2007年2月8日(木) 02:38~03:38 放送(2007年2月7日(水) 26:38~27:38 放送)
1975年、150点あまりの絵画がアメリカから日本に送られた。これらは第二次世界大戦中、画家たちが軍の要請で戦地に赴き、従軍画家として戦争の宣伝を目的として描かされた「戦争記録画」であった。戦後、これらの絵はGHQによって取り上げられてしまい、文化庁による返還要求に対してアメリカが「永久貸与」として返還したのだった。
当時まだ尊命であった画家鈴木満は、自分の作品に30年ぶりで対面し、愕然とした。その作品は贋作だったのだ。作品の名は「学徒出陣」。戦時中、我が子を戦地に送り出した親たちの涙を絞った作品だった。戦前に出版された画集と、返還された絵を比較すれば、その違いは歴然としている。
結局、ホンモノの作品はいまもって現れていない。
一体誰が、なぜ…作品をすり替えたのか?
本企画は、その推理を縦軸にとり、絵の具もキャンパスも配給制になった戦時下で、絵描きがどのような苦悩を抱えながら創作に取り組んだのか、あるいは筆を折ったのか、その心模様を考察するものである。
そして一人の画家、鈴木満の内面の変化を作品によって辿りたい。