NONFIX過去放送した番組



探検家・関野吉晴(67歳)。現在武蔵野美術大学の教授(文化人類学)でもある彼は、ユニークな教育を行うことで知られ、学生たちの間で人気の先生だ。
2015年4月。関野は課外ゼミで学生たちに呼びかけた。
「カレーライスを一から作る」
米、野菜、肉、香辛料、塩、器、スプーンまで、カレーライスに必要なすべての材料を自分たちの手で育て、作り、食べようというプロジェクト。
一体なんのために…。

関野は言う。
「いまの学生は、身の回りのものが何から出来ているかまったく知らない。モノの原点を知ることで、自分たちが生きている世界を正しく認識する力がつく」

制作期間はおよそ9か月。番組では、慣れない野菜作りや家畜の飼育に苦闘する学生たちの日々を取材。野菜や米は、有機栽培や自然農法で作った。思うように生育しない野菜を見て、「化学肥料を使ってもいいのではないか」「いや使うべきではない」と意見が分かれる。そして食べるために飼ったはずのホロホロ鳥に情が移り、「殺すのをやめよう」という意見も。学生たちは話し合い、「ペットとして飼ったのではないから屠るべきだ」という声が勝る。だが「実際に鳥を絞めるその日を迎えたら、どう感じるかわからない…」と悩む学生たち。

2016年1月18日。カレーライスを作り、食べる日を迎えた。現代っ子たちは9か月かけたカレー作りを通じて、一体何に「気づく」のか?関野吉晴ゼミの、個性豊かな取り組みを追った。

関野吉晴
1949年東京都生まれ。一橋大学在学中に探検部を創設し、南米アマゾン探検を中心に活動。その後医師免許を取得し、探検先でも医療活動に従事する。南米最南端からアフリカまで、人類拡散の足取りをさかのぼる旅「グレートジャーニー」に、8年の歳月をかけて取り組んだ。1999年植村直巳冒険賞受賞。


■語り 皆川猿時
■編成企画 御旅屋俊之
■プロデューサー 大島新
■撮影・ディレクター 前田亜紀
■制作 フジテレビ
■制作著作 ネツゲン