NONFIX過去放送した番組

【企画趣旨】

 憲法が発布されてからおよそ60年。長い歴史を経て憲法は現実との間で徐々に整合性が取れなくなってきた、と言われて久しい。今、戦後初めて国会レベルで改正論議が進行。各政党も今年から来年に掛けて改正案を続々と発表する予定だ。新聞各紙の世論調査でも多くの国民が改正を支持。世の中の動きは改正に動いているかに見える。

 政治の季節を経験していない40歳代以下の人々の多くにとって憲法は遠い存在であり、学生時代に一夜漬けで覚えた程度しか知識がない、というのが一般的だ。でも国の憲法が変わるかもしれないのに我々はいつものように冷めた目で見ていていいのだろうか?

 今回、憲法の置かれた現状や憲法そのものを見つめる事で、少しでも多くの視聴者に憲法を考える機会を提起できれば、という考えのもと、シリーズで幾つかの条項に迫る事にしました。そもそも条項の裏にはどんな思いがあったのか? どんな事実があったのか? 政治に無関心と言われる世代のディレクターは今をどう見るのか? 何が議論になっていてどんな意見があるのか? 教科書的な番組に終わらせないように様々な手法、角度から色々な考え方を提起し、議論のきっかけになれば、と考えております。

【番組内容】

 真実の追求と取材される側の人権。報道の意義とスクープ合戦にみられる競争。憲法に保障された表現の自由を我々は取り違えていないか? 「表現の自由」と「報道の自由」は何が違うのか? 現場で取材にあたる報道の記者を通してテレビ報道について再考したい。

 事件が起きてまず必要とされるのは容疑者・被害者の顔写真だ。その写真を得るために記者は様々な難局にぶつかりながらも走りつづける。彼らはどんな躊躇をし、どこで線引きをしながら取材にあたっているのか? そこに人権侵害はないのか?
 会社としての取り組みはどうしているのか? 顔を映さない取材、これは過度な自主規制なのか? そもそもモザイク処理はオウム事件から激しくなった。また海外メディアは日本のモザイクをどうみるのか? どうしたらマスコミ不信がなくなるのか? 表現の自由・人権の間で最善の取材とは何なのか? 取材は引けない、でも考える事を止めてはいけない。
 テレビ報道にとって避けて通れないテーマ。冷静な目線で現場を見る事で起きる苦悩・自己矛盾・葛藤こそが、メディアとして21条を考える事になるのでは?