original writer message

犬堂我路役永山瑛太さん

『ミステリと言う勿れ』への出演経緯を教えてください。
「最初にお話をいただいた時、僕は何役かわからなかったんです。別の作品の撮影中に草ヶ谷プロデューサーから出演オファーをいただいて、台本も読み進めていたのですが、僕が演じるのは別のキャラクターだと思っていました(笑)。その後、正式に出演が決まってから、原作や台本をしっかりと読ませていただいたんです。」
フジテレビの連続ドラマには久しぶりの出演ですね。
「『若者たち2014』(2014年)になります。スタッフには初めましての方もいますが、知っている方も多いんです。働き方改革やコロナ禍ということもあって体制は以前とは変わってはいるんですけど、松山(博昭)監督とは『ヴォイス〜命なき者の声〜』(2009年)や『ラッキーセブン』(2012年)でご一緒しています。監督は『LIAR GAME』(2007年シーズン1、2009年シーズン2)も担当されているので、“この後どうなっていくんだろう?”と思わせる心理戦、ハラハラドキドキするようなドラマをすごく面白く撮れる方だと信頼しています。」
演じられる我路はどのようなキャラクターだと思われましたか?
「原作の第一印象としては、つかみどころがないと言いますか…。ドラマ化した時に『ミステリと言う勿れ』の原作に出てくる我路を、僕自身が“我路はこういう人物だ”と決めないで演じた方が良いのかな?と思ったんです。原作でも人間性のような部分は細かくは描かれていないところもあると感じました。彼の憎しみの大きさや、どこに向かって生きていこうとしているのか?どのような過去に縛られているのか?などは明確には描かれていない部分もあるんです。これは正直、台本を読んでもわかりません。そんな我路を人間として立体的に演じるので、あまり感情を決めつけたくなかったんです。まず撮影現場で演じてみて、修正していって…“どうしよう、これでいいのかなぁ?”と試行錯誤しながら、今も演じています。どんな役柄も現場で演じてみないとわからないのですが、我路は特にその傾向が強い人物です。そして、松山監督のジャッジですね。もちろん、監督と僕の捉え方が違うこともあって、擦り合わせが難しい時もあるんですけど…。そんな捉えどころがない、わからない感覚がドラマをご覧になる方々にも伝われば良いんじゃないかな?とも思います。」
松山監督との擦り合わせが難しいところとは?
「監督のこだわりに対して、僕がどう答えられるか?でしょうか。心理戦のような描写の芝居は、感情ではない技術のようなものがすごく必要になるんです。監督には、そんな技術を求められている気はするんですが、僕はそういうところにはいかないよ?というか(笑)。僕はシンプルな芝居で作っていって、その余白を視聴者の方々に埋めてもらいたいんです。監督も僕の気持ちはわかってくださいました。」
原作を読んだ方もそれぞれに人物像を描いているでしょうし…。
「原作ファンの方もたくさんいらっしゃって、僕が我路をどういう肉体表現するのか?を見てみたいと思われているのではないでしょうか。ある意味、それが原作物を演じる時の難しさです。でも、そこは撮影中はあまり考えず、集中して芝居を一生懸命にやるという感じです。」
『ミステリと言う勿れ』という作品の魅力は?
「やはり田村(由美)先生の天才的な部分が整君に投影されているところだと思います。それ以外のキャラクターも事件の説明をしていくだけではなく、それぞれ全員が感情を持っています。その感情が話が進んでいくうちにキチンと変化していくんです。単に主人公の整君の天才性を描いているだけではないところが魅力ではないでしょうか。ドラマでも、事件を解決する天才の整君、菅田将暉君の演技が素晴らしいということだけではないというか、周りを固めるキャラクターも原作同様、人間性がしっかり描かれています。でも、何より原作から感じる蘊蓄や知識の豊富さは田村先生は無限に広がっていると、実際に現場でお会いした時にも感じました。」
菅田将暉さんの印象はいかがでしたか?
「菅田君は写真を撮らせてもらったことはあるんですけど、共演は初めてなんです。今回の現場では、最初にお会いした時から整君そのものでした。表面的にはどこか穏やかで人に威圧感を与えない雰囲気を持っているんですけど、頭の中のものすごい情報量と回転の速さと人に伝える説得力を持つ整君=菅田君の印象です。菅田君の芝居へのアプローチは圧巻でした。ですので、一緒に芝居をするとどこか安心感があります。僕より数十倍我慢強く、心の広い方だとも思いました(笑)。あれだけ長い台詞を覚えて芝居も100%に作ってきても、監督の演出に応える柔軟性もあります。歌の表現者でもあるので、声の響きもとても心地良いんです。今の日本を代表する表現者なんだと肌で感じました。」
最後に視聴者のみなさまにメッセージをお願いします。
「漫画でしか描けないことや、ドラマだから描けることはあると思っています。原作ファンの方は、絶対にそれぞれ我路のイメージを持っていらっしゃるでしょうけど、そこはお手柔らかに見ていただけたら嬉しいです(笑)。“こうじゃないだろ?”みたいなこともあるかとは思いますが、ドラマならではのこともあるので、すべてを楽しんでください。そうなったら、俳優として我路を演じて良かったと感じられると思います。原作を読まれていない方も、ストーリー性も面白い作品で、キャストもすごい方々がそろっています。中でも、菅田将暉=天才ということが改めて証明される作品になると思いますので、是非ご覧ください。」

BACK NUMBER