NONFIX過去放送した番組

全ての人々の人生を変えてしまう、戦争。
しかし、その運命を受け止め、そこから自分の人生を歩き始めた人々は皆、美しく、逞しい。
彼ら、彼女たちの“今”を取材し、また過去を振り返る事で、「生きる」事の意味が見えてきます。

サイパン島は第一次世界大戦後、日本の委任統治領になり、沖縄県民を始めとする多くの人々が島に渡り、現地チャモロの人々と共にさとうきび栽培や製糖業に携わるなど、豊かな暮らしを目指して発展してきました。そこはまさに、南方の天国だったと言います。
しかし第ニ次世界大戦によりこの平和な島の姿は大きく変わりました。
昭和19年6月15日には米軍が上陸し、孤立していた日本軍との間に、二十日以上にわたり戦闘が続きました。そして玉砕。
亡くなった日本人は5万5千人、その中の1万2千人は子供を含む一般の人々。
同時に、米軍も3千5百人近くの戦死者を出し、9百人を超える現地の人が戦闘の犠牲となったのです。そこはまさに天国から地獄だったと言います。
そんな戦渦の中、何とか生き延びた人々がいます。
アントニエッタ・アダ(西川キミ子)さん 72歳、両親と6人兄弟の8人の家族で生き残ったのは、兄の太一さん(当時17歳)とキミ子さん(当時11歳)の二人だけ。しかし、キミ子さんはチャモロ人の養女としてサイパンに残り、兄の太一さんは一人日本へ帰国。
生き残った、二人きりの兄弟は、離れ離れとなり別々の人生を送ることとなったのです。
番組ではこのアントニエッタ・アダさんの人生を振りかえりながら、戦前・戦中・戦後のサイパンと日本との関係も探ります。

■ プロデューサー 松浦昌彦(共同テレビ)
■ ディレクター 渡辺治波(共同テレビ)