NONFIX過去放送した番組

【番組概要】

四国遍路が静かなブームを呼んでいる。この秋には、遍路に歩く女子高生をモチーフにした映画「ロード88」が封切られ、漫画誌では二度に渡る遍路行を遂げた俳人、種田山頭火を描いた「まっすぐな道でさみしい」が人気を集めている。現地ではバスツアーで札所を回る中高年、バックパックで歩く若者たちの姿が目立ち、遍路の年間総数は15万人を超えるという。
従来、巡礼の道として、宗教的な空間だった遍路は、今や誰もが手軽に目指すことが可能になった。“癒し”を求めて、余暇の過ごし方を探る現代人に、遍路体験は何を与えてくれるのか。当代遍路事情を取材する。

【番組内容】


★自立の旅
 ~遍路踏破を目指す元不登校児、ミツナガ(15歳)の場合~

テントを背負って、野宿の旅を続けるミツナガ。食事、洗濯、全て一人でこなす。遍路に出る前は人見知りだった彼だが、道中で出会う様々な人々との会話の中で、次第に自分を客観視できるようになっていく。

★モラトリアムに彷徨う
 ~遍路4巡目を廻る34歳、オオニシの場合~

20代後半で会社をリストラされ、同時期に結婚が破談となりうつ病になったオオニシ。四国遍路を歩き通すことで、一度は“生きる”自信を取り戻したが、未だ社会復帰できない。現在は愛媛県内の短大にて、四国遍路の専門コースを受講しながら、社会復帰の道を模索している。
暇を見つけては遍路みちを歩くオオニシ。地元住民の心温かい“お接待”文化(遍路へのもてなし)に触れ、笑顔を見せるようになる。

★“自分探し”との訣別
 ~引きこもり生活からの脱出を計る23歳、カナの場合~

高校中退、大学受験失敗、そして肉親の死。そんな中で引きこもるようになったカナ。人を寄せつけず、好んで孤独の中に身を置いていた彼女は遍路を続ける中で、“自分探し”は単なる“現実逃避”だと気づく。

★闇から見える光
 ~16年間、遍路を回り続ける男、ミヤモト(58歳)の場合~

仕事を持たず、遍路を回り続ける“職業遍路”ミヤモト。40代で仕事に挫折して以来、逃げるように来た遍路からいつしか抜けられなくなってしまった。自身を何も為し得なかったダメ人間と語るミヤモトだが、今は数年前から始めた絵描きに夢中になっている。
百円ショップで手に入れる落書き帳、鉛筆、消しゴムを使い、描くのは“闇”。
だが本当は光を描きたいと思っている。

■ 演出 田平陽子
■ 撮影 辻 智彦
■ プロデューサー 清水哲也
吉田 豪