2019.07.31更新
日本では毎年数万人の受刑者が、刑務所から社会に出ている。出所する人々には、当然のことながら一人一人の人生があり、様々な事情を抱えて生きている。
そんな出所者たちが刑務所から社会に出た後にいったいどのような生活を送り、どのようにして人生を再スタートさせているのだろうか?
番組では、日本全国78ある刑務所のうち11カ所あるという女子刑務所から仮出所する3人の女性たちに、総密着日数553日間もの長期密着を行い、日本のテレビカメラとして初めて、受刑者の姿を刑務所の中から外に出るまでの一連を追った。
1年10ヵ月の刑期を4ヵ月繰り上げて仮出所した30歳の女性は、20歳の頃から過食になり、その結果食べ物を手に入れるために、万引きを繰り返すように。
6度の逮捕の末、実刑を受け服役していた。仮出所の日、迎えに来ていた母と涙の再会をし、これまでの挽回と親孝行を誓っていたが、仮出所後1ヵ月が過ぎた頃に再会した取材班が目にしたのは、たばこをふかしながら早くも「過食嘔吐が再開している」と語る女性の姿だった。
さらに後日、自宅で取材していた取材班は、尋常ではない量のお菓子やパンを買い込んでいる女性を目にする。心配した保護司も医療機関での治療を進めるが、そのアドバイスも女性は受け入れようとはせず、その後取材班への連絡は途絶えた。
いったい彼女はその後どうしているのか?
大手証券会社に勤めていた肩書きを使って、架空のもうけ話をもちかけ、友人も裏切るなど総額1億4000万円をだまし取った女性。
3年6ヵ月ぶりに仮出所することになった彼女は「これからは、ずるい生き方はしたくない。被害者に少しずつでもお金を返し、直接謝罪したい」と涙し、更生を誓う。
仮出所後、家族がいない女性は、女性出所者が共同生活を送る寮へ。順調に再出発したように見えた。
だが、当初は「お金を返していく」と涙ながらに語っていたが、その後彼女の様子は一変し…。
これまでに覚せい剤で6回逮捕、23歳の時から2年間隔で再犯を繰り返し、今回で5回目の刑務所生活となった女性。
度重なる逮捕で息子とは絶縁状態に。今度こそは「振り出しに戻って、人生をやり直したい」と誓う。手に職をつけようと、美容師資格を取得するため所内で訓練に励むが、試験の結果は不合格。
しかし、仮出所した女性は、美容室の見習いとして働きながら勉強を続け、ついに試験に合格。地元に戻り、美容室で働くという。だが、その後番組スタッフにお金を無心する連絡が入る。女性の元へ向かうと、そこには信じがたい女性の姿があった。
Q.企画意図について
もともと教誨師(きょうかいし)という仕事に興味を持っており、取材対象として追っていた時期があるのですが、その取材を通して受刑者に触れ合う機会が増えていく中で、受刑者たちそのものに焦点を当てた番組を作りたいなと思うようになりました。ある時、東北の女性刑務所で出所する女性たちを見ていた時、とある女性が迎えに来た家族と再会するシーンに出くわしました。夫らしき男性とともに、小さな男の子が「ママ~」と叫びながらその女性に飛びつき、その子に向かって「ごめんね、ごめんね」と謝り続けている女性を見て、その場面が頭から離れませんでした。どんなに重い罪で服役していたにせよ、その「ごめんね」という謝罪の気持ちにうそ偽りはないのだろう、と考えていくうちにその家族がその後どういう会話をし、どう生きていくのかを見届けてみたいなと思うようになりました。一度道を外れてしまった人間がどのように立ち直っていくのか、あるいは立ち直ることができるのか、それを知りたいなと思ったのがきっかけです。
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