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『ミステリと言う勿れ』の出演にいたった経緯をお聞かせください。
「『マンガ大賞2019』で知って、ずっと読みたいと思っていました。その頃は読めずに、自分の仕事が漫画原作ものが続いていたので、事務所の方と“一旦、漫画原作はやめてオリジナルで勝負していこう”と話していたんです。それこそ、コントの仕込みを自分で考えてもいたんです。そうしていたら、チーフマネージャーさんが“ごめん、あれだけ言ってたんだけど原作ものが”と。いやいや、ちょっと待って!となって(笑)。でも前からいずれ読みたいと思っていた漫画だったので1話を読んでみたら、これはやろう!と、すぐに決めました。そこからは原作は一気読みでした。」
“月9”での放送については?
「作品への出演が決まってから放送枠が“月9になったらしい”みたいな感じだったんです(笑)。いわゆる“月9ドラマ”といったら、ラブストーリーで木村拓哉さんのイメージなんですけど、今回はラブロマンスみたいなものはチラッとはあるけど、メインではないです。だから、僕が“月9”の主役を演じる時は、こういうイレギュラーな作品になる運命なんだろうなと思いました(笑)。」
演じられる久能整は、少し変わった名前です。
「久能整という語感に僕はすごく馴染みがあって…。僕の本名は、ひらがな文字は“う”で終わるんですが、久能(くのう)、整(ととのう)と同じように音は“お”で終わるんですよ。語尾による性格分析が原作にも出てくるんですけど、自分にはとてもよくわかりました。」
原作の久能に髪型も近づけましたね?
「整の髪型にするのは面白かったです。もちろん、原作の整が天然パーマだからやりたいというのもあるし、以前から個人的にやってみたい髪型でもあったんですよ。ここに趣味を混ぜつつ(笑)。なかなかあの髪型は仕事ではないですし、あっても役は限られてしまいますからね。ですので、今回は勢いよくパーマをかけました。天パー感を出すのに美容師さんと相談したり、髪だけでなく服選びとかも楽しかったです。」
整を演じる上で留意なさった点は?
「原作通りに、淡々とただ思うことを言って、言葉の意味を人に浸透させていく方法を最初にやろうと思ったんですけど、これがドラマでは難しいところでした。カット割が激しく、効果音もつくアニメならそれで良いんですけど、人間が同じことをやりすぎてはいけないんです。1話の収録で…1話は特殊な回でもあるんですけど、整が取調室にいて、後ろに窓があってそこから逆光がパァーッと刺さっているんです。自分は動かずに、相手がただリアクションをして泣いたり、人が代わったりを繰り返していると、だんだん整に教祖感が出て来てしまうんです。僕が最初に思ったのは、整も間違えることはあるし、まだ未熟な人間なのでそう見えてはいけないですよね。原作の田村(由美)先生もおっしゃっていたんですけど、まだ発展途上の子がしゃべっている”というイメージなので、整を一つの思想みたいにしてはいけません。ドラマを見ている方にも一緒に考えてもらいたいのに、押し付けてる感じに見えると全部説教になってしまうんです。田村先生は整に普段ご自身が思っていることを詰め込んだともおっしゃっていたので、ドラマではただ淡々と話すだけではなく、伝えようとする意識がないともたないなと思いました。僕が勝手に参考にしたのは普段の田村先生の話し方です。熱量がこもるところはグッと力が入る方なので、その感じなら見ている方に伝わるなと。そこを意識して、原作の整にブレンドしました。田村先生には何度かお会いしていて、特にご自身からこう演じて欲しいなどとは言われなかったんですけど、逆にそれが怖いです(笑)」
伊藤沙莉さん、尾上松也さんがいる現場は賑やかだったと伺ってます。
「楽しかったです。お芝居も巧みなお二人ですので。放送で楽しみなのは、現場の伊藤沙莉さんは今まで僕が見た中で一番可愛いし、綺麗だったんですよ。今まで演じられてきた役が彼女にしか演じられないような楽しいキャラクターが多くて、そこは僕自身もファンとして見ています。でも、今回の風呂光(聖子)を演じる彼女はとても素敵で健気でもあるんです。多分、ご覧のみなさんも一番共感出来るキャラクターになっているんじゃないかな?大人な感じなんです。松也さんは今回でバズると思います。もう徐々にみなさんも松也さんを少し変な人と感づいていらっしゃるとは思うんですけど(笑)。ドラマであんなにふざけている松也さんを見るのは初めてなんじゃないかな?僕自身もムロツヨシさんや佐藤二朗さん以来、久しぶりに現場で笑ってしまいました。朝と夜に歌舞伎の舞台に立って、その合間にドラマの収録に入ることもあって…。朝、歌舞いたばかりで、池本(優人)を演じて、舞台に戻るエネルギーは半端じゃないですよ。」
改めまして、視聴者のみなさんにメッセージをお願いします。
「原作はちゃんとセリフになっていないような、ボソボソっとした一言がすごく面白かったり、そこがストーリーのテンポを作っていたりするので、そこを脚本に反映させてもらったりもしています。そういうところは、原作を読まれた方、漫画好きの方にも楽しんでいただけるポイントだと思います。そして、要所要所に原作完コピなキャラクターも出てくるので見つけて欲しいです。キャスティングが本当にすごいですよ。まだ、原作を読まれていない方は“変わった月9ドラマが始まるな”と(笑)。でも、家族で一緒に見て欲しいですね。特に1話はお父さんと一緒にご覧ください。一回、家庭が静まるかもしれないけど(笑)、最後までご覧いただいたら温かい雰囲気になると思います。」

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