美とは何だろう。
それは女性なら誰しもが憧れるひとつの理想。
それは世の男性たちはもちろん社会全体が女性に求めるもの。
しかし、美の基準は特にあるわけではない。
モデル。それは美を売りにする職業のひとつ。
ほしのかなさん19才。
「あんな人になりたい」と女性たちに思わせることの出来る存在。
それは、彼女が考えるモデルへの思い。
そんなほしのさんが今気になっていること。
それは、食べることによって変化する自分の体型。
体のくびれが出来るという器具を使ったり、
足を細くしようとローラーでセルライトをつぶすなど日々美しい「見た目」を目指すほしのさん。
ファッション雑誌を中心に活躍するモデルたち。
彼女たちが美をテーマに話した内容の中から出たキーワードは「やせ」。
「撮影が近づくと、あ、やせなきゃって思う」
「仕事で自分よりやせている人を見ると、あせる」
やせていることが美しい?
その時代の社会の価値観を反映すると言われる美。
いま、私たちの社会は、「やせている」ことを美の価値のひとつにしている。
しかし、そんな美の価値観の中で、悩み、苦しみ、自らを傷つけてしまうという病がある。
彼女たちが抱えた病の正体、それは「摂食障害」。
食べることを拒否し、極端にやせてしまう拒食症。
大量に食べ、時には体重が増えるのをふせぐために嘔吐する過食症。
その総称である「摂食障害」。
いまでは思春期女性の死亡率のトップに数えられ、現在では小学3年の女子児童にまでみられるようになったこの病は、やせていることを美しいとする社会が背景にあるという。
しかし、拒食や過食といった食行動の異常はあくまで表面的なもの。
実は彼女たちを本当に苦しめているのは、自分への評価の低さからくる強い「自己否定」の感情だ。
重篤な食行動異常を持つ精神疾患のひとつである「摂食障害」。
群馬県の赤城山の山中にある病院で、治療をつづける女性たち。
そこで、出会ったひとりの女性、Fさん。自分の顔に劣等感があり、過食嘔吐を繰り返すことによって自らの強い「自己否定感」を押しつぶして来た彼女は、20年もの歳月「摂食障害」に苦しんでいる。
「摂食障害であることは決して恥ずかしいことじゃない」
「テレビを通じて摂食障害である人たちと同じ悩みを分かち合いたい」
「自分だけじゃないんだ、という共感は誰かにとって回復への手がかりになるのでは…」
彼女はそんな思いで、取材のカメラに向き合い続けることを決心する。
果たして「摂食障害」は治るのか?
自らの体験を通じてとあるヒントを掴み、回復へとむかった女性がいた。
華の大学生活にあこがれた18才。
周りの友達と自分を比べ、美への劣等感から「摂食障害」におちいってしまったアヤカさん。およそ7年間の苦しい時期を経て今では回復へとむかった彼女の夢は、「摂食障害」の体験を綴ったブログを本としてまとめ、世の同じ悩みをもつ女性たちに触れてもらうこと。
美に翻弄され、「摂食障害」という病におちいってしまった女性たち。
生きづらさを抱えた、彼女たちの日々にカメラを向けました。
■語り | 木野花 |
■編成企画 | 林英美 村上正成 |
■構成 | 西宮晋 |
■演出・撮影 | 松原龍弥 |
■プロデューサー | 中村倫久(HIHO-TV) |