NONFIX過去放送した番組

舞台は、沖縄の嬉野が丘サマリヤ人病院。緑豊かな丘の上に凛然とそびえ建つ精神科病院。主人公はこのデイケアに通う人たちで、統合失調症(かつての精神分裂病)を抱える。

統合失調症は、脳の神経伝達物質がうまく働かなくなる病気。世界中どの地域でも120人に1人が発症すると言われ、実は誰でもかかりうる病気である。現代では薬が進歩していて、幻聴や妄想のほとんどは薬で抑えられる。しかし、症状の安定を保つために薬は飲み続けなければならず、完治する病気ではない。偏見は今も根強く、病名を告げると就職を断られたり、部屋を借りられないという壁がすぐそこに立ちはだかっている。しかし、この病気の人は実はとても優しい。優しい反面、傷つきやすい。

精神科医の田崎琢二さんはこう語る。
「なぜ傷つきやすいかというと自己防衛が下手というか。いわゆる健康な方は社会を生きていく上でのずるさを身につけていると思う。この病気になると、そういうところが苦手になる。」

デイケアの特徴的なプログラム「文芸講座」。心の奥にある思いを詩にしていくもので、この3年間続けられている。彼らは、この中でドキっとするような言葉を次々に紡ぎ出していく。病気の苦悩、挫折、再生…それらを、澄んだ感性がストレートに押し出していく。

番組では、彼らの詩を紹介し、その日常を静かに追う。