日本だけでなく、世界中で盛り上がりを見せる「現代アート」。世界のあらゆるところで、経済を動かし、新たな才能を排出、多くの人々が熱狂しているという。
日本にも、そんな現代アートを取り巻く熱気とうねりを都心の一夜に凝縮して放つイベント「六本木アートナイト」がある。このイベントでは一夜に何十万人もの人々が押し寄せ、六本木の街が変容するという。
高校の授業でしか美術館に行ったことのない、アート初心者の女優・清水富美加。アートナイトの話を聞いた時は、「アートでそんなに人がたくさん集まるなんて…」と疑ってかかっていた。
2015年4月25日、日没から始まったオープニングセレモニー。清水の予想を大きく越える数えきれない人、人、人…!
夜の街を鮮やかに彩る光、人々の心躍らせる音、見たこともないオブジェの数々…街中がアートで溢れかえっていた。
いつもの六本木とは違う、夢の様な世界。気鋭のアーティストたちが、六本木の街を舞台に、自らの作品を展示し、パフォーマンスを繰り広げる、一夜限りのアートの祭典。
参加して体験すればするほど、清水の中の好奇心がくすぐられ、ワクワクが爆発していき、笑顔がなくなることはなかった。
「六本木アートナイト」初参加に思いを馳せ、寝るのも惜しみながら挑戦する若手アーティスト。一般募集で集まった素人ボランティア達。イベントの一年前から準備をし、苦しみすらも力に変えて当日は六本木中を駆け回る運営スタッフ…。普段決して交わることはない彼らとも、出会うことができるのがアートナイトの醍醐味。清水は高ぶる気持ちを彼らにぶつけていく。
ワクワクとドキドキが止まらない華やかな表舞台と、それを支える多くの裏方の人達。人の心や気持ちを高ぶらせ、通常不可能なことを可能にしていく底無しのパワーに包まれた清水は、すっかりアートに魅了されていった。
夢の様な楽しい時間はあっという間に過ぎていき、気づけばまた日が昇り、いつもの日常が始まる。
それでも清水の瞳の奥では、新しい何かがキラキラと輝き始めていた。