江戸の時代から名前を轟かし続けている花火屋がある。
1659年に初代・鍵屋弥平衛が店を開いて345年。鍵屋はその間、世界に誇る日本文化・花火の最先端を走り続けるトップブランドであり続けている。
この夏もおそらく全国の花火大会で聞かれる「か~ぎや~」「た~まや~」の掛け声。しかし本当に鍵屋が打ち上げるのは1年の間にたったの5回しかない。
それは鍵屋が日本の花火を、総合芸術としてとらえ、すべてを取り仕切っているからに他ならない。
Fire WorkからFire Artへ。花火師集団鍵屋の挑戦に密着した。
僕が昔住んでいた街では、夏になると花火大会があった。
花火の音が聞こえると、花火を打ち上げているところを見たくて、僕は決まって自転車で走り出していた。会場の一番前に行くと、花火が打ち上がる一瞬だけ、打ち出すための筒と、その周りを走り回っている人影が見えた。
ヘルメットを被って走り回るその人たちが、僕にはすごく格好良かった。
いつかは会場の一番前を仕切るロープの向こう側に行ってみたいと思っていた。
僕は花火屋になりたかった。
あれから20年。僕は花火屋にならずにテレビ屋になった。
だけど花火の音が聞こえると、今でも走り出したい気持ちになる。
だから僕は花火の番組を作ることにした。
江戸時代の始め、1659年に鍵屋弥平衛が店を開いて345年。
おそらく全国の花火大会で、この夏も聞かれる掛け声。
「か~ぎや~」「た~まや~」の「かぎや」とは、この「鍵屋」のことである。
「鍵屋」は世界に誇る日本文化・花火の最先端を走り続けるトップブランドであり続けている。
今の鍵屋の当主は15代目・天野安喜子。鍵屋始まって以来、初めての女性当主である。そして、15代目は花火界に新風を巻き起こそうとしている。
その新風とは、花火を芸術に昇華させること。日本大学芸術学部大学院に在学中の彼女は、花火を芸術として研究している。技術のプロが芸術のプロへ。
その研究の成果を発表するべく、15代目は、一つの花火大会を選んだ。
同じ頃、花火職人達は、花火大会への準備をすすめていた。一つ一つ手作りで進められていく花火の準備。夜空に開く一つ一つの星は、職人達の絶え間ない努力によって光り輝く。
花火はどうやって打ち上げられているのか?明日から花火通になれる、花火の正しい見方とは?花火の種類の見分け方は?
僕と同じように花火が大好きだった、かつての少年少女達を、打ち上げ花火の現場に招待します。
■ ディレクター | ![]() |
荒木慶太 |
■ 構成 | 大辻民樹 | |
■ 撮影 | 宮田 真 | |
■ プロデューサー | 井口義朗 | |
■ 制作 | 日本テレワーク |