
普天間問題やインド洋での給油活動撤収などの報道について伊勢崎氏は「日米関係の危機だと煽るものが多かったが、実務を担当している者から見て日米関係が悪くなることはあり得ない」と説明。「日本にとって“一番楽な”貢献である給油活動をやめて、それに変わってその10倍にあたるお金をアメリカに支援することになった」とも話した。また実際に紛争地域で武装解除をしてきた経験については「アフガニスタンは日本の戦国時代のような状況。争っている部族同士が疲弊するのを待って交渉し、武装解除するメリットを説いた。日本人は中立だと信用されているから武装解除できた」と話した。番組内で募集したアンケートでは国際政治・問題の関心が低かったが、松野教授は「国内の報道に追われて、国際報道までできなかったというのがある、また世界で起きている事が自分たちにどう繋がりがあるのかを理解できていない。回り回って自分たちの生活に関わってくるということを報道する側が認識して報道することが必要だ」と語った。伊勢崎氏は「若い世代は国際問題に興味を持ち、インターネット等で国際問題を能動的に知る人が増えている」と指摘。そして国際問題の実情が伝わらないことについて「日本の放送局が現地に行って日本人の感覚で報道することが必要。そうすることで国際問題に視聴者に興味を持たせる」と語った。
BPOの吉岡忍委員と、多くの人気バラエティー番組を手掛ける放送作家の鈴木おさむ氏とが対談。司会はコメンテーターの稲増教授が務めた。鈴木氏は「BPOから意見書が出ると、制作現場の人間は萎縮してしまう」と制作側の現状を説明。そんな中、BPOが出したバラエティーに関する意見書については「読み物として面白かった。納得できるところも多かったが、内輪話についてはどこからどこまでが内輪話なのか、線引きが難しい」と話した。これに対し、意見書を執筆した吉岡氏は「今の視聴者は昔よりバラエティーの中の人間関係などを考えなくなった。そのため内輪話の前提となる関係性を分からないまま見ている」と指摘した。
稲増教授は「真面目さが特徴だった日本社会の価値観を笑いが崩して活気づけてきたが、今は笑いが多様化し、真面目なこと自体で笑われてしまう時代。その中で今の作り手は模索している」と分析。吉岡氏も、フジテレビの勉強会で制作者から制作者が見せたいものを作るか、視聴者の見たいものを作るか、悩んでいるという発言があったり、視聴者にも成熟してほしいという意見もあったりしたことを明かし、「非常に健全な意見だ。視聴者はテレビを真剣に見なくなっていて、BPOへの意見でも全体を見ないで、苦情を言ってくる人が多い」と指摘した。鈴木氏は「現場も視聴者に見てほしいという思いで作っている。CM明けのだぶり返しもひとつの工夫。やり過ぎの人もいるが、皆見てほしいという思いからしている」と答えた。そして、吉岡氏は、「テレビの作り手は視聴者の半歩、一歩先をいくべきだ」と語ったところで、時間となった。
最近のエンタメ界では「出演者によってコンテンツが選ばれる傾向がある、企画の内容よりも誰の記事かで部数が決まる“クリエーター受難の時代”」と分析した。さらに「今はあらゆるメディアで素人が制作に参加できる、プロにとって大変な時代」と解説した。音教授も「プロは商品価値を高めていかなければ、エンターテインメントがビジネスとして成立しなくなる」と指摘した。クリエーターへのヒントとして品田氏が挙げたのが、去年のカラオケランキングで去年リリースした曲が一曲もないこと。必ずしも新しいものがいい時代ではない。「プロには何がいいかを見極める目が必要」と語った。そして質の良さを見極めるには「すぐに効果が出なくても取り組んでいく無駄な努力が必要。今までウケていたものの延長線上では新しいものが出てこない」と語った。
バンクーバー五輪開幕まであと1ヵ月。五輪競技の中でも「フィギュアスケートは最もテレビ的なスポーツ」と言う本田氏は、その理由を顔がアップで映るし、選手は一人一人が役者として演じながら滑っていると解説した。今大会の男女シングル日本代表6人は皆メダルが狙える選手とした上で、五輪の報道・放送でメダルを取るかどうかにだけ注目するのでなく、4年に一度の舞台に立つ選手の思いや選手を支える周囲の思いを伝えてほしいと語った。砂川准教授は、五輪は普段知らないスポーツを伝えるいい機会、五輪を契機に放送技術が進歩する面もあると解説した。