パティシエ(菓子職人)の世界最高権威と称される、『クープ・ド・モンド』。各国を代表する一流パティシエたちが集まり、その技を競うコンクールだ。フランスの美食の街・リヨンで2年に一度開催されるこの大会は、いわばパティシエたちのワールドカップ。今年で設立20周年を迎え、史上最多の22カ国(アルゼンチン、ベルギー、ブラジル、中国、韓国、スペイン、アメリカ、フィンランド、ハンガリー、イタリア、日本、レバノン、マレーシア、モロッコ、メキシコ、オランダ、ポーランド、ロシア、シンガポール、台湾、チュニジア)が優勝をめざして静かな、しかし熾烈な闘いを繰り広げる。
制限時間は10時間。各国の代表3人が1組となり、チョコレートケーキ、アイスクリーム、皿盛りデザートの3点で味覚審査を、さらに飴細工、チョコレート細工、氷彫刻の3点で芸術性を競い合う。すべての作業が観客の目の前で行われるのも、公正な審査で知られる『クープ・ド・モンド』の特徴の1つだ。審査には、6点の作品のほか、作業の段取りやチームワークも含まれ、全ての総合点により世界の頂点が決定される。世界的に日本人パティシエの実力が評価される中、日本チームは前回に続き、再び世界の頂点に立てるのか?スイーツに賭けた男たちの挑戦を追った。
今回の日本チーム・リーダーは、林正明さん、36歳(氷川会館)。チョコレート細工と皿盛りデザートで世界に挑む。飴細工とチョコレートケーキを担当するのは、若林繁さん、35歳(ル ショコラ ドゥ アッシュ)。氷彫刻とアイスクリームは山本健さん31歳(名古屋マリオットアソシアホテル)。3人とも外国での修行経験はなく、国内でお菓子作りを学んだパティシエ第3世代だ。3人の夢は唯一つ、『クープ・ド・モンド』で優勝すること…。
日本は優勝候補の1つだが、最大のライバルは過去に5回優勝している洋菓子大国のフランス。その他にもチョコレートの伝統国ベルギー、イタリア、オランダ、アメリカなど強豪国がひしめく。