演じられる信長について。
海老蔵さんが信長と伺った時に、“視聴者の方はこれを待っていたのでは?”と思いました。能の“敦盛”のシーンも、華麗に舞うところに海老蔵さんならではの人間の業のようなものが入っていくのでは、と思いますので放送が楽しみです。
広瀬さんとの共演シーンはいかがでしたか?
今回の作品は女性の出演者がほとんどいないので、数少ない女性の共演シーンでしたね。彼女は斎藤家から嫁いできていて、土田御前も土田家から嫁いできていて。そういう時代ですので、濃姫とのシーンはセリフこそ少ないのですが、女性同士でも共感できるものは感じましたし、視聴者にもそこは伝わると思います。信長と濃姫の夫婦仲がいいのは他のドラマでも見たことがありますが、“自分にも鬼を分けてほしい”というセリフにありますように、あそこまで濃姫が能動態な作品は今まであまり見たことがないと思います。海老蔵さんの信長だからこそ、広瀬さんの新しい濃姫が生まれる・・・そう感じました。他にも、佐藤浩市さんの斎藤道三をはじめ、ご一緒できなかった方のシーンの放送も楽しみにしています。戦国時代ですから男性が多い作品ですけれど、そこにすごく人間ドラマがあって、駆け引きでありながら人の情をついてくる、その辺りがすごくいい作品に仕上がっているのではと思います。

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河毛監督の現場はいかがでしたか?
ドラマ『砂の器』(2019年)、その前に『パンドラ』(WOWOW/2018年)でご一緒して。1年に1回ご一緒しているのであまり久しぶりとは感じませんでした。土田御前はあまり文献がないので、母親の切なさと強さを想像しながら、(監督とは)お話をさせていただき演じました。
視聴者の皆様にメッセージをお願いします。
今まで数々映像化されている“織田信長”の中でも、今回は“桶狭間”に集約されているところが、最大の見どころだと思います。“うつけ”と言われた信長が、家臣をまとめて今川義元にたち向かっていく。そこまでの過程がとてもわかりやすく描かれていると思います。今川を破ってからの転換もおもしろいのですが、そこまでの礎みたいなものが描かれているというのがこの作品ならではの見どころだと思います。