NONFIX過去放送した番組

【企画趣旨】

 憲法が発布されてからおよそ60年。長い歴史を経て憲法は現実との間で徐々に整合性が取れなくなってきた、と言われて久しい。今、戦後初めて国会レベルで改正論議が進行。各政党も今年から来年に掛けて改正案を続々と発表する予定だ。新聞各紙の世論調査でも多くの国民が改正を支持。世の中の動きは改正に動いているかに見える。

 政治の季節を経験していない40歳代以下の人々の多くにとって憲法は遠い存在であり、学生時代に一夜漬けで覚えた程度しか知識がない、というのが一般的だ。でも国の憲法が変わるかもしれないのに我々はいつものように冷めた目で見ていていいのだろうか?

 今回、憲法の置かれた現状や憲法そのものを見つめる事で、少しでも多くの視聴者に憲法を考える機会を提起できれば、という考えのもと、シリーズで幾つかの条項に迫る事にしました。そもそも条項の裏にはどんな思いがあったのか? どんな事実があったのか? 政治に無関心と言われる世代のディレクターは今をどう見るのか? 何が議論になっていてどんな意見があるのか? 教科書的な番組に終わらせないように様々な手法、角度から色々な考え方を提起し、議論のきっかけになれば、と考えております。

【番組内容】

 憲法9条というものの存在が、僕たちの内面にどのように関わってきたのか? 今、現在関わっているのか? を問う。
 番組は62年に東京で生まれ、自衛隊で剣道を習い、ウルトラマンを正義だと信じながら子供時代を送った…現在42歳のディレクター本人の自分史を入り口にする。
 そして僕の中にも深く根をおろしている厭戦意識、さらには非政治的な個人主義的傾向と9条及び戦後民主主義との関連を解きほぐしていきながら、今何が問題とされているのかを再考してみたい。

 番組は、ふたつの旅によって構成される。ひとつは個人史の旅であり、もうひとつはこの半年間、実際に僕が経験した旅である。
 主な訪問地は、沖縄、広島、ニューヨークワールドトレードセンター跡地、ワシントンD.C.、ベトナム戦争記念碑、アウシュビッツ強制収容所跡、そして父の故郷でもある台湾。全て映画の公開に合わせて訪れた地だ。
 これらの土地を訪れながら、戦争の記憶というものがどのように記憶され、また忘却されるのか考えていく。