2019.08.07更新
今回は、出雲大社と伊勢神宮で、よりご利益を授かることのできる参拝法を徹底調査した。
出雲大社前駅で下車し、神門通りを進むと出雲大社の鳥居が見えてくる。しかし、よりご利益を完全にするためには鳥居の手前で左折し、旧表参道である神迎(かみむかえ)の道を歩くこと10分。到着したのは日本海に面した稲佐(いなさ)の浜。ここは神在月(旧暦の10月)に全国から神々が上陸するといわれる神聖な場所。まずはここで砂を拾い、出雲大社へ持参しよう。
参道を下ると、右手に祓社が。ここは知らぬ間に犯した心身の穢れを払い、清めてくれる神様がいる社。一般的な神社では2礼2拍手1礼を行うが、出雲大社では2礼4拍手1礼が正しい参拝法と定められている。
十九社は、神在月に全国から出雲大社へやってきた神様たちが宿泊する、いわばホテルのような場所。そこで神様たちは「神はかり」という会議で議論を交わし、男女の名が書かれた木の札を結びつけ、縁を結ぶといわれているため、こちらにお参りすると、縁を呼び込むご利益があると言われている。
次に向かうのは、大国主神(おおくにぬしのかみ)の父・スサノオノミコトが祀られている素鵞社(そがのやしろ)。社殿の下にはこれはスサノオノミコトの力が宿っているという砂の入った木箱があり、稲佐の浜の砂と交換することがこの砂をいただくための条件。持参した砂を入れたら、木箱の中の別の場所から砂をいただいて帰ろう。
出雲大社の真裏には、八雲山という神々の力が宿っているといわれる神聖なエリアがある。聖域ゆえ立ち入り禁止となっているが、素鵞社の裏側に唯一触れられる場所があり、岩を触ることでご利益を授かることができる。
御本殿を反時計まわりにめぐると、西側に小さな賽銭箱がひっそりとたたずんでいる。実は御本殿内の祭神・大国主神は正面ではなく、西側を向いている。だから、西から参拝しないと正面から参拝したことにはならないのだ。
しかし、なぜ御祭神は西を向いているのか? 出雲大社を上空から見ると、西の方角には稲佐の浜があり、そこに上陸した全国の神々を出迎えるために西側を向いているという説。また、ご本殿を中心に反時計まわりに境内をめぐるのは、西側を向いている御祭神に失礼がないように下座からまわっていることになるという説も存在している。
番組では他に、神楽殿でひと際の存在感を放つ全長13.5m、重量5.2tの大しめ縄の作り方も紹介した。
二見興玉神社は伊勢神宮から約10㎞離れた海沿いにある神社。隣にある二見浦は江戸時代、船でお伊勢参りをする人たちの玄関口で、海でお清めをしてから伊勢神宮へ向かうしきたりが根付き、禊(みそぎ)の聖地として有名になったのだとか。
そして、伊勢神宮へ向かうと出迎えてくれるのが大鳥居で、その先には全長101.8mの宇治橋が。橋の下には古来から伊勢神宮の貴重な水源とされてきた五十鈴川が流れている。通常は手水舎で手や口を清めるが、手水舎が作られる前は、五十鈴川で体を清めてから参拝するのがしきたりだったそう。
正宮へ進むにはまっすぐ進むのがメインルートと言われているが、ご利益をより完全にするには右側の林道へ。そこには瀧祭神(たきまつりのかみ)という社があり、「天照大御神へうまくとりついで」と願うことがいいそう。
もともと伊勢神宮は天皇陛下が神様に捧げものを奉納して、国民の平和を祈願する場所。よって、正宮では、個人的なお願いはNG。ここでは日々の平和を祈って感謝しよう。ちなみに個人的な願い事は、正宮近くにある荒祭宮(あらまつりのみや)でお願いすることができる。
冬至は1年で一番昼が短いため、太陽を最も美しく見せるために大鳥居と宇治橋の位置を計算して建てている。そんな絶景が見られるのは冬至の1ヵ月前後の朝8時頃が狙い目。大鳥居の向こう側にある宇治橋の中央を朝陽が昇ってくる神々しい光景は一見の価値あり。
実は参拝はこれで終わりではなかった。最終目的地は伊勢神宮から約8.5㎞離れた金剛證寺(こんごうしょうじ)。
江戸時代、地元で歌われていた「伊勢音頭」に『伊勢へ参らば朝熊(あさま)をかけよ 朝熊かけねば片参り』とあり、「金剛證寺を訪れないことには、伊勢参りは半分しか終わっていない」という意味なのだとか。ここへの参拝を終えてこそ、真のお伊勢参りが完結するのだ。
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